利点と欠点
素早く安全に測れる
自転車レーンの幅員を巻尺で測るのは危険なので事実上不可能です。今までは信号待ちの間に自転車に跨ったままレーンの写真を撮り、帰宅後に画像編集ソフト上で開いて、横断歩道のゼブラやL形側溝のエプロン部分などの規格化された幅 (*) を基準にレーン幅を推計していました。
* ただしゼブラ幅の規格は 0.45〜0.50 m という範囲指定(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第6)。エプロン幅もバリエーションがある。現物が規格通りとも限らない。
iPhoneのMeasureなら歩道上からでも測れるので安全ですし、巻尺のテープを急いで片付ける必要もありません。基準となる路面マーキングや構造物が周囲に見当たらない場合や、その規格が分からない海外でも使えるので便利です。
精度はあまり当てにならない
Measureでの計測結果の精度を検証するため、巻尺でも安全に計測できる環境(歩行者、自転車の通行がまばらな歩道上の自転車通行空間の幅)で実測値との差を比較した結果、5%くらいは普通にズレることが分かりました。検証方法
Measureで同じ対象の幅を10回計測。各回ともキャリブレーションし直して、空間把握段階での誤差も入るようにしました。結果
巻尺での実測値 2.00 m に対してMeasureでの計測値は 1.93, 1.92, 1.93, 1.96, 1.93, 1.99, 1.89, 1.95, 1.90, 1.96(平均 1.936、標準偏差 0.03)でした。バラつきは小さいですが全体的に実測値より小さいです。ただし、計測したのは夕暮れの薄暗い時間帯だったので、日中より精度が下がっていた可能性があります。一方、測定対象は車道端の自転車レーンと違って横断勾配が一定かつ小さいので、この点では計測の難易度が低かったはずです。
思ってたんと違う
計測可能になるまで意外と時間が掛かることがある
アプリ起動後、カメラを動かしてiPhoneに空間を把握させますが、これが数秒で済む時もあれば延々と終わらない時もあります。屋外で計測する場合は一旦しゃがんでiPhoneを地面に近付けてからカメラを動かすと素早く計測可能になる傾向がありました。最初の計測点をセットする時だけは対象に近付く必要がある
実際に使う前は、例えば橋の上から河川敷道路の幅員を測ることもできるだろうと予想していましたが、最初の計測点だけは対象までの距離を1mくらいまで詰めないとセットできませんでした。2点目以降は離れていても大丈夫です。計測点・線の色が白固定なので白背景に紛れる
真上から計測すると横断勾配が反映されない
勾配のある場所で対象の真上から計測点を追加すると、引きの構図にして横から見た時に画面上の計測線が実際の地面から浮きます。
左側の路側帯は真上から計測点を追加したので、横から見ると線が地面から浮いている。
斜め上から計測点を追加すれば線が地面から浮かない。
写真に位置情報が記録されない
計測中の画面を写真として残す機能(スクリーンショット)がアプリ内にありますが、撮影地の位置情報は記録されません。計測前にまず普通のカメラアプリで位置情報付きの現場写真を撮っておいた方が良いですね。写真の解像度が低い
iPhone 7 の場合、普通のカメラアプリで撮影した写真の解像度は 3024 × 4032 ピクセルですが、計測アプリでの撮影はスクリーンショットなので 750 × 1236 ピクセル (*) になります。ピントも甘くなる印象です。* アプリ画面下部の黒い帯部分はカットされるので、長辺は 1334 ピクセルにならない。
横向きで撮った写真はさらに解像度が低い
iPhoneを横向きに構えて撮影するとさらに解像度が落ちて 618 × 375 ピクセルになり、計測値の読み取りも難しくなります。この問題は Portrait Orientation Lock を on にしておけば回避できます。電池の消耗が激しい
都内各地の自転車レーンを巡って計測してみましたが、想像以上に電池の消耗が激しいです。計測に使っていたのとは別のiPhoneも携行して、デジカメ系とスポーツ系の2アプリで同時にGPSログを取り続けていましたが、そちらのiPhoneの電池が40%以上残っている時点で、計測用のiPhoneは10%を切っていました。手早く計測すれば無駄な消耗は抑えられるかもしれませんが、モバイルバッテリー無しでGPSログアプリと併用するのは厳しいです。