2022年8月16日火曜日

失敗する前に知りたかったロードバイクの規格と整備の知識

ロードバイクの購入や整備で失敗して初めて気付いた、先に知っておきたかったトリビア集。


購入前

 

小さなサイズのフレームはボトルケージ台座が少ない

XSやSサイズのフレームにはダウンチューブにしかボトルケージ台座が付いていないことがある。webや紙のカタログ写真、店頭在庫の実車など、購入前に目にする機会が多い車体(M〜Lサイズ)はダウンチューブとシートチューブの2箇所にボトルケージ台座があるので、全サイズ同じ仕様だと勘違いしやすい。取り寄せ購入して納車当日に初めて気付く。

 

リムブレーキ車の入門モデルはブレーキキャリパーの規格が違うことがある

安価な入門モデルは泥除けを取り付けられるようにロングアーチのブレーキキャリパーが組み付けられている(ロングアーチを前提にフレームとフォークが設計されている)ことがある。制動力に不満を感じて上位グレードのブレーキに交換しようとした時に初めて、上位グレードのブレーキはどれもノーマルアーチという別の規格で互換性が無いということに気付く。

キャリパーとブレーキシューの間にオフセット部品を噛ませれば取り付けられるが、オフセット部品自体がそこそこ高価な上、実質的な梃子比がロングアーチと変わらないので制動力を最大限に引き出せない。

 

携帯工具のプラスネジは番手が違いがち

自転車用として売られている携帯工具であってもフィリップス・ドライバーは自転車によく使われるプラスネジ(ディレイラーのリミットスクリューやブレーキのアジャスター)と番手が合っていない(ドライバーが小さすぎる)ことがあり、噛み合い不良でネジ頭を潰してしまう恐れがある。ネジの見た目から想像される番手より一段大きい番手が正しいことが多いので要注意。

メーカーは携帯工具の商品説明でフィリップス・ドライバーの番手を書かないことが多いので、通販ではなく店頭で現物を確認して買った方が良い。

 

操作

 

前後を同時に変速するとシフトケーブルが千切れる

ロードバイクのフロントチェーンリングは歯数差が大きい(16T差が一般的)ので、変速するとギヤが急に重く/軽くなる。リアも併せて変速すればこの落差を緩和できるが、前後を同時に変速するとシフトケーブルに強い負荷が掛かるので、何回か変速を繰り返すとケーブルが千切れてしまう。家から遠い場所でリヤのケーブルが千切れるとトップギヤ固定になるので悲惨。面倒でも前後の変速はタイミングをずらした方が良い。

 

整備

 

シフトケーブルの配線はプロでも間違えることがある

プロが整備した自転車でもシフトケーブル(ハウジング)の配線が間違っていることがある。乗り始める前に、正しく組み立てられたカタログ写真と見比べて確認した方が良い。

また、配線が正しくてもボトムブラケット下のケーブルガイドにヒビ割れがあって正常に変速しないこともある。

 

チェーンステーの保護フィルムは当てにならない

右チェーンステーに貼られている薄い透明フィルムはフレームの保護材だが、段差や悪路を走っている時に暴れるチェーンの打撃に対しては防御力が全く足りず、あっという間にステーが傷だらけになる。フレームを確実に守りたいならもっと分厚いカバー(ネオプレン製など)を巻き付ける必要がある。

 

ケーブルに巻き付けるフレーム保護材はフレームを保護しない

ケーブルハウジングに巻き付けてフレームを保護すると謳う商品があるが、あれが保護しているのはケーブルハウジング自体であって、フレームに対しては攻撃因子になり得る。擦れ傷を確実に防ぐには、ケーブル側の保護材とは別にフレーム側にも保護フィルムを貼る必要がある。

 

高圧の空気を入れっぱなしにしたタイヤはヒビ割れする

ママチャリの低圧タイヤと違い、ロードバイクの高圧タイヤはゴムに強い力が掛かるので、走った後そのまま放置するとヒビ割れしやすい。帰宅後は毎回空気を半分ほど抜いて次に走るときに入れ直す運用にすれば、空気圧が適正か確認できて一石二鳥。

 

パーツの付け外しには細心の注意を要する

ロードバイクのネジ穴の多くはアルミ製なので、注意しないと簡単にネジ山を潰してしまう。ボルトを差し込むときの角度、締め付けトルクはもちろん、意外なところに逆ネジが使われていることがあるので、誤って逆方向に回さないよう、ネジ山をよく観察する必要がある(正ネジだった部品が仕様変更でいつの間にか逆ネジに変わっている可能性もあるので、説明書を読むだけでは不十分)。適切な付け外しでもダメージは蓄積するので、パーツを頻繁に脱着する運用は避けた方が良い。

 

ネジ山に潤滑油が付いたら丁寧に脱脂する

固いボルトを外す時やネジ頭の錆落としなどで5-56やシリコンオイルを吹き付けた場合、ボルトと母材のネジ山を丁寧に脱脂する必要がある。潤滑成分が残っていると軽い締め付けトルクでもスルスル回って行ってしまい、ネジ山を潰す恐れがある。

 

ペダルワッシャーが必須な形状のペダルがある

安価なペダルはクランクに取り付ける側の座面が円形ではなく、ペダルレンチを掛ける面を切り欠いた小判型になっていることがある。この形状のペダルをそのままクランクに取り付けると、締め込んでいった時にクランク側の座面を削ってしまうため、ペダルワッシャーを挟んで座面を保護する必要がある。

 

ペダルワッシャーを挟んだら締め付けトルクに注意

ペダルワッシャーを挟むとその厚さ(1mm前後)の分だけネジ山の噛み合いが減るので、少ないネジ山に応力が集中し、少しのオーバートルクでもネジ山が潰れやすくなる。

クランク側にワッシャー使用を前提としているように見えるザグリ加工があっても、製品によってはワッシャー無しでペダルを取り付けた時にちょうどクランク側とペダル側の全てのネジ山が噛み合う寸法になっている(ワッシャーを挟むと噛み合いが不足する)ものがあるので要注意。

 

説明書に書かれていないワッシャーが必要なことがある

ボトルケージや泥除けをフレームに直接取り付けると、フレーム側の座面やその周辺が凹んだり塗装が剥げたりすることがある。それらのパーツにワッシャーが付属していなくても、ワッシャーが不要ということではない。攻撃性の低い樹脂ワッシャーをスペーサー兼保護材としてフレームとパーツの間に挟むと良い。