「先輩に寄せ書きを贈る」とか
「先生に花束を渡す」とか、
受け渡しの動詞では「誰々に」と言いますね。
「誰々へ」はそんなに聞かない気がします。
Google でちょっと検索してみると、例えば
「に渡す」 約 1450000件
「へ渡す」 約 72800件
とか
「に贈った」 約 54700000件
「へ贈った」 約 540000件
と、結構差が付いてます。
こんなのはどうでしょうか。どっちが自然か。
「万引き犯を捕まえた生徒ら3人に感謝状を贈った」
「万引き犯を捕まえた生徒ら3人へ感謝状を贈った」
まあ、こういう問題は考えている内に
どっちでも良くなってくるんですが。
ところが、花束に添えるカードとなると、これは間違いなく
「先生へ」
です。小学生の女の子なんかはこんな風に書いてましたね。
いったい何処からこういう装飾法が出てきたのか、
自分自身が小学生だった時から疑問で、
同級生を謎の生き物を見る様な目で見ていたような記憶が有ります。
(だってこれじゃ「べ」だし。)
そういえば、もう少し年代が上がると
『文章読本さん江』
みたいな凝った表記が…
ではなくて、こういうカードで「先生に」とは
書かないのは何故か。
1. 「先生に」だと、後ろに「(あげる)」とか「(贈る)」が
省略されているように感じられますが、「先生へ」だと
それだけでも文が完結するような感じがします。
どういう事か。
2. 「先生への」は言える; 「先生にの」は言えない。
この前の文法学会で柴谷先生がこんな事を発表していました:
「私の」は後ろに名詞が続こうが、「が」が続こうが、
準体言として機能していると考えられるそうです。
「先生へ」も似た様な機能が有るから言い切った形が自然になる?
ちょっとまだ分かりませんねえ。