その上で、法改正をする前に検討すべき注意点を示します。
最後に法に絡めて自転車インフラについても私見を書きました。
2015年3月13日 本文を修正
1. 各国の法律
日本の現行の道路交通法では、車やバイク(*1)が自転車を追い越す際に最低限保持すべき側方間隔を規定しておらず(*2)、現実の交通場面では自転車に恐怖感を与える運転が横行しています(*3)。
*1 自転車が他の自転車を追い越す場合も含みます。
*2 追い越しに関する規定は下記のみです。
道路交通法 第28条 4項この他は、道路交通法施行令、道路交通法施行規則にも規定は有りません。
……追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
*3 ドライバーの中には、如何にスレスレの間隔で追い越せるかで運転の上手さが証明されると誤解している人もいる様ですが、それはレーシング・テクニックであって、公道上での運転技術ではありません。
一方、海外では追い越し時の側方間隔について数値規定を設けている国や地域が有りますが、その値は必ずしも一定ではありません。
アメリカの各州について纏めた記事によると、2012年4月時点では下記の20州が「最低3フィート(0.91m)」と規定、
Arizona, Arkansas, Colorado, Connecticut, Florida, Georgia, Illinois,Pennsylvania州が「4フィート(1.22m)」で、他の州には数値規定が無いそうです。
Louisiana, Kansas, Maine, Maryland, Minnesota, Mississippi, Nebraska,
Nevada, New Hampshire, Oklahoma, Tennessee, Utah and Wisconsin.
2013年2月1日追記Pennsylvania州の4フィート法が発効したのは2012年4月2日で、
発効当日の午後に同法に違反した17歳のドライバーが
違反切符を切られています。
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イギリスでは、ガーディアン紙の2009年の記事が、
「アメリカでの成功に倣い、追い越し時の最低3フィートの間隔を義務付けようとする嘆願書に署名が集まっている」
と報告していますが、同記事はまた、
「地方道路で一般的な60mph(96.6km/h)制限区間では3フィートでは全く足りない」
と、嘆願書に対して冷静な指摘をしています。また発表当時のイギリス国内の現状について記事は、
お馴染みのHighway Code(道交法)には「自転車を追い越す時も、車を追い越す時と同様の間隔を取れ(163条)」と書いてあるが、1フット(30.5cm)の間隔で車を追い越すドライバーは自転車に対しても1フットしか間隔を取らなくて良いって事かよ、うぇっ。
残念な事に、現状では自転車レーンの白線が多くのドライバーにとって実質的な基準になっており、白線を踏みさえしなければ良いと考えている。その道路が30mph(48.3km/h)制限でも70mph(112.7km/h)制限でもな!
と訴えています。
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オーストラリアのNew South Wales州とQueensland州の州法は共に
安全に追い越しできる場合にのみ追い越しをする事ができる
としか規定していませんが、New South Wales州の道路海運庁は自転車の安全についての広報(リンク変更先) で、
安全な間隔とは、例えば50km/h制限の道路では最低1mという意味で、制限速度が上がれば更に大きな間隔が必要になる
と、具体的な数字を挙げて解説しています。
(制限速度10km/h超過が常態化している日本では、1mの側方間隔では全然足りませんが。)
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フランスの道路法(Code de la route, R414-4)では、アメリカ以上に厳しい数値基準が設定されています。ちょっと長いですが、全文引用し、訳を付します。
IV. - Pour effectuer le dépassement, il doit se déporter suffisamment pour ne pas risquer de heurter l'usager qu'il veut dépasser. Il ne doit pas en tout cas s'en approcher latéralement à moins d'un mètre en agglomération et d'un mètre et demi hors agglomération s'il s'agit d'un véhicule à traction animale, d'un engin à deux ou à trois roues, d'un piéton, d'un cavalier ou d'un animal.
