2013年7月29日月曜日

伸縮生地の手縫い

伸縮生地を手縫いするために
新しい縫い方を考えてみました。





スポーツ用の伸縮生地をミシンで縫おうとすると、
布が針板の穴に引き摺り込まれてしまったり、
針目が異常に密になったりしてしまいます。

そうならないようにトレーシングペーパーを
重ねて縫うという技も有るようですが、
作業後に捨てる材料を使うというのは気に入らないので却下。

ミシンを使わずに手縫いする場合は、しかし、
生地の伸縮に追随できない並縫いや返し縫いが使えません。

なので伸縮性の有る千鳥掛けが基本になるのですが、
この縫い方は時間も手間も掛かります。

そこで、新しい縫い方を考えてみました。



図1 縫い方A


基本的には糸を2本使った纏(まつ)り縫いです。

千鳥掛けとの決定的な違いは、
針を布に通す時に繊細な位置調節が不要なので、
高速で縫える(だろう)という点です。

また、布側の応力集中も緩和できるかもしれません。

必要な糸の長さは、
針目間隔を2mm、斜め部分の長さを5mmとすると、
縫う距離の約5倍です。(布の厚みは無視)

これでちょっと試してみます。結果は後日追記します。


図2 縫い方B

ちなみに、こういうズラし方も考えられます。



2013年7月30日追記

実際に縫ってみました。

図3 縫い方Aの実例(表側)

図4 縫い方Aの実例(裏側)


1本目の糸で縫い終わった時点で気付いたのですが、
これ、別に糸を2本使わなくても良さそうです。
袖口や裾で布端を処理するだけなら1本でも十分でしょう。

ただ、2枚の布をはぎ合わせたりポケットを取り付けたりする場合は、
縫い目の強度を上げるという意味では有効かもしれません。

前々からフラットシーマを手縫いで模倣できないかと
考えていたのですが、この縫い方で良いなら御の字。
スポーツウェアの手作りの自由度がかなり上がります。



千鳥掛けとの比較では、布が裏側に反り返らないので、
糸の弛みが発生しにくいという利点が有りました。

図5 千鳥掛け(表側)
以前縫ったジャージーの裾です。
表側に縫い目が殆ど出ないという利点は有りますが、

図6 千鳥掛け(裏側)
裏側は糸に引っ張られて反り返っています。

図7 千鳥掛け(裏側)
布が反り返った所為で糸が余り、生地から浮いています。