2008年6月14日土曜日

平調音取

雅楽曲の平調音取を視覚的に把握できるように音声分析ソフト、Praat で音量と音程をグラフ化した。上のグラフの右端が下のグラフの左端に繋がっている。

音取は其の吹き方が演奏者の感性に大きく左右される曲である。
ここで分析対象とした音源は東儀秀樹氏のもの(雅楽 天・地・空~千年の悠雅)だが、最初の塩梅(ポルタメント)から元の音程に戻した箇所での音量操作が特徴的である。

2008年6月1日日曜日

英語の語末子音の識別

大学の授業で使っている、英語音声学の教科書 (1) に以下の様な聴き取りの練習問題が載っている。
1. Here's a (a. bag b. back).
2. Here's a (a. bag b. back).
3. Where is the (a. cab b.cap)?
4. Where is the (a. cab b.cap)?
5. This is a (a. bed b. bet).
6. This is a (a. bed b. bet).

( ) 内のどちらで発音されたかを識別させる練習だが、教科書の付属CDではどちらも語末子音が無声で発音されているので、識別に役立つのは直前の母音の質である。問題文には「特に, 母音の長さに注意しなさい」と書き添えてあるが、実際に聴いた印象では余り変らない。そこで音声分析ソフト (2) を使って CD の音声を視覚化した所、長さとは別の要素に顕著な差があった。以下に其の画像を挙げる。(画像をクリックすると拡大できる。)








画像は上から順に問題文の1~6に対応させて並べたので、1段目と2段目、3段目と4段目、5段目と6段目を比較すれば母音の質の違いが分かる。この画像で分かるのは、問題となっている箇所の母音がいずれも、その後半で無声化している事である(声門閉鎖ではない)。これらの母音は其々の対で 1. 長さが殆ど同じだが、2. 無声化している区間の比率は明らかに異なる。

(1) 川越いつえ 『新装版 英語の音声を科学する』 大修館書店 2007年
(2) Praat (http://www.fon.hum.uva.nl/praat/)