2018年8月26日日曜日
亀戸駅前の自転車道は何メートル幅で整備すべきだったのか
日本では自転車道(や歩道上の自転車通行空間)が幅員 2.0 m で建設されることが多いです。これらは道路構造令の最低基準(10条3項)を機械的になぞったものと思われます。
しかし、道路管理者が有効幅員 2.0 m のつもりで設計した自転車道の【体感的な】幅員は、柵や縁石からの圧迫感がある分、物理的な幅員より狭くなりがちです。
2018年8月24日金曜日
2018年8月20日月曜日
Wiktionaryの “door” を編集しました
英語の “door” は自転車界隈では「車のドアを突然開けて衝突事故を引き起こす」という意味で動詞化しており、受動態でも能動態でも、動名詞としても使われています:
KushCam (2016)
Bowden, A. (2017)
O’Neil, L. (2017)
この語義はWikipediaの姉妹プロジェクトであるWiktionaryの英語版はもちろん、日本語版にも2015年2月28日の版から(英語版の翻訳という形で)採録されていますが、その語釈が明らかに間違っていたので修正しました。
KushCam (2016)
Foodora Cyclist gets Doored on Bay Street
(ベイ・ストリートで料理配達の自転車が突然開いたドアに衝突)
Bowden, A. (2017)
Police officer deliberately doors thief riding Boris bike
(警察官、ボリス・バイクで逃げる泥棒をドア開けで足止め)
O’Neil, L. (2017)
Toronto introducing new rules to cut down on cyclist dooring
(トロント、自転車のドア衝突事故を減らすため新ルール導入)
この語義はWikipediaの姉妹プロジェクトであるWiktionaryの英語版はもちろん、日本語版にも2015年2月28日の版から(英語版の翻訳という形で)採録されていますが、その語釈が明らかに間違っていたので修正しました。
2018年8月18日土曜日
「世界の潮流から外れる日本の自転車政策」の発表スライド
2018年7月8日に文京学院大学で開催された交通権学会で口頭発表をしました。その際に使ったスライドを公開します(発表後に若干の修正を加えています)。
「世界の潮流から外れる日本の自転車政策——過去の経緯と今後の課題の概括」
読み上げ原稿はスライド下部の歯車アイコンから “Open speaker notes” で表示できます。スライドには書き切れなかった補足や詳しい出典などもここに入れてあります。
もちろん、これがそのまま因果関係であるとは限りません。逆の解釈も可能です: 国土交通省と警察庁が予め施策の大まかな方向性(自転車道は極力整備させず、車道空間を温存する、など)を決めておき、それに都合の良い主張(「自転車道は不要」)をしている団体・有識者らを検討委員会に取り込んだという可能性です。
発表の冒頭で触れた、国土交通省ほかに送付した意見書を紹介している記事です。PDF原稿へのリンクがあります。
「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」についての意見
Cycling Embassy of Japanのサイト内特設ページ。上と同内容のPDF原稿を公開しています。
「世界の潮流から外れる日本の自転車政策——過去の経緯と今後の課題の概括」
読み上げ原稿はスライド下部の歯車アイコンから “Open speaker notes” で表示できます。スライドには書き切れなかった補足や詳しい出典などもここに入れてあります。
発表の概要
学会に発表を申し込んだ際に提出した概要です。世界では、渋滞や運動不足の対策として自転車の利用を促進する都市が増えている。その手段として重視されているのが、自転車を誰でも使える移動手段にするための、主観的にも客観的にも安全な通行空間整備である。特にニューヨークは、従来の施策方針から大転換し、車道から構造的に分離された通行空間を整備することによって、自転車の交通量や安全性、自転車利用者の多様性を向上させている。
一方、日本では2008年の有識者懇談会以降、「自転車は歩道より車道を通行した方が事故リスクが低い」との認識が広まり、車道上を自転車通行空間とする施策が増加したが、その根拠となった研究には結論ありきのチェリーピッキングをしているものが多く、安全性の正確な評価が為されていない。また、通行空間の安心感が軽視され、一般的な自転車利用者にはあまり恩恵が及ばない整備事例も散見される。
本発表では日本におけるこうした自転車政策の歪みを詳しく取り上げ、真に安全で快適な自転車通行環境の実現には何が必要かを論じる。
3行でまとめると
発表の核心部分は、日本の自転車政策がおかしなことになった経緯についてです。それを3行でまとめると、- 歩道通行政策から脱却する過程でノイジーマイノリティーから圧力を受けた