四 追い越しを行うに際しては、追い越される側の道路利用者に衝突する危険を避ける為に、十分に進路を変更しなければならない。追い越される側が
- 動物に牽引される車両
- 二輪、または三輪の車両
- 歩行者
- 騎馬
- 動物
の場合は、如何なる場合も側方間隔1m未満(町中)、または1.5m未満(町中以外)に接近してはならない。
罰則もかなり厳しめで、「違反者には最長3年間の免許停止」と設定されています。
VI. - Tout conducteur qui contrevient aux dispositions des II à IV ci-dessus encourt également la peine complémentaire de suspension du permis de conduire pour une durée de trois ans au plus, cette suspension pouvant être limitée à la conduite en dehors de l'activité professionnelle.
フランスに自転車旅行で訪れた(多分)イギリス人がこの1.5m規定に感激して撮影した道路標識の写真が海外のフォーラムに投稿されていました。
2. 客観的根拠の必要性
と、この様に各国各州がバラバラの基準を出しているので、日本が参考にしようにも結局何メートルなら安全なのか判然としない訳です。そこで、法律の根本的な意義に立ち返って考えてみる事にします。
自転車の追い越しに対する特別な規定は、単に物理的な衝突(*4)を避ける為に必要なのではありません。
*4 警察庁の2011年の事故統計(pdf)から分かる様に、自転車が当事者になった事故の内、追い越し時の衝突が占める割合は2.6%に過ぎません。
寧ろ、「ぶつかりはしないがヒヤッとした」という心理的な危険の所為で人々が自転車の利用や車道の通行を忌避するという事態を避ける為に必要なのです。
この目的を達成するには、実験により、自転車運転時の心理的な危険性評価を数値化し、それを根拠に基準を策定する事が必要です。
車道に狭い自転車レーンを整備しても相変らず歩道を通行する自転車がおり、歩行者との交錯状況が解消しないのは、心理面を考慮せずに幅員を設定しているからでしょう。
西葛西の自転車レーン。
路線バスが白線ギリギリまで寄ってきて怖い。
路線バスが白線ギリギリまで寄ってきて怖い。
旧型グレーチングが口を開けているのもマイナス。
主観的な危険・安全評価には様々な因子が関わるので、それらを丁寧に解き明かす必要が有りますが、交通心理学の領域でもまだ充分に研究されていない様です。
そこで、心理実験で考慮すべき因子の参考として、普段から自転車で車道を走る私の経験と主観を書いてみます。
3. 危険認知の因子
■ 絶対速度
自転車と追い越す車の速度差が同じ5km/hでも、
自転車20km/h――車25km/hと追い越される自転車の恐怖感は段違いです。速度が高いほど、自転車も車も僅かなハンドル操作で進路が大きくぶれるからです。
自転車40km/h――車45km/hでは
■ 予想の有無
後続車の接近に音などで気付けると安心して対処できます。逆に、走行音が静かな車や、遥か後方から一気に迫ってくる速度違反車は非常に恐ろしく感じます。
また、梅雨などで暫く自転車に乗れなかった期間の後は後続車に対する感覚が鈍るので、接近に気付かない事が多くなります。
この他、高齢者は聴覚が衰えているので車に驚きやすくなります。(しかも驚いて振り返った方向に進路がどんどん曲がる。)
■ 橋上
河川や線路に架かる橋の上では、地上区間よりも車の速度が上がるからか、自転車に対するドライバーの攻撃性を強く感じます。
速度差が極めて大きい状態での追い越しや接触寸前の側方間隔での追い越しが頻発するので、橋上区間では近くに車がいない時も含め、恐怖心のレベルが底上げされます。
■ カーブの方向
一般にカーブの区間中で追い越されるのは直線区間より恐ろしく感じます。速度と遠心力の釣り合いを取って走っているので、急な回避動作が難しいからです。しかし更に重要なのは、カーブの方向が右か左かという事です。
