幅員に余裕がなく大型車が頻繁に通る国道15号(大森警察署前付近)
日本の自転車行政は近年「自転車は車道が原則」を盾にかなり無茶な事をするようになってきましたが、ついに一線を越えましたね。自動車交通量も無視、実勢速度も無視、大型車混入率も無視、車道の幅員構成も無視、歩行者との分離必要度も無視。とにかく車道を走るのが正しいとばかりに闇雲にピクトグラムを設置し始めました。
平和島口付近
平和島口付近
大森橋交差点
大森橋交差点
大森警察署前交差点(Y字分岐)の北
分岐の左手の産業道路には大型貨物車がガンガン流れていきます。
大森警察署前交差点
車道の端は生きた心地がしないです。
まともな危険感覚が有る人なら絶対走らないでしょう。
まともな危険感覚が有る人なら絶対走らないでしょう。
ナビマークはこれまでの各地の整備事例とは違い、塗料がかなり分厚いです。
大森警察署前交差点の南(Y字分岐の通過後)
右奥の路面にナビマークが。交差点を過ぎるとすぐにマークが復活しています。
警察署前バス停。歩道が狭い訳ではありません。
梅屋敷駅付近
車道端にナビマークが見えますが、依然として大型車が多いです。
ナビマークの有無に関わらず自発的に車道を通行しているのか、
ナビマークに従って歩道から車道に降りたのか。
ほぼ全ての利用者は歩道を通行しています。賢明な判断です。
停車帯の無い主要幹線道路ですが路上駐車が発生しています。
また1台。
この通行環境は怖過ぎるでしょ。
車道と歩道の境界から。安心感がまるで違います。
排気ガスや騒音への曝露量も。
大型車は車線内にギリギリ収まるかどうか
歩道は平和です。
2017年2月16日追記{
歩道上での歩行者と自転車の混在通行が、最終的な形として最適だと言いたい訳ではありません。もちろん両者の通行空間は分離されていた方が望ましいです。しかし、だからと言って、危険すぎる車道に自転車を誘導するかのようなマーキングが正当化されるでしょうか?
こうしたマーキングは、国のガイドライン(p.I-17, pdf p.30)では飽くまで暫定措置としての位置付けですが、交通の激しい環境下で自転車道が整備されるまでの暫定措置として日本で本来用いられてきたのは、自転車の歩道通行の容認です。
車道左端の自転車ピクトグラム設置は、その本来の暫定措置以前の状態への単純な逆戻りであり、車道上で自転車の死亡事故が多発していた過去の経緯を完全に無視しています。また、その議論では、歩行者と自転車、自転車と車のどちらのペアを混在通行させる方が死亡・重傷事故リスクが高いかという量の概念が欠落しており、視覚障害者や高齢者といった分かりやすい被害者の存在に訴えるという感情的な主張が横行しています。
自転車は(専用レーンなどが有ろうと無かろうと)車道を通行した方が実は安全だという国内の有識者らの主張についても、それらが持論に都合の良い先行研究のみを引用したり、持論に都合の良い結果だけが出るように調査・実験をデザインしたり、持論に都合の良いデータだけを元に考察したり、限定的に解釈すべき結果を安易に一般化するなどの誤謬から導かれたものである事が徐々に明らかになってきました。
客観的な事実に基づいて国に助言すべき専門家らが一様にバイアスに囚われ、「車道通行原則」という根拠のない信条を後押ししているという異常な状況が現在の日本の自転車施策の背景にある事を考えれば、都内有数の重交通路線の車道に自転車のピクトグラムを設置させる事がどれほど軽率な判断か分かろうというものですが、国のお墨付きが有れば疑いを持つ必要は無いと慢心しているのか、ここ最近、国道15号と似たような環境での設置事例が増えているそうです(環七や新青梅街道など)。
で、そんな事態を是正しようと専門家の論文に真正面から切り込んでガイドラインの誤りを指摘する文書を作っています。もうすぐ完成するのでお楽しみに。
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