2017年2月27日月曜日

尾竹橋の自転車レーンの転倒事故と利用低迷の原因


転倒事故を目撃しました。



自転車が転倒したのは右折レーン付加の都合で自転車レーンが途切れた直後にある、

この車両乗り入れ部です。



高さ5cm。遠目には簡単に乗り越えられそうに見えるも、
いざ鋭角に乗り上げると予想に反してタイヤが取られる危険な縁石形状です。

「自転車レーンここまで」の標識、路面の青色ペイント打ち切り、自転車を歩道に押し出すような破線、信号待ちの車列による進路塞がり、そしてちょうど良い位置で途切れている横断防止柵と車両乗り入れ部と、ここまで条件が揃えば、車道を走ってきた自転車が乗り上げてしまうのも仕方ない。

しかしここは単純に車の出入りが有るから縁石が元々下げてあっただけで、
自転車の安全な乗り上げは考慮されていません。

車道がクリアならそのまま進めますが、

信号待ちでは大抵こうなってしまうので、

ほぼ全ての自転車利用者は歩道を通行しています。

反対側も自転車レーンは途中からですが、

縁石はここだけ真新しく、

自転車が鋭角に乗り上げても転倒しない形状になっています。
(降りる方向ならあまり関係ないですが。)

しかし間口が狭いため、歩道から車道に進入するには急なハンドル操作が必要で、

車道を走ってくる後続車と衝突しないように一旦停止しなければならず、

そんな無駄な労力を費やす人は誰もいないのでした。

ではそのもっと手前から車道を走れば良いかというと、ただでさえ上り坂で車との速度差が開きがちな所で車道中央にポストコーンが設置され、車が不十分な側方間隔で自転車を追い越しがちになるので危険です。




橋の上の自転車レーンはそこそこ良い出来なんですが、途中が良くても
前後が駄目だとほとんど使われないという典型例でした。

大型車が通ると圧迫感。

あと、橋を過ぎると自転車レーンが急に狭くなりますね。
国内の劣悪な幅員基準ならセーフですが、オランダ基準の最低値(1.5m)は
割り込んでいます(CROW (2007) Design manual for bicycle traffic, p.118)。

「自転車専用通行帯ここまで」の標識は2016年6月22日設置

尾竹橋の北側も画面奥の変則交差点まで自転車レーンが続いています。

数十台に一台程度、自転車レーンを通行する利用者を見かけます。
必ずしもスポーツ寄りではありません。

渋滞脇の自転車レーンは空いていますがほとんど使われていません。
歩道なら車道の赤信号とは無関係に通過できるからというのも一因でしょう。

寧ろバイクに便利に使われていますね。

バス停の様子

自転車レーンの停止線は2〜3メートルほど前出しされています。
前方は千住桜木町交差点。ナの字を上下反転させた形に折れ曲がる変則交差点です。

交差点の角から観察。あわや接触の危険事象に遭遇しました。
歩道上で待機し、横断歩道から通行した方が遥かに安全です。

白い車は左折車ではありません。交差点に変則的な角度が付いているので、
最短距離で直進しようと縁石ギリギリを通行しています。自転車にはお構いなし。

交差点の先は西新井橋のアプローチの登り勾配で、且つ車線付加の都合で空間の余裕が全く無くなるので、ここも同じく歩道を通行した方が安全です。つまり、現状の車道の空間配分を前提にするなら、この交差点の手前で自転車を歩道に誘導しておく必要が有ります。

千住桜木町交差点で折り返し、尾竹橋方面を振り返ったところ。
前出し停止線はバイクには便利に使われています。

都心方面車線の自転車レーンの始端。ここも入り口が車両乗り入れ部です。
奥に自転車レーンを通行する自転車が見えます。

自転車の車道通行原則が今ほど強調されるようになる前の2008年頃なら、歩道から安全に出入りできるようにレーン始端部手前の車道上に、斜めの破線に沿ってポストコーンなどが並べられていたでしょう。

今それをすると、「その手前から【道路交通法の本来のルールに従って】車道左端を走ってきた自転車を危険に晒すのか」とか「歩道通行を前提とする構造はけしからん」などと文句を言う人が現われるでしょう。そうしたクレームを心配してか、自転車レーン始端部の手前(或いは終端部の先)の処理が中途半端になってしまっているように思えます。

しかし、ここ千住桜木町交差点を北(西新井橋方面)から南(尾竹橋方面)に向かう場合、北側の流入部の第1通行帯が左折専用なので(しかも先行して青が出る)、自転車では車道からの直進が危険すぎて不可能。自転車が一貫して車道を通行し、交差点を直進するという想定そのものが非現実的です。

市街地では珍しく路上駐車に塞がれていない自転車レーン

自転車レーン整備前と比べたら若干安心感は上がっているんですが
(特に尾竹橋アプローチの登り区間)、車道通行自転車は依然として少ないですね。