車道の左端を通行する自転車は、右カーブでは進路方向が見通せ、車道左端の障害物を早めに発見できますが、左カーブでは進路方向が死角になり、路上駐車や逆走自転車(*)の発見が遅れる為、急ブレーキや急旋回が誘発されます。
* 以前、インコーナーを攻める様に走っていて、突如目の前に逆走自転車が現れた時の驚きといったらもう。
車の構造上、内輪差が問題になるのも左カーブです。
更に、一部の(認知症?)ドライバーは左カーブで左タイヤの側面が縁石を擦るほどステアリングを切る事があり(曲方指向現象)、そうした車と縁石に挟まれた時の恐怖感は尋常ではありません。
片側一車線の道路では、車道の幅員とは無関係にカーブ区間中での追い越しを禁止(*5)しても良いくらいです。
*5 現行の道路交通法では追い越し禁止区間でも自転車を追い越して良い事になっています。
第三十条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。しかし、(自転車以外を)追い越すのが禁止されているのは、当然、曲線や勾配で見通しが利かない区間です。
自転車を追い越している最中に突然対向車が現れたら、リスクは誰が引き受けるのでしょうか。
弱者保護の原則が蔑ろにされている現状ではドライバーは自己保身に走り、自転車が皺寄せを受けるパターンがしばしば起こります。
これは間違いなく悪法で、直ちに改正すべきです。
追い越し禁止区間でも自転車を追い越して良い事になっている。
■ 車種
世間一般からも荒い運転をするという印象を持たれている車種に追い越される瞬間は、通常よりも恐怖感が強まります。実際にそうした車種に轢き殺されそうになった経験が何回か有るからです。
具体的には、バイク、タクシー、ミニバン、高級セダン、スポーツカー、クレーン車、産業廃棄物回収車、ダンプ、大型トレーラー、窓にスモークが入りサイドミラーが銀メッキされた黒のワゴン車などです。
心理実験を行なうなら、被験者が危険性を過小評価しない様に、これらの車種が全て揃う実地(公道)で行なうべきです。
■ 車体色
明るい色の車は膨張色によって近く、大きく見えるので危険性評価が上がると思われるかもしれませんが、長く車道を走っていると、黒の車に追い越される時の方が恐怖心が大きくなります。理由は上と同じで、攻撃的なドライバーが運転している確率が高いからです。
■ (車には無関係の)路面の障害
車道の表面には時折、進行方向に沿って延びる溝が見られます。(舗装の継ぎ目などによって生じたもの)
自転車がこの溝のすぐ右側を走行している場合、タイヤが嵌まって転倒する恐れが有る為、 たとえ車道の端まで充分な間隔が有ってもそちらに回避する事ができません。
しかし無知なドライバーはそうした事情を察する事ができないので、追い越し時に幅寄せしてくる場合が有ります。従って、この様な環境では恐怖心が大きくなります。
路面の障害はこの他にも、段差が生じているマンホール、大型車のタイヤが荒らした舗装、路面のペイントをアスファルトごと剥がした痕、金属の落下物、路肩寄りに溜まった浮石などが有ります。
■ 横風
強風の日にビル街を走ると、側面からの突風で進路が急に曲げられる事が有りますが、車のドライバーは風に対して鈍感なので、自転車が横風を受けるタイミングで追い越しをしてしまう事が有ります。
慣れない道では自転車も風を完全に読めないので、強風の日は恐怖心が大きくなります。
■ 多重追い越し
日本の道路交通法では自転車に対する多重追い越しが認められています。
第二十九条 後車は、前車が他の自動車又はトロリーバスを追い越そうとしているときは、追越しを始めてはならない。従って、前を走る遅い自転車を追い越している最中に後ろから来た車に追い越されるという状況(下図)が生じますが、
歩|↑ ↑ ↑
道|自 自
歩|転 転 車
道|車 車
この状況はかなりの緊張と恐怖心を生じさせます。
日本では大多数の自転車が左側に充分な安全マージンを確保せずに車道を走っていますが(*6)、もし歩道側から人や車が飛び出して来ると、そうした自転車は交通の撹乱要因になるからです。
*6 2012年に青梅街道で観察した範囲では、車道を走る殆どの自転車が車道の左端に貼り付く様な位置を走行しており、文字通り、左端ギリギリである側溝の蓋の上を走る自転車もかなりの割合を占めていました。
