『月刊交通』2015年5月号に掲載された論文、「当事者の進行方向に着目した自転車事故の分析」は、自転車と車の様々な事故を発生地点や車両の動きなどで分類して集計していますが、そこに欠けている事故類型が一つだけ有ります。停止中の自転車と停止中の車の事故です。
どうやったらそんな阿呆な事故が起こるのかと思われるでしょうが、これは以前、私自身が実際に被害に遭った事故形態です。
自転車に乗った私が車道左端で信号待ちをしていると、後から来たタクシーが私の真横の至近距離に車を止め、あろう事かそのまま後部座席のドアを開放。自動で勢い良く開いたドアの先端は弧を描いて自転車のフロントフォークを直撃。タクシーから降りようとした女性が驚いて「あっ!」と声を上げる——という俄には信じがたい事故で、衝撃を感じた瞬間、自分の身に何が起こったのか直ぐには理解できませんでした。
幸い、重くて頑丈なアルミ製のフロントフォークだったので少し傷が付いただけで済みましたが、もしこれがCFRP製の軽量フォークだったら一発で駄目になって数万円が飛んでいったかもしれません。