2012年10月12日金曜日

コンパクトクランクと梃子比

自転車のクランクアームとチェーンリングは
梃子の原理で言う力点と作用点に相当します。

ならば、ノーマルクランクよりコンパクトクランクの方が
チェーンリングの直径が小さい(作用点が支点に近い)分、
同じギヤ比でも梃子比が大きくなって坂に強くなる?

もしそうなら、全体重を掛けても登れない激坂が
攻略できるようになるという事なのでしょうか。





計算してみました。



支点はボトムブラケット軸、力点はペダル軸、
作用点はチェーンリングの歯と見做す事にします。

支点から力点までの距離(クランクアーム長)を165mmとして、
支点から作用点までの距離(チェーンリング半径)は、
  • ノーマルクランクの小さいチェーンリングは39Tなので、78.83mm
  • コンパクトクランクの小さいチェーンリングは34Tなので、68.72mm
(チェーンのピン間距離12.7mmから計算)

以上から、
  • ノーマルの梃子比は165 / 78.83 = 2.09倍
  • コンパクトの梃子比は165 / 68.72 = 2.40倍
コンパクトの梃子比の方が大きい事が分かりました。



が、梃子は後ろのギヤにも有ります。



支点は後輪ハブ軸、力点はスプロケットの歯、
作用点はフリーボディーの外周と見做す事にします。

前後のギヤ比は1.5とします。
  • ノーマルクランク39Tに対しては26Tのスプロケット
  • コンパクトクランク34Tに対しては22.66Tのスプロケット(現実には無い)
支点から力点までの距離(スプロケット半径)は、
  • ノーマル39Tに合わせる26Tが52.55mm
  • コンパクト34Tに合わせる22.66Tが45.82mm
支点から作用点(フリーボディー外半径)は、
分解する道具が無く実測できないので仮に18mmとします。

以上から、
  • 26Tの梃子比は52.55 / 18 = 2.92倍
  • 22.66Tの梃子比は45.82 / 18 = 2.55倍
となり、ノーマルクランクに合わせるギヤの方が大きくなりました。

前後の梃子比の値を見ると、
コンパクトクランクはノーマルクランクより14.7%梃子比が大きくなりますが、
後ろのギヤは逆に26Tが22.66Tより14.7%梃子比が大きくなり、差し引きはゼロ。



という事で、ギヤ比が同じならどちらを選んでも同じでした。

やはり両者の違いは一般に言われているように、
前後のギヤを組み合わせた時のギヤ比の分布と
チェーンの摺動抵抗のようです。

(MTBならチェーンの最低地上高という要素も?)