自転車通行空間に隣接する地上機器(地図URL)
青山霊園の東側を走る都道319号で地上機器の寸法を実測しました(2017年3月撮影)。
高さ150cm
幅110cm(進行方向基準では奥行き)
奥行き45cm(進行方向基準では幅)
機器に隣接する点検蓋
白線の幅は15cm
蓋自体の幅は測り忘れましたが、白線の幅を基準に写真上で測ると55cmくらいです。
心理的な圧迫感を考慮した設置位置
地上機器はかなり大振りな物体なので自転車道などに隣接して設置されると自転車利用者に圧迫感を与え、通行空間の心理的な有効幅員を削り取ります。これを防ぐため、地上機器は自転車通行空間の端からある程度離して設置する必要があります。
出典:Rik de Groot (2017:49)
オランダの自転車インフラ計画・設計指針であるCROWの現行版(Rik de Groot 2017, p.49)が示す自転車通行空間の建築限界図では、2輪の自転車の車体中心から
- 手すり、ボラード、街灯柱、標識、街路樹などは 700 mm
- 壁面は 1000 mm
- 手すり、ボラード、街灯柱、標識、街路樹などは 400 mm
- 壁面は 700 mm
* 普通自転車規格が定める車体幅 (0.6 m) の半分を差し引いた場合。オランダの基準では自転車の車体幅は2輪では 0.75 m、3輪では 1.50 m が上限です (Rik de Groot, 2017:43)。
電線共同溝の地上機器はRik de Groot (2017:49) の建築限界図には例示されていませんが、柱と見做すには大きく、壁と見做すには小さいので、その中間程度のクリアランスを持たせるのが適当かもしれません。
点検蓋の幅 (55 cm) がちょうどそれくらいなので、点検蓋が自転車通行空間を侵食しない位置に地上機器を設置すれば、自転車利用者が自転車通行空間の幅全体を、圧迫感を感じずに通行できると考えられます。
Rik de Groot, H. (ed.) (2017) Design Manual for Bicycle Traffic. Amersfoort: CROW (record, 28).
良い例
地上機器の望ましい設置位置の例(2017年2月撮影)
都道12号・新武蔵境通り(地図URL)は地上機器が自転車通行空間から十分なクリアランスを取った位置に配置されています(左手の灌木は近すぎてダメですが)。
通行空間の舗装部分と縁石の境界から…
…約 80 cm のクリアランス
悪い例
再掲
地上機器が白線の外側から僅か 14 cm の位置に設置されています。灌木の枝葉も張り出しているので地上機器の圧迫感が目立ちませんが、これは近すぎます。
植栽のクリアランス
なお植栽の配置についてRik de Groot (2017:185) は、通行空間の路面の端から最低でも 0.50 m 空けるよう指示しています(剪定も同じ)。
狭い空間に無理やり灌木を押し込む日本の悪癖
写真の場所でそれだけのクリアランスを取ろうとすると灌木はほとんど植えられません。植樹帯にこれしか幅を割かないのなら灌木ではなく芝を植えるべきですし、灌木を植えたいなら植樹帯をもっと広く確保すべきです。