自転車推奨ルートの一つ、馬場先通りの自転車レーン(2021年8月撮影) |
東京都建設局は2015年に「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた自転車推奨ルート」の計画を発表していましたが、五輪期間中にそれらのルートがどのような状況になっていたのか気になったので実際に一部を走ってきました。
多くのルートでは、路駐に塞がれてほぼ使い物にならない自転車レーンや、専用通行空間ですらないナビライン・ナビマークを描いているだけで、「外国からの来訪者も含め、誰もが大会の雰囲気や観光地のにぎわいを自転車で楽しめるよう」な、「自転車が通行しやすい」「より安全に回遊することのできる」環境は実現していませんでした。
自転車利用者に車道を走らせたいが、そのために車の既得権益を損ねるのは避けたい、だから「自転車インフラを作った」という体裁だけ取り繕えれば良いという考えが濃厚に現れた整備。しかも一部ルートではその整備すら未着手で、計画は空手形に終わっています。
本来の開催年である2020年には、海外諸都市が3月ごろから緊急コロナ対策として車道を区切って自転車道を仮設しており、そのいくつかは恒久化されることが決まっています。それに比べると、開催まで1年間の猶予がありながら名ばかり自転車インフラの整備に終始した東京都の硬直性が際立ちます。