- 彼らの主張に同調した研究者らが不正行為によって歪めたデータを提供した
- 国土交通省や警視庁がそれらを鵜呑みにしてインフラ整備方針に反映させた
もちろん、これがそのまま因果関係であるとは限りません。逆の解釈も可能です: 国土交通省と警察庁が予め施策の大まかな方向性(自転車道は極力整備させず、車道空間を温存する、など)を決めておき、それに都合の良い主張(「自転車道は不要」)をしている団体・有識者らを検討委員会に取り込んだという可能性です。
関連資料
国土交通省・警察庁の自転車ガイドラインについての意見発表の冒頭で触れた、国土交通省ほかに送付した意見書を紹介している記事です。PDF原稿へのリンクがあります。
「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」についての意見
Cycling Embassy of Japanのサイト内特設ページ。上と同内容のPDF原稿を公開しています。
2018年8月12日日曜日
マラソンのペースと時速の換算グラフ
最近ランニングを本格的にするようになって1kmペースという速さの単位で混乱していたので時速との関係を視覚化してみました。グラフ作成に使用したソフトはGrapher 2.6とGIMP 2.8.22。使用フォントはグラフ右下に書き込んであります。
「メディア方程式」「メディアの等式」は誤訳
「命乞いするロボットの電源を切るのは難しい」ことが最新の研究から明らかに (2018) GIGAZINE. Available at: https://gigazine.net/news/20180803-harder-to-turn-off-robot/ (Accessed: 11 August 2018).
ロボットを使った心理実験の翻訳記事がGIGAZINEに出ていますが、記事中にある「メディア方程式」という表現が意味不明だったので原文を読んだところ、恐らく誤訳だということが分かりました。
「メディア方程式」と訳された箇所の原文は“media equation”です。その意味を掻い摘んで言えば、人が情報機器を相手に、それが人格を持った人間であるかのように振舞ってしまう心理現象です。
であれば“equation”は「方程式」ではなく「同一視」などと訳すべきです。
過去の類例
調べてみると、GIGAZINE以前にも同種の(誤)訳があったようです。
- Byron Reeves and Clifford Nass (2001)『人はなぜコンピューターを人間として扱うか―「メディアの等式」の心理学』 細馬 宏通 [翻訳], 翔泳社
- 池田光穂(no date)「メディア等式(media equation)文献資料集」
関連記事
2018年8月4日土曜日
『自転車の安全鉄則』のウソ (4) 双方向通行の自転車道
TBSプロデューサーの疋田智氏は自転車に詳しい有識者として各方面に強い影響力を及ぼしていますが、その主張には根拠の疑わしいものが多数紛れ込んでいます。それが如実に現れているのが2008年の同氏の著書です。
疋田 智(2008)『自転車の安全鉄則』朝日新聞出版
今回はその中から、対面通行(双方向通行)の自転車道に関する疑わしい記述を取り上げます。
疋田 智(2008)『自転車の安全鉄則』朝日新聞出版
今回はその中から、対面通行(双方向通行)の自転車道に関する疑わしい記述を取り上げます。
2018年8月2日木曜日
Wikipedia「自転車歩行者道」を編集しました
最終更新 2018年8月16日
日本語版Wikipediaの「自転車歩行者道」のページに大幅な加筆をしました。
従来の最新版
私が編集を行なった版
Wikipediaでは簡単な誤字修正程度なら以前にもしたことがありましたが、節の追加を伴う大規模な編集は初めてです。その作業に今回踏み切ったのは、従来の版のチェリーピッキングが目に余り、記事の中立性が著しく損なわれていると感じたからです。加筆の結果、記事の分量は一挙に2倍以上に膨らみました。
日本語版Wikipediaの「自転車歩行者道」のページに大幅な加筆をしました。
従来の最新版
- Wikipedia「自転車歩行者道」2018年4月16日版
私が編集を行なった版
- Wikipedia「自転車歩行者道」2018年7月31日版(最初の加筆)
- Wikipedia「自転車歩行者道」2018年8月1日版(私の加筆の内、主観的だった部分の記述を削除)
- Wikipedia「自転車歩行者道」2018年8月1日版(画像と出典を追加)
Wikipediaでは簡単な誤字修正程度なら以前にもしたことがありましたが、節の追加を伴う大規模な編集は初めてです。その作業に今回踏み切ったのは、従来の版のチェリーピッキングが目に余り、記事の中立性が著しく損なわれていると感じたからです。加筆の結果、記事の分量は一挙に2倍以上に膨らみました。
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