車両進入禁止の標識と「自転車を除く」補助標識 |
カーゴバイクやタンデム自転車の注意点として、一方通行の道路を逆向きに走れないことが様々なウェブサイトで指摘されます。
日本では一方通行道路の標識(「一方通行(標識番号326)」や「車両進入禁止(標識番号303)」)には大抵「自転車を除く」の補助標識が付いているものの、ここで言う「自転車」は「普通自転車」のことであって、普通自転車の規定寸法に収まらない自転車には規制の効力が及ぶというのがその理由です。
しかし、なぜ「自転車 = 普通自転車」と言えるのか、典拠を示しているページは見当たりません。地域によっては「普通自転車を除く」という補助標識も見られますから、それとの対比で「自転車を除く」と書いてあればやはり普通自転車に限定されない自転車一般を指すのではないかとの疑問が湧きます。
その疑問をツイートしたところ、「自転車 = 普通自転車」解釈の根拠と言える法令を教えてもらいました。
「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(標識令)」の「備考」に「一(六)車両の種類の略称」というところがあるのですが、それによると、規制標識に車両の種類を記載するときは「普通自転車」を「自転車」と略記することができるそうです。そこを根拠にしているのではないかと思います。
— もやし (@gaibibun) November 30, 2020
確かに「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(平成30年12月14日施行の版)は次のように定義しています。
(六)規制標識に車両の種類を記載するときは、次の表の上欄に掲げる車両について、それぞれ同表の下欄に掲げる略称を用いることができる。
車両の種類 略称 // 中略 普通自転車 自転車
しかしこれは名前衝突を引き起こす欠陥規定で、標識を見ただけでは「自転車」が
- 自転車(道路交通法.2条.11の2号)
- 普通自転車(道路交通法施行規則.9条の2の2)
のいずれを指すのか区別できません。「普通自転車」のつもりで「自転車」と書く設置者 (*) もいるでしょうし、「自転車」のつもりで「自転車」と書く設置者もいるでしょう。
以上から本稿の結論はカーゴバイクやタンデム自転車が「自転車を除く」一方通行の道路を逆行できないとは限らない
です。