大抵どのカメラにも付いている位置情報の記録機能だが、メーカーによって使い勝手が大きく異なる。手持ちの4機種を格付けした。
キーワード: GPS, UI, UX, Apple, OLYMPUS, LUMIX, FUJIFILM
1位 Apple iPhone X (★10)
文句なしの1位はiPhone。特に何の操作をしなくても位置情報を付与してくれる。理想形。
2位 OLYMPUS OI.Share + OM-D E-M10 (★7)
スマホ上のアプリで記録しておいた位置情報を、撮影終了後にまとめてカメラに転送・書き込みするタイプ。iPhoneよりは一手間増えるが、アプリの設計が抜群によく、操作ステップ数が必要最小限に抑えられている。動作も小気味よく、ほとんど待たされない。
記録開始はアプリの最初の画面でスイッチを1タップするだけ。 記録停止は2ステップ、カメラへの転送・書き込みは6ステップで完了。 |
余談だが、他社アプリと違ってログを外部に書き出す機能もある(LOG形式)。これをGPS VisualizerなどでGPX形式に変換すれば他のアプリでもログを利用できる。StravaやWahooがクラッシュしたり保存中にログが消失した際、このアプリのログがバックアップとして使えるのだ。
3位 Panasonic Image App + LUMIX DMC-FZ1000 (★2)
基本的にはOLYMPUSと同じ方式だが、不必要でお節介な確認ダイアログ (*1) が何度も出たり、ログ転送・書き込みに数十分 (*1) かかったりと、煩雑でストレスフル (*2) な使い勝手。カメラ自体のUIは定評があるが、スマホアプリの出来は同一メーカー製とは思えないほどひどい。
- "Start geotagging" ボタンをタップしようとしたその瞬間、カメラとのWi-Fi接続を求めるダイアログが現れて妨害してくる。
- 行動時間、撮影枚数が多い場合。
要らんお節介ダイアログのせいでログ開始まで3ステップ。 停止は確認ダイアログがなく1ステップ。 転送・書き込みはカメラ側での操作も含め全15ステップ。 |
4位 FUJIFILM Camera Remote + X-A7 (★-5)
上の2ブランドと異なる方式。スマホとカメラをBluetoothで繋げると、撮影中に随時、アプリからカメラへ位置情報が自動で転送・書き込みされる。アプリ側で位置情報の記録開始を忘れるといった失敗とは無縁で、撮影終了後もわざわざログを転送する操作が不要なので最強かと思いきや……
- 毎回、撮影開始前にアプリとカメラを共に立ち上げてBluetoothの接続を確認する必要がある。
- カメラの電源を切るとBluetooth接続も一旦切れる。
- 次にカメラの電源を入れた時、Bluetooth接続が再確立するまで数秒の時もあれば、数十秒〜数分待たされることもある。シャッターチャンスは望むべくもなく、登山中は汗冷えのリスクもある。
- 何分待っても一向に接続が再確立しないこともある。その場合はスマホをポケットやバッグから取り出し、アプリを立ち上げる必要がある。日焼け防止に手袋やフェイスカバーをしていると指紋認証も顔認証もできず、とても面倒くさい。
- Bluetooth接続が再確立する前にシャッターボタンを押すと、カメラ内に保持されていた前回接続時の位置情報が書き込まれてしまう。つまり、
- 撮影→電源OFF→移動→電源ON→撮影……、という流れを素早く繰り返す撮影スタイルだと、最初にBluetooth接続した際の位置情報(例えば出発前の自宅)が延々と更新されず、全ての写真に間違った位置情報が付与される。
- Bluetooth接続状態を示すカメラモニター上のアイコンの変化(灰色→白)が地味すぎて、ぱっと見では接続できているのかどうか分かりにくい。特に屋外活動中は周囲の環境からの五感情報に認知リソースが持っていかれるので、こうした細かな変化に気づくのが難しくなる。
……と問題だらけ。アプリの大刷新を期待する。
ログ開始/停止ボタンがなくシンプルなUIだが、実際はとんでもない曲者。 |
総評
「山カメラと言えば[ ]」の地位をOLYMPUS(現OM-SYSTEM)が獲得しているのが改めて納得できる結果。カメラ本体の堅牢さ、節度感、信頼性だけでなく、アプリの造りも素晴らしい(もちろん理想はiPhoneなのだが)。