また職安通りでは、路上駐車の車の横を通過する時に「ドアゾーン」に入ってしまう自転車も非常に多く、安全マージン意識が希薄である事が分かります。
こうなってしまった背景には、警察や自治体が「自転車は左端」というルールばかりを強調してきた事、更に言えば、内心では車の便益を最優先し、自転車の安全を軽視してきた事が有るのではないでしょうか。
■ 渋滞を抜けた直後
渋滞の先頭地点が明確な場合、例えば
- 交差点の交通容量に対して通行台数が多過ぎる
- 交差点の直近で違法な路上駐車がボトルネックを作っている
- 沿道施設に左折入場しようとする車が、歩道の歩行者の流れが途切れない為に立ち往生している
という様な場合、後続車のドライバーは渋滞区間を抜けた途端に安全軽視の運転をする傾向が有ります。こうした状況では、たとえ悪質なドライバーがごく一部でも、全ての後続車に対して恐怖心が倍増します。
■ 月曜日の朝のラッシュ時間帯
上と同じく、殺気立ったドライバーが増えるので他の曜日より危険性に対して感度が上がります。
4. 自転車インフラの考え方
さて、最後にインフラについて書いてみます。
日本では違反ドライバーの数に対して取り締まり人員が圧倒的に足りず、信賞必罰が徹底されていないので、追い越し時の側方間隔のルールを決めても碌に守られない事は容易に予想できます。
しかし、イギリスの事例からも分かる様に、自転車レーンの白線など客観的(*7)な目安が有ればそれらは守られる可能性が高いと期待できます。
*7 側方間隔の数値規定が現実の場面でも客観的とは限りません。ヒトの視覚による距離認知の精度は種々の要因で簡単に歪むからです。
日本のドライバーの性質を考えると、自転車の安全を確保する最有力手段はインフラの工夫と言えそうです。
例えば、追い越し時に必要な側方間隔が実験により1.5mと出たとします。また、自転車が車道端から取るべき安全マージンが1.0mだとします。自転車自体の幅、0.6mを加えて3.1mの自転車レーンを用意すれば、左右に充分な安全マージンが確保され、車からの恐怖感を緩和できます。
白線ではなく縁石などの物理的な区切りなら、悪質ドライバーの幅寄せや路駐によるレーン塞ぎも防止できて尚良いでしょう。
ところが、3.1mと言うと道路設計者や自治体の担当者は空間の不足を理由にしたり、道路構造令(第十条3項)の「2m」という最低基準を根拠にして、狭過ぎる自転車レーンで決着を付けようとします。
実際、全国各地でそういう中途半端な自転車レーンが大絶賛増殖中です。
最近では、1.5m幅のレーンすら設置できない狭小道路で「自転車ナビマーク」を車道端にペイントする事例も有りますが、これらは全て、
自転車は車の邪魔にならない様に左端に寄るものだという、表に現われない価値観に起因しているのではないでしょうか。
アメリカの幾つかの州では政府機関(*8)が公式に解説するほど一般的な知識ですが、
- 自転車と車の速度があまり変わらない場合や、
- 自転車と車が並んで走るには狭過ぎる道路
*8 一例として、Oregon州が発行する自転車安全マニュアル(pdf)から引用します。
When you should take a lane同様のアドバイスは、Pennsilvania州(html)やDelaware州(pdf)、Illinois州(pdf)のガイドにも書かれています。
If there is no shoulder or bike lane, and the travel lane is narrow, ride closer to the center of the lane. This will prevent motorists from passing you when there isn’t room. You should also take the lane when you’re traveling at the same speed as traffic. This will keep you out of motorists’ blind spots and reduce conflicts with right-turning traffic.
