2023年3月5日日曜日

EV充電器の路上設置ガイドライン案に対する意見

国土交通省道路局が3月8日まで実施しているパブリックコメントに意見を提出しました。参考にどうぞ。

 

図に自転車通行空間を加えて

【該当箇所】

4-5, 8-9, 13ページ, 図

【意見】

海外事例を参考に自転車通行空間を描いた図を追加すべきである。

例えば自転車道との組み合わせなら
Rochussenstraat, 3015 ZA Rotterdam, Netherlands (北緯51.910881, 東経4.461016)

自転車専用通行帯との組み合わせなら
7 Av. de la Republique, 75011 Paris, France (北緯48.866568, 東経2.367849)

【理由】

具体的な図がなければ不適切な設計で自転車利用者に不利益が生じることが予想されるため。


駐車枠より自転車通行空間を優先整備して

【該当箇所】

6ページ, 4-8行目, 駐車枠の幅や位置等

【意見】

規制速度と実勢速度の少なくとも一方が30km/hを超える道路で、自転車道または自転車専用通行帯が現状ない場合は、いずれかの自転車通行空間を確保しない限り、駐車枠の設置を認めるべきではない。

【理由】

自転車通行空間と駐車枠の間に明確な優先順位を設けなければ、車利用者を優遇して歩行者と自転車利用者に皺寄せするアンフェアな現状が固定されてしまうため。

なお、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」は諸外国の設計マニュアルの改訂動向を看過しており、一般的な自転車利用者の不安心理も考慮していないため、同ガイドラインの示す整備形態の選定指針は参考にすべきではない。


自転車通行空間の中や至近に充電機器を置かないで

【該当箇所】

6ページ, 9-19行目, 充電機器の配置

【意見】

自転車道/自転車専用通行帯の右隣(車道中央側)に駐車枠を配置する場合は、両者の間に充電機器を収容するための施設帯を別途確保するよう義務づけるべきである。

加えて、自転車道/自転車専用通行帯の端から50cm以内には充電機器を設置しないよう、建築限界を数値で明示すべきである。

【理由】

施設帯と建築限界の必要性を明文化しなければ、自転車通行空間のただ中に充電機器を設置する無配慮な設計が横行し、自転車の安全性・快適性を損なうことが、共同溝の地上機器の例から予想されるため。


駐車ベイと自転車レーンの組み合わせは制限して

【該当箇所】

7ページ, 10-17行目, ベイ型の留意事項

【意見】

歩道を抉るベイ型と自転車専用通行帯の組み合わせ設置は、次の条件を全て満たせる場合に限定すべきである。

  1. 規制速度と実勢速度が共に30km/h以下である
  2. 自転車専用通行帯以外の一般車線の本数が各方向1本以下である
  3. 駐車枠と自転車専用通行帯の間に50-75cmの間隔を確保できる

【理由】

歩道側の駐車ベイと自転車レーンを組み合わせたレイアウトは、駐車車両のドア開けが発端となって自転車が後続の他の車に撥ねられるリスクが高いことが知られており、海外の設計指針では採用しないよう強く警告されている(CROW. 2017. Design manual for bicycle traffic)。上述の条件は自転車利用者の死亡・重傷リスクを回避するための最大限の譲歩であり、これより高リスクな環境では同レイアウトを認めるべきではない。

なお、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」は前掲の海外文献の記述を看過しており、このガイドラインに準拠しても自転車の安全性、快適性は保証されない。


ゾーン30以外では駐車ベイ構造を必須にして

【該当箇所】

7ページ, 18-26行目, ストレート型の留意事項

【意見】

ストレート型の設置はゾーン30内(幹線道路の副道も含む)に限定すべきである。

どうしても幹線道路上の既存の駐車枠を流用したい場合は、交差点と横断歩道の周辺で歩道を車道方向に拡張する処理(bulb-out)により、単路の駐車枠を実質的なベイ型に転換することを義務付けるべきである。

【理由】

同一空間に駐車機能と走行機能を重複して割り当てるのは、トラフィック機能重視の幹線道路では(特に自転車にとって)危険である。これまでそのようなパーキング・メーター/チケット枠が設置されてきたからといって、安全原則(トラフィック機能重視の道路にアクセス機能の要素を混入させない)から逸脱していることに変わりはない。むしろこれを機に改めるべきである。