2017年3月6日月曜日

内堀通りと白山通りの自転車ナビマーク

いやいやいやいや、こんな危険な環境に誘導したら駄目でしょ。

2017年3月17日 注釈3の出典を書き忘れていたので追加。



下り坂で車と自転車の速度差が小さくなるとは言え、これは流石に危険すぎます。
「車道を通行する人は自己責任で」などと看板を立てて警告すべきレベル。

ちなみに撮影した場所は、

この工事箇所の背後で車が来ない場所です。



同じ場所の北の丸スクエア側の歩道

下り坂で自転車の速度が出やすく、歩行者との分離が望ましいのは確かですが、だからと言って何の防護措置も取らずに自転車を車道に(実質的に)誘導して良い理由にはなりません。車道空間の再配分をしない口実として自転車ナビマークが本格的に使われ始めましたね。

過去の関連記事


坂を下りきって九段下交差点(北側)

うわー、マジかー。引き続き靖国通りでも車道を走れと。

同じく九段下交差点(南側)


撮影したのは日曜日なのでこの程度ですが、平日ともなれば車の激流です。


振り返って九段坂

車線幅の余裕の無さに加え、こちら側は急な登り勾配で車と自転車の速度差が大きく開きがち。さらに画面奥に進んだ先の九段坂上交差点(写真に写っているのはその手前の田安門交差点)で左折する車は予め最左車線に入っておこうとするので、側方間隔を取らずに同一車線内で自転車を追い越しがちです。ナビマーク設置は正気の判断とは思えません。


死亡事故リスクを承知で自己責任で車道を走っているなら仕方ないですが、
ナビマークが彼らに「ここを走るのが正しい」と誤解させているなら酷い話です。



この速度、この質量の車に追突されたら死にますよ。


九段下から少し飛んで平川門


白山通りとの交差点です。


白山通りにはナビマークが設置されています。


反対側も同じく。


そして自転車横断帯が撤去されています。ペンキの質感が真新しい。

内堀通りを自転車で時計回りに通行する場合、車道通行の自転車も平川門交差点では歩道に上がる必要が有ります。車線幅に余裕が無く、最左車線が左折専用で、かつ左折レーンのみ先に信号が青になる為、車道上での待機が危険すぎるからです。この自転車横断帯を撤去したのは賢明な判断とは言いがたいですね。


再び内堀通り。平川門交差点から自転車ナビマークが現われ、
気象庁前交差点へと続いています。パレスサイクリング開催日なので車はいませんが、
平日なら、気性の荒い車に追い立てられる事になります。


自転車横断帯の撤去作業に遭遇しました。


大手町一丁目2番地の南西角の丁字路。ここは自転車横断帯の撤去がどう影響するかな。内堀通り(反時計回り)からの二段階右折が車道上でできるようになってしまう? 区道104号からの右折は? 平川門と同じく「撤去すべきではなかった自転車横断帯」の気がする。


問題の図解です。ベースの地図画像はmacOSのMaps.appから。
自転車横断帯の撤去前は内堀通り(南側)から千代田区道104号に右折する場合、
道路交通法63条の7により水色の線を辿る義務が有ったのではないかと思いますが、


自転車横断帯の撤去が及ぼす影響

動線を制約する自転車横断帯が撤去されれば、このような通常の二段階右折が可能になってしまいます。しかし車道上に安全に待機できるスペースは無く、後続の直進車に撥ねられる恐れが有りますし、右の区道から流入する右折車も、まさかこんなところで自転車が正面から向かってくるなどとは予期していないでしょうから、高速(*1)での右直事故に繋がりやすいと考えられます。

*1 交差点面積が大きいので、区道からの右折車は停止線から自転車とのコンフリクトポイントまでの距離(上の図では約35m)で相当加速できてしまいます。かなり緩いカーブで曲がれてしまいますし。


区道から内堀通りへ右折する場合

自転車横断帯の撤去を歓迎する人はこのような不合理な動線を強いられなくなる事を念頭に置いているのでしょう。


自転車横断帯が無くなれば交差点内を直線的に通行できる

自転車横断帯が無くなれば最短距離で通行でき、左折車のドライバーを惑わせる事も無くなる、という考えです。しかしその想像は、自転車が先頭で信号待ちをしていた場合しか当たりません。

大手町のこの交差点ではなく別の交差点の話ですが、ひとたび左折車が動き始めてしまうと自転車の進路はあっという間に塞がれ、後から交差点に来た直進自転車は左折車の間をすり抜けたり、元々自転車横断帯があった場所まで迂回するなどの挙動を取る事が分かっています。

過去の関連記事


現実的な自転車の挙動

千石一丁目交差点と違って車道端にすり抜けの余地が無い場合は「車と一列に進むので安全」というのが、国の委員会の有識者が行なった構内実験(*2)の結論であり、それが国土交通省・警察庁のガイドラインの設計例(*3)の根拠にもなっていますが、

*2 ABDUL RAHIMI Abdul Rahman, KOJIMA Aya, KUBOTA Hisashi. (2013). "Experimental Research on Bicycle Safety Measures at Signalized Intersections(信号交差点における自転車安全手法に関する実験研究)". Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies, Vol.10, pp.1426–1445
*3 国土交通省・警察庁(2016)「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(改定版)」p.II-39, II-41など

先を急ぐ自転車が車道上でおとなしく左折車の渋滞に嵌まっているという想定自体が甘いです。現実には図のように交差点の手前でさっさと歩道に上がり、車道の左折車列を一挙にパスして自転車横断帯から通過してしまうでしょう。久保田らが実験を行なった旧・運転免許試験場には歩道が無いので、その可能性を見落としているんです。