2016年7月25日月曜日

都道12号・武蔵境通り(深大寺付近)の自転車通行空間の改良案 (1)

都道12号・武蔵境通り(深大寺付近)

深大寺付近の都道12号は車の停車空間が副道に集約されており、本線上には停車帯などの余裕が一切ありません。

尾根幹にトレーニングに行くのであろうスポーツ自転車乗りはそれでも車道を通行しており、私も一度だけロードバイクで車道を走ってみましたが、車(レクサスの白いステーションワゴン)に横スレスレを高速で追い越されて死ぬかと思いました。

そんな状況なので、スポーツ自転車を除いた一般の自転車利用者は全員、歩道上に用意された自転車通行空間(2.5m幅)を走っています。(スポーツ自転車乗りの中にも、本当は車と一緒に走るのは嫌で、自歩道上の通行空間の線形や平滑性が改善されればそちらを走りたいという人がいるはずです。)

歩道が広い割に歩行者の少ないこの幹線道路では特に、高速の車とニアミスしたり路上駐車に塞がれる事の無い、構造的に分離された自転車通行空間は最も合理的なインフラ形態と言えるでしょう(*)。



* 「自転車の歩道通行は車道の6.7倍危険」という広く流布している数字はアメリカの研究を元に日本の研究者がでっち上げたものです。実際は逆に歩道の方が安全である事が明らかになりつつあります。


さてその歩道上の自転車通行空間ですが、例に漏れず、

交差点の手前で途切れています。

ですが、これだけ空間が有れば連続させる事も可能です。


有り余る空間資源を無駄遣いしている。

信号待ちの歩行者の滞留空間と自転車の通行空間を明確に分離したイメージ


この他にも、直すべき点は山ほどあります。


乗り心地を大きく悪化させる縁石の段差を筆頭に、

バス停の横で分断された自転車通行空間

歩行者空間と自転車空間が区別しにくい配色

急に変化する縦断勾配

共同溝の蓋の段差

ボロボロと剥がれたような粗い舗装

段差を生じさせる、舗装の頻繁な切り替え

あまりにも頻繁な舗装の切り替え

自転車の自然な動線を考慮しない急な屈曲
(これは自転車が歩行者空間にはみ出す誘因になります。)

などなど。

しかし、これらはいずれも設計上の配慮で避け得る問題です。自転車歩行者道というカテゴリそのものを否定したり、車道上の自転車レーンを支持する材料にはなりません。



一方、優れた特徴も見られました。

キツいカーブを描く縁石

細街路との交差点です。隅切り半径がかなり小さく、左折車に速度を落とさせる効果が高いです。これは左折時衝突の予防や被害軽減、優先通行関係(**)の遵守に有効と考えられます。ただ、より望ましいのは歩道を平面で連続させ、車には縁石を乗り越えさせる構造です(***)。

** 道路交通法38条1項で、横断する歩行者・自転車が優先と定められています。
*** Paul James. (2015-02-01). "The Left Hook Problem". Pedestrianise London


低く刈り込まれた植栽

車道と自転車通行空間の間の植栽は低く刈り込まれ、見通しを良くしています。刈り込みは単路部にまで及んでいて、自転車利用者への圧迫感を抑え、通行空間が主観的に広く感じられるようにしています。自転車通行空間の建築限界は本来こう有るべきだと気付かせてくれる配慮ですね。


2016年8月3日追記{