2021年9月9日木曜日

東京五輪 自転車推奨ルートは結局どうなったのか

自転車推奨ルートの一つ、馬場先通りの自転車レーン(2021年8月撮影)

東京都建設局は2015年に「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた自転車推奨ルート」の計画を発表していましたが、五輪期間中にそれらのルートがどのような状況になっていたのか気になったので実際に一部を走ってきました。

多くのルートでは、路駐に塞がれてほぼ使い物にならない自転車レーンや、専用通行空間ですらないナビライン・ナビマークを描いているだけで、「外国からの来訪者も含め、誰もが大会の雰囲気や観光地のにぎわいを自転車で楽しめるよう」な、「自転車が通行しやすい」「より安全に回遊することのできる」環境は実現していませんでした。

自転車利用者に車道を走らせたいが、そのために車の既得権益を損ねるのは避けたい、だから「自転車インフラを作った」という体裁だけ取り繕えれば良いという考えが濃厚に現れた整備。しかも一部ルートではその整備すら未着手で、計画は空手形に終わっています。

本来の開催年である2020年には、海外諸都市が3月ごろから緊急コロナ対策として車道を区切って自転車道を仮設しており、そのいくつかは恒久化されることが決まっています。それに比べると、開催まで1年間の猶予がありながら名ばかり自転車インフラの整備に終始した東京都の硬直性が際立ちます。



新国立競技場周辺地区
















皇居周辺地区










2021年7月25日日曜日

Magene S3+ Speed/Cadence センサーの計測異常

Magene製のスピード/ケイデンス兼用センサーS3+はホイールを高速回転させた時、特定の速度帯で計測値が狂う問題があります。

問題発生を確認した具体的な条件は、

  • センサーをスピードモードに設定し、ホイールのハブに取り付ける
  • センサーとペアリングしたスマホ側のアプリでホイール周長を2096mmに設定
  • クランクを手で回し、ホイールを 0.5 km/h/sec 程度でごく緩やかに加速/減速させる
  • 速度が58〜66km/h(A)または93km/h以上(B)の範囲に入る

で、この条件下では表示速度が突如、0 km/h, 18.9 km/h, 23.4 km/h, 41.8 km/hなど(速度帯A)、または52.6 km/h, 56.9 km/h, 65.5 km/h, 73.0 km/hなど(速度帯B)にガタ落ちします(どの速度が表示されるかはホイールの実際の回転速度で決まるようです)。

また、計測異常はどのアプリ(ELITE My E-Training, Wahoo Fitness, Magene Utility)でも同様に現れるので、アプリ側の問題ではなく大元の信号を発生させるセンサー側の問題である可能性が高そうです。

そこで、「これは設計に起因する構造的な問題ではないか?」と販売者のMagene公式ストア(AliExpress内)に問い合わせたところ、「これまで10,000個以上も販売してきた。[計測異常は]その個体だけの問題だ」と自信満々に答えるので(←しかし自社在庫の別個体で再現実験をして正常な動作が確認できたとは言っていない)、同じセンサーをもう一個買い足して試験したところ、最初に買った個体と全く同じ速度帯で全く同じ症状を呈しました。

以上から、ローラー台や長い下り坂で58km/h以上の速度を出す可能性がある人、700cホイールよりハブが高速回転する小径車に乗っている人にはMagene S3+センサーはお勧めできません。

2021年5月12日水曜日

イヤホン型バイノーラルマイクの自作

ダイソー100円イヤホンを改造して作るイヤホン型バイノーラルマイク

2021年3月29日月曜日

シマノ ペダルワッシャーの寸法と重量の実測値

ペダルワッシャー (Y1NG98010)

ZEE FC-M640 用のスモールパーツとして販売されているペダルワッシャー。
取り付け前に寸法と重量を実測しました。

2021年3月16日火曜日

大久保通りの転換イメージ

大久保通りの空間再配分のイメージを作りました。


2021年2月27日土曜日

【資料写真】Claris FC-R2030

Claris R2000シリーズのトリプルクランクセットを観察していきます

古いMacBookでのDaVinci Resolve 17起動時エラー解決法

初期設定と違う方のGPU(赤く着色した方)にチェックを入れる

MacBook Pro (Retina, Mid 2012, macOS Catalina 10.15.7) でDaVinci Resolve 17をインストール、起動すると、

DaVinci Resolve could not find Metal capable GPUs.
Please review the GPU drivers and GPU configuration under preferences.

