2013年1月6日日曜日

片面SPDペダルの意外な欠点

シマノの片面SPDペダルは両面SPDペダルと比べて
不利な点が有ります。

片面SPDペダル(PD-A520)


まず思い浮かぶのは、片面なのでクリップ・インが難しい事ですが、
それは内部のグリースを稠度が低いもの(1号など)に置き換えるなり、
グリース充填量を減らすなりすればペダル軸の回転抵抗が下がり、
靴を離した時にペダルが常に同じ角度に傾くようになるので、
慣れれば片面でも簡単にクリップ・インできるようになります。

(ペダルの重心がペダル軸より後ろに在るモデルの場合。)



もう一点はランニング・コストと関係します。

SPDシステムでは靴側のクリートと、ペダル側のキャッチ機構により
靴とペダルを結合しますが、両者とも使用に伴って摩耗します。
クリートだけでなく、両方とも摩耗します。

摩耗により固定力が弱るので通常はクリートを交換しますが、
クリートのみの交換では、感覚的に元の固定力の
1/3から1/4程度しか回復しません(*)。
* クリップ・イン/アウトは最初から楽ですが。

キャッチ機構は体カバー部分だけ交換部品が用意されていますが、
それで回復できるのは、クリートとペダルの接触箇所で
摩耗が顕著な4箇所の内、3箇所に限られます。

従って、クリートが一回摩耗し切った時点で
基本的にはペダルも寿命を迎えていると言えます。

私の場合、使用開始から9ヶ月(*)で摩耗がかなり進行し、
強い引き足を使った時に不意に解放されて、靴の踵で後ろブレーキの
クイック・リリース・レバーを跳ね上げてしまう事故が有りました。
* 通常は2年間くらいは持つらしいのですが、
街中の走行で着脱が頻繁だった事や、
急な坂道を何度も登った事が影響したようです。
使用開始から11ヶ月後にはギシギシ音も鳴り出しました。

これが両面SPDペダルであればキャッチ機構が2面有るので、
単純に考えてペダル本体の寿命が2倍という事になります。

ペダル本体は交換用クリートより高価なので、
ランニング・コストが抑えられるというわけです。



以下、摩耗箇所を写真で説明します。

クリート前部の接触箇所。
ギシギシ音の原因と考えられる赤錆が浮いています。

赤で着色した箇所が特に摩耗の著しい箇所です。
この箇所の摩耗は前後方向の固定力を弱めます。

ペダル側で対応するのは体カバーの前部です。
赤で着色した部分が主に摩耗しますが、体カバーの交換で対応できます。

クリートの底面は歩行により全面的に摩耗します。
未使用状態では全面に黒の塗料が載っているのですが、
底面は殆ど剥げて銀色の地が出ています。

SPDシューズのソールはクリート取り付け部分が引っ込んでいますが、
それでも体重を載せれば新品状態でもクリートは地面に接触します。

但し、クリート底面の内、ペダルの体カバーと接触するのは
赤で着色した部分に限られます。

接触箇所は体カバー側にも摩耗がはっきりと認められます。
この二点は上下方向の固定を担っています。

摩耗が進行すると、強い引き足を使った時に
靴がペダルから僅かに浮き上がってカチカチ鳴ります。

ここまでの3点の接触箇所は、
3本のプラスネジで留まっている体カバーを
交換する事で元の固定力が取り戻せると思います。

クリート後部はクリップ・イン/アウトで最も摩耗が進む箇所です。

赤で着色した部分が摩耗により大きく凹んでいきます。

ペダル側は赤で着色した部分が対応します。
こちらもクリートと同様に摩耗が進行しますが、
体カバーと違い、この部品は交換できません。

シマノに送れば補修してくれるのかもしれませんが、
基本的にはこの箇所の摩耗がペダルの寿命を意味します。

使用環境にも拠るでしょうが、このクリート受け部品は
ペダルを構成する部品の中でも特に耐用期間が短いようで、
製品寿命の制約になっています。もったいない。



2013年10月29日 大訂正 

クリートをキャッチする後ろ側の部品も交換できます!

どこかの blog で「分解・再組み立てができる」という情報を見たので、
自分でも試してみたところ、特別な工具が無くてもできました。

補修部品は PD-M520 辺りの安いペダルを買ってきて
外せば入手できますね。

後日、写真付きで詳しい記事を書きます。



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