交通工学研究会の『ラウンドアバウトマニュアル』読んだ。自転車の視点から言えば杜撰と言わざるを得ない内容。ラウンダバウト周辺の自転車通行空間に関して何ら設計指針を示せていない。— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
辛うじてコラムの形で、自転車に環道外端を通行させるための矢羽根型路面表示を取り上げ、「現時点では導入事例が少なく効果は検証されていないため、経過観察を行い……」云々と言っているが、冗談じゃない。20年以上前に危険性が指摘され、英米独蘭の設計指針が否定している構造だ。 pic.twitter.com/8TLekthuOG— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
自転車に環道の外端を通行させることの危険性は日本国内の研究者にも既に認知されており、同じ交通工学研究会の既刊『平面交差の計画と設計 自転車通行を考慮した交差点設計の手引』でも指摘されていた。にも関わらず、また一から人体実験をしようというのか😡— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
歩行者の視点からも疑問な記述がある。「食い違い横断歩道」とのアイディアだ。横断歩行者になったつもりで見てみよう。車道を半分渡って分離島まで来た。さて、あなたは次にどちら向きに進むか。右だ。しかし接近する車の有無を確認しなければならない方向は左である。これはbad nudgeだ。 pic.twitter.com/2E5Sohw1o1— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
bad nudgeというよりはmis-nudge(意図的なものならevil nudge)。
香港の湾仔地区にある食い違い横断歩道(staggered crossing)https://t.co/rz2Q9V9VZr— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
このタイプの横断歩道の場合、香港では歩行者が一度に車道の半分しか渡れない信号制御が多かった。これなら歩行者の視線誘導の面でもそれほど問題にならないだろう。
ラウンダバウトに接近するドライバーの視点からもこの食い違い横断歩道はおかしい。著者は横断歩道を環道に近付ければドライバーが環道内を容易に確認できることを利点と考えているが、なぜそれが利点と言えるのだろうか。— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
車の停止位置で分けて考えよう:— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
・車が横断歩道の手前で止まった場合、ドライバーは横断歩行者と環道内の車の動静を同時に把握しなければならない(認知負荷の一極集中)。これは認知エラーの元だ。
・車が環道の直前で止まった場合、後から来た横断歩行者の進路を塞ぐことになる。
こうした記述からは、編集に関わった人たちが依然として、車の円滑な流れを最優先し、歩行者や自転車の安全性を軽視する旧来の発想に囚われているように思われる。— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 18, 2018
// 以下、2018年9月19日に追記
https://t.co/PiPoIaRp8M— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 19, 2018
セルトーフンボス市内のラウンダバウトを航空写真であちこち見ていたらこんなの見つけた。
ちなみに市内の他のラウンダバウトは、環道上に自転車レーンを設置したタイプ(環道から縁石で簡易的に分離したものも含む)が目立ちました。
環道を取り巻く自転車道が双方向通行で、接続する4本の道路はそれぞれ— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 19, 2018
・車道両側に一方通行の自転車道
・自転車道の無い車道混在通行
・車道片側に双方向通行の自転車道
・独立した自転車専用道路
言葉の上では複雑怪奇で一体どう設計すれば良いんだと悩むけど、現物を見れば意外とシンプル。 pic.twitter.com/7WOOy4JrJU
環道を取り巻く自転車道は基本的に一方通行が推奨されている。このラウンダバウトで双方向通行が採用できたのは、車道横断箇所で優先通行権が車の側にあるからだろう(歩行者用のゼブラ・クロッシングも無い)。— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 19, 2018
2007年以降の事故統計(https://t.co/zVgiy1uvlz)を見てもこのラウンダバウトでは1件も発生していない。まあ町外れの住宅街ではあるけど。— ろぜつ (@dc6ykjgs) September 19, 2018