2016年3月4日金曜日

E-PL6とE-M10のレビュー (2) モニター

E-PL6とE-M10の比較レビュー

両機種のモニターには大きな違いが有ります。



色再現性

E-PL6のモニター
ほとんどの色で色相と彩度が実物から大きくズレている。

E-M10のモニター
実物通りの色が再現されている。

E-M10はどの色も実物を肉眼で見た通りに再現されますが、E-PL6は色相が
  • 朱色が赤色寄りに
  • 緑色がエメラルドグリーン寄りに
  • エメラルドグリーンが水色寄りに
  • 水色がスカイブルー寄りに
  • スカイブルーが青寄りに
  • コバルトブルーが青寄りに
  • 紫色がコバルトブルー寄りに
大きくずれ、彩度も
  • 緑〜エメラルドはガタ落ちしてボソボソした色に
  • 水色〜コバルトブルーは爆上がりしてギンギンの色に
なります。

写真を取り込んでパソコンのモニターで表示させると両機種とも出力データはまともな発色である事が分かりますが、E-PL6では、撮影中にモニターを見ながら色合いを調整するのは難しいです。



解像度

E-PL6のモニター(部分)

上の等倍切り抜き
ドットがデルタ配列になっている。

E-M10のモニター(部分)

上の等倍切り出し
ドットはストライプ配列。

画面解像度は仕様表からも分かるように段違い(E-PL6が約46万ドット、E-M10が約104万ドット)で、E-PL6では撮影後の写真を確認する時、かなり拡大しないとピンぼけやブレの有無がハッキリ掴めません。

この画素数の少なさは同時期に発売された他社のモデルと比べても大きく見劣りするもので、後継のE-PL7ではE-M10と同じモニターに変更されました。一方、E-M10の後継のE-M10 Mark IIはドット数は同じですがデルタ配列に変更されました。

参考サイト


縦横比

4:3画像を表示した時の表示面積の比較

モニターの縦横比はE-PL6が16:9、E-M10が3:2です。画像表示領域の実寸は、4:3(micro 4/3では最大画素数になる標準的な比率)の写真を表示させた場合、E-PL6が約49x37mm、E-M10が約55.5x42mmで、E-PL6の画面はかなり窮屈に感じられます(ちなみにRICOHのCX2は約60x45mmで、E-M10より更に大型です)。



フォント

E-PL6のフォント

E-M10のフォント

E-PL6は(横長の画面に合わせてか)フォントが僅かに横に引き延ばされています。学校の配布物で多用される横長フォントが死ぬほど嫌いな私にとっては地味に神経に障ります。



タッチ操作

タッチ操作は両機種とも対応しています。買う前は必須の機能だと思っていましたが、タッチシャッターだとカメラを片手で支えなければならず、不安定になってフレーミングしにくいので、たまにしか使っていません。もっと軽いカメラや、グリップの大きなカメラなら違ったかもしれません。

同じタッチ画面でも、E-PL6には慣性スクロール機能が無いので、再生画面で拡大表示している時に写真の端から端まで行き来するのが大変です。E-M10も、滑らせた指先が画面のタッチ検知領域を外れると慣性スクロールが働かず、期待に反してスクロールに急ブレーキが掛かるので、操作感はそれほど快適ではありません。



可動機構

モニターはどちらも上下両方向にチルトしますが、可動軸の配置の違いから、E-PL6の方が展開・格納しやすいです。

E-PL6のチルトモニター

下向きにも、


上向きにもすぐ展開できる。
(上向きに開く場合、この角度でクリック感が有ります。)

E-M10のチルトモニターは、

下向きにはすぐに展開できるが、

上向きにするには、下向きに開いた状態からでないと展開しにくい。


E-PL6は自撮りできるように、モニターをさらに展開してレンズ側に向けられますが、複雑な機構が災いして展開・格納の手順が面倒で分かりにくく、完全に展開できているのかどうか確信が持てない気持ち悪さが有ります。

これで展開完了と思いきや、

さらにもう一つの関節を開いてから、

最終的にこう。クリック感も無く、見た目にも中途半端で、
完全に展開できているのか分かりにくい。

この点はSONYのNEX-5R、5Tの機構の方が賢く設計されていました(後継機のα5000、α5100には引き継がれませんでしたが)。E-PL6の後継機のE-PL7も(展開方向は下になりましたが)スマートな造りです。


E-PL6のモニターはローアングル撮影しやすい。

E-M10はファインダーのアイカップが邪魔でモニターの上部が見えない。

いずれにせよ、以前使っていた固定モニターのCX2では、ハイアングル・ローアングル撮影で構図が掴めず失敗写真を連発していたので、それに比べれば可動モニターの有る両機種は遥かにマシです。今後またカメラを買う事が有るとしたら可動モニターは絶対条件だと思いました。



ファインダー

E-M10のみの装備です。メガネやゴーグルを掛けたままだとアイカップに目を密着させられないので、太陽に向かっていると隙間から日光が少し入ってきます。また、メガネがぐらぐら揺れるので、カメラを押し当てて安定させる事ができません。ただ、撮影場所が狭くて後ろに一歩も下がれない場合は、目とカメラの距離を詰められる分、ファインダーが有って良かったと思いました。

裸眼だと鼻の頭がモニターに当たって脂が付きます。ファインダーはレンズ光軸上より左肩にある方が使いやすいのではと思います。

モニター/EVF自動切替センサーは感応距離が長く(*)、意図せずEVFに切り替わってしまう事がしばしば有ります。この自動切替の所為で、モニターを見ながら撮影している時にそのモニターが急に暗転してしまったり、再生モードで撮影画像を確認している時に再生モードから撮影モードに切り替わってしまう事が有ります。不便なので私は自動切替をOFFにしています。

* 感応距離はセンサーの前に置く物の反射率によって変わるようです。鏡だと約19cm、銀色塗装面だと約13cm、白い紙だと約9cm、黒いネオプレン素材だと約8cm、深緑色のナイロン生地だと約7cm、メガネのレンズだと約6cm、ヒトの肌も同じく約6cmでした。

2016年3月8日追記 モニターに比べ、EVFの発色はかなり緑被りするので、色合いの正確な調整が困難です。


シリーズ一覧