というエラーメッセージが出ましたが、Preferences > Memory and GPU > GPU Configuration > NVIDIA GeForce GT 650M にチェックを入れたら解決しました。バージョンアップ後にDaVinci Resolveが使えなくなって困っている方はお試しください。

2021年2月22日月曜日

小柳立体交差——日蘭のアンダーパス設計の違い

小柳立体交差

自ら生み出した問題を場当たり的に取り繕う日本の典型的アンダーパス設計をネーデルラントと比べました。


2021年2月19日金曜日

【資料写真】Claris FD-R2030-F

FD-R2030-F

シマノの8速トリプルチェーンリング用フロントディレイラーを様々な角度から観察しました。過去のモデル(FD-2203, FD-2303, FD-2403)と見比べると各部に細かな改良が加えられてきたことが分かります。

掲載写真はOLYMPUS OM-D E-M10 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroで撮影。半透明のフィルムケースを支えにディレイラーを立てています。


2021年2月6日土曜日

都道14号 方南通りの自転車ナビマーク

ナビマークしかない方南通り。もし自転車レーンを引くなら……。

方南通りは見通しの良い広幅員2車線道路で、規制速度は車との混在に危険を感じる40km/hですが、2021年2月現在、自転車ナビマークが点々と設置されているだけです。

交通量(弥生町3-24-3)は、直近の2015年の道路交通センサスによれば四輪車が6,544台/12h、二輪車が823台/12h、自転車が3,185台/12h、歩行者が5,373人/12hと、自動車が比較的少なめです (PDF, p. 327)。

それでも、四輪+二輪に昼夜率1.33を掛けて24hに換算すると約9,800台。ネーデルラントのCROW基準 (2017, p. 102) では自転車レーンまたは自転車道が必要とされる閾値を5,800台ほど超えています(乗用車換算は省略)。

撮影地のメトロ車両基地付近は路上駐車が少ないので、自転車レーンで視覚的に区分するだけでも自転車利用者にとっては通行環境の体感的な質が大きく向上しそうです。

幅1.75mの自転車レーンを引いた場合のイメージ図(センターラインは抹消)

2021年2月5日金曜日

シマノの紙資源の節約

説明書をオンラインに移行したシマノが紙資源をどれだけ削減したかをCN-HG40の新旧パッケージで実測しました。

2021年1月31日日曜日

CN-NX10の実測重量

シングルスピード用の厚歯チェーン、Shimano CN-NX10

2021年1月27日水曜日

Claris R2000(トリプル)の実測重量

グループセット入れ替えのため買い揃えたパーツを組み付ける前に重量を測りました。

2021年1月21日木曜日

Wikipedia「ハザード対策の階層構造」を新規立項

Wikipediaに「ハザード対策の階層構造」という記事を新しく作りました。英語版記事からの翻訳です。

建設、化学、医療など、危険の伴うあらゆる分野に関わる概念で、ハザードへの曝露を抑える手法を効果の大きい順に分類して階層化した体系です。

この体系を通して見ると、これまでの日本の自転車政策が安価で効果の薄い対策に偏りがちであったことが認識できると思います。

2021年1月16日土曜日

歩道の自転車通行可+車道の自転車レーンは法的に矛盾しない(それよりも…)

歩道の自転車通行可規制と車道の自転車レーンは法的に矛盾するので併設できないという記事を見掛けましたが、矛盾はしません。それよりもっと根深い別の問題があります。

2021年1月15日金曜日

久保田論文を読む——10の問題点

国土交通省が開催している「自転車の活用推進に向けた有識者会議」の2020年10月の会合で1本の論文(出口・小嶋・久保田, 2019)が取り上げられました。委員の一人である久保田氏の共著論文で、埼玉県内の自転車通行空間を対象に、整備前後の事故発生状況を分析したものです。

委員会の屋井座長は

久保田先生の資料、これも見ていただきますと分かるとおり、走行空間を整備して事故が非常に減っているというのが如実に表れている、歩道上を走っている自転車の事故も減っている

と発言しており(議事録 p. 14)、他の委員も誰一人として反論していません。ですが、この論文はもっと慎重な解釈が必要です。本稿ではその理由を詳しく掘り下げます。