2013年3月3日日曜日

会話における動物園語法

日本語では近年、
会話相手を会話の場から突然遮断する表現形式が
静かに拡がりつつあるようです。





私が初めて気付いたのは5~6年くらい前だったと思いますが、
大略、以下の様なものです。

会話参与者の間で通常の会話が行なわれている流れの中で、
或る一者(甲)が少し奇異な動作や反応をする。
対する者(乙)がそれを指して、
「あっ、食べた!」
「怒ってる、怒ってる(笑)」
などの、観察文のような台詞を発する。

ここで乙の発話は、
通常の会話のように会話相手に向けて発せられるものというより、
動物園で柵の向こう側の動物を見て発せられるもののように
独り言の性格を強く帯びています。

要は、相手(甲)を会話参与者の資格無しとして、
一瞬で柵の向こうの動物の地位に貶める語法で、
私はこれを動物園語法と呼んでいます。



その好例が、ラーメンズの公演『雀』の
「ネイノーさん」の中に見られます。


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この語法の変種として、会話の場に三人以上の主体が居る場合、
次のような形式が用いられる事が有ります。

甲が少し奇異な言動をする。
直前まで甲と対話していて、
甲の言動の意図を直接受ける立場の乙が、
「こんな事言われちゃってますけど(笑)」
と、それまで傍らで甲乙間の会話を聞いていた丙に向けて言う。

このケースでは、乙が甲の言動に直接反応を返さず、
代わりに丙との会話に退避する事で、
やはり甲を会話の場から切り離す効果が生じています。

再び動物園の比喩を持ち出せば、乙と丙の二人で甲を柵の向こうに押しやり、
動物として観察している構図を瞬時に作り出している形です。

2013年2月26日放送の『開運なんでも鑑定団』の中で、
「出張鑑定 in 呉」の司会者がこの語法を使用しています。


鑑定前の雑談で、司会が鑑定依頼人の老人と会話している場面。
依頼人が最近船を買って、釣りに行っているという話題で、
今の季節、魚が良く釣れる、という依頼人の発話からの流れ。

依頼人 「(一緒)行きますー?」

司会が依頼人から視線を外して客席の方に振り返り、

司会 「すごい誘われてますけど(苦笑)」