2018年2月23日金曜日

井ノ頭通りの自転車ナビマークと改善案

先日、久しぶりに井ノ頭通りを横切ったら(※横切るだけで走ってはいない)、車道の両端に自転車ナビマークが設置されていて唖然としました。

宮前四丁目交差点(場所

というのも、日本の自転車政策にまつわる過去十余年の経緯から見て、この場所がいろいろと象徴的な意味を持つ環境だからです。

2018年2月20日火曜日

Strava appを外部センサーなしで使った時の推計消費カロリー

iPhoneに入れたStravaでライドを記録すると出てくるカロリー消費量。和田峠に登りに行った先日のライドでは2,326kcalとの推計でしたが、そのログをHealth appから見ると……

1時間毎のカロリー消費量(StravaのデータをiOS 11.2.6付属のHealthで表示)

あー、これは。単純にログを取っていた時間長だけで推計してるっぽいですね。ライドの途中で入れた大きな休憩(auto pauseで記録は一時停止していた)も考慮されていなさそうです。iPhone内臓のGPSや加速度計を使って勾配の緩急や加減速も加味しながら推計しているのかと思ったら随分と単純な。

2018年2月16日金曜日

横断歩道の設置を訴えるプロテスト用の仮設キットを保険会社が提供

日本では地域住民が横断歩道の設置を要望しても警察がなかなか聞き入れませんが、イギリスでも事情は同じようです。そんな腰の重い当局を説得するためにと、イギリスの保険会社が「手作り横断歩道キットを貸し出します」とツイートしていました。



行政の動きの遅さに業を煮やして市民が手近な材料で都市空間の改善を小さなスケールで実演してみせる活動はtactical urbanismと呼ばれ、世界各地で様々な試みが行なわれていますが、その材料の提供を一企業が、しかも交通事故も扱う保険会社が公的にアナウンスするのはかなり異例ですね。

補足のリプを見ると同社は、このような活動が異例であることは承知の上で、「道路の危険を減らす、死亡事故をゼロにする」という強い信念の下に行なっていることが分かります。


私は、単に表層的な遵法精神を示すのではなく、実際に社会を良くするには何をすれば良いかと真剣に考えて行動している同社の姿勢は好きです。

なお、上に引用したプロテスト活動例の動画については、「設置後にその場を離れるような(無責任な)ことはしていない、あくまで正式な横断歩道を設置するよう地元当局を説得するためだ」としています。


2018年2月10日土曜日

交通法の第1条に何を書くか——日独比較

1条同士の比較


日本の道路交通法


電子政府の総合窓口 e-Gov「道路交通法 第一条
(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

日本はまず【全体】視点に立って、道路交通システムの望ましい状態(安全、円滑、低公害)を示しています。


ドイツの道路交通規則(Straßenverkehrs-Ordnung, StVO)


Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz “§ 1 StVO 2013
§ 1 Grundregeln

(1) Die Teilnahme am Straßenverkehr erfordert ständige Vorsicht und gegenseitige Rücksicht.
(2) Wer am Verkehr teilnimmt hat sich so zu verhalten, dass kein Anderer geschädigt, gefährdet oder mehr, als nach den Umständen unvermeidbar, behindert oder belästigt wird.

// 以下、引用者訳
第1条 基本ルール

(1) 交通への参加には絶え間ない注意と互いの思いやりが必要である。
(2) 交通に参加する者は、他者を傷付けたり危険に晒したり、状況に照らしてやむを得ない程度を超えて妨害したり迷惑をかけるような振る舞いをしてはならない。

一方ドイツはまず交通参加者という【個人】に向けて、絶え間ない注意と互いの思いやりが必要、と守るべき心掛けを示しています。



安全運転義務の位置付け


道路交通法にもStVOの第1条とよく似た内容の条項がありますが、それが置かれているのはだいぶ後ろの方です。

電子政府の総合窓口 e-Gov「道路交通法 第七十条
(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項)
路上での行動原則を示すためというよりは、ここまでのどの条項にも引っ掛からなかった危険行為を漏らさず取り締まるための駄目押しのような規則ですね。

ただ、法律の専門家ではない一般人にとっては、ドイツのStVOのようにこの安全運転義務を最初に持ってきて道路ユーザーとして守るべき基本姿勢を明示してくれた方が分かりやすいかなと思います。



一般人が読みやすい法律


法律は基本的に一般人の目に触れないプログラムのコードのような存在ですが、ドイツは2009年から、一般市民に関わりの深い法律は正確かつ分かりやすく書くという方針で、法案を言語の専門家にチェックさせています。

現行のStVOがこの制度によるチェック対象になったかどうかは知りませんが、第1条を読んだ限りでは、それほど複雑怪奇な文ではないという印象を受けます。

日本の交通法は今ではすっかり、一般人に理解させないことが目的であるかのような難解なものになってしまっていますが、かつてはもっと読みやすいものでした。

大蔵省印刷局(1920)「官報 1920年12月16日」国立国会図書館デジタルコレクション
道路取締令
第一條 道路ヲ通行スル者ハ左側ニ依ルヘシ

文の構造が単純で語数も少ないので、読解に要するワーキングメモリーが少なくて済みますね。


2018年2月11日追記{

文の読みやすさを自動判定したり、読みやすい文への書き換え提案をしてくれるソフトが法案作りに生かされると良いですよね。

イメージとしては、オンラインサービスのアカウント登録の画面でユーザーが入力したパスワードの強度を判定してくれる機能のようなもの。

法案の文の従属節が重すぎたり入れ子構造が複雑すぎたりすると、「文が分かりにくすぎます!」と警告を出すとか。

あと、複数の条項で使われる用語の定義が、その法律の冒頭ではなく、途中の条項で唐突に出てくるのもエラーとして弾いてほしいですね。グローバル変数を関数内で定義するようなものなので。

六道山公園・里山民家