一車線を占有すべきとき
路肩や自転車レーンが無く、車線が狭い場合は、車線の中央付近を走りましょう。これにより、空間に余裕が無い所でドライバーが自転車を(強引に)追い越すのを防止できます。また、車の流れと同じ速度で走行している時も一車線を占有しましょう。これにより、ドライバーの死角に入らずに済み、更には右折車(日本では左折車)との衝突を避ける事ができます。
この考えを逆に捉えれば、日本の狭い道路でも自転車と車が共存できる方法が浮かび上がってきます。
つまり、道路の制限速度を20km/h程度に下げて車と自転車の走行速度を揃え、自転車も一台の車両として車線の中央を走らせるというものです。
こうすれば追い越しが発生しないので自転車は安心して通行できますし、路駐車両がいても進路を阻まれる事が無くなります。何よりの利点は、自転車事故の12%を占める(*9)
左折時衝突を防止できる事でしょう。
*9 出典は前述の警察庁の2011年の事故統計(pdf)
車の利便性が低下するのは我慢ならないという意見が有るでしょうが、今まで車は過剰に優遇されていたのであって、その代償を他の交通参加者に払わせていたのだと考えれば、多少の譲歩は必要という事になるでしょう。
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それから最後に道路行政の地方分権についてですが、あれ、止めた方が良いです。もう改正されちゃってますけど。
道路法 (2011年12月14日改正)
第三十条
3 前項に規定するもののほか、都道府県道及び市町村道の構造の技術的基準は、政令で定める基準を参酌して、当該道路の道路管理者である地方公共団体の条例で定める。
改正以前にも例えば、自転車の灯火類(ライト、リフレクター)の規定は各都道府県の条例でバラバラに決められていましたが、メーカーは全国に同じ商品を販売する訳ですから一番厳しい条例以外は意味が有りませんし、自転車利用者も、他県に引っ越したり、ツーリングで100km, 200km走って県境を越えたりする度に装備を変えるなんて面倒な事はしてられません。
もっと重要なのは道路構造の不統一です。州ごとに構造基準が違うアメリカでどうなっているかというと、
オハイオ州クリーブランドのドライバーは交差点で信号機の情報をとろうとするとき、多くはまず、交差点中央の上方に目線を向けて「目の付けどころ」とする習性があり、ペンシルバニア州フィラデルフィアのドライバーの多くはまず、右路端上方に目をやる習性がある。互いに州境を超えると交差点で一瞬信号機のない交差点かと思い違いをすることが生じる。(*10)
*10 牛生扇(平尾収) 1995年
『歩行者 人動車 道 路上の運転と行動の科学』
三栄書房 p.356
という具合です。
日本でも明確な規定が無い自転車レーンは全国各地の自治体が好き放題にデザインしており、外観が揃っていません。それでも「自転車レーンだ」と分かる範囲なら良いのですが、山手通り・初台付近の様に、殆ど見分けの付かないステルス・レーンになってしまう例が出るなどの問題が有ります。
初台付近の自転車・歩行者道。
この区間のみ、舗装ブロックのコントラストが極めて弱く、
自転車も歩行者も入り乱れて通行しています。
彩度が低過ぎ。
対してこちらは中野坂上付近。
ブロックの色の差が明確な上に、白線まで引かれています。不人気ですが。
ブロックの色の差が明確な上に、白線まで引かれています。不人気ですが。
とはいえ、歩道上の自転車レーンは路面の平滑度が低く狭い上に、交差点やバス停の周辺でしょっちゅう途切れ、脇道との交差部では結構な段差が有るので走行環境としては快適では有りません。
歩道上に自転車レーンを整備するという方針自体、東京都が独断で進めているもので、警察庁が示した原則に真っ向から反しています。
2015年3月13日追記 記事の公開当初は上のような考えでしたが、今は、交通の激しい幹線道路で自転車に車道を走らせるのは不適切だと考えています。
中落合付近。
途切れ途切れの自転車レーンは僅か数メートルの長さしか無い箇所も有ります。
途切れ途切れの自転車レーンは僅か数メートルの長さしか無い箇所も有ります。
また、歩道全体の広さに比べ不釣合いに狭い幅員しか与えられていません。
正方形のブロックは一辺が10cm(実測値)なので、2m幅です。
こちらは熊野町付近。
ここもバス停で自転車レーンが途切れ、
更にスーパーの買い物客の駐輪で車道寄りが塞がっています。
とまあ、道路に関しては深い考えも無しに地方分権なんかするもんじゃありません。
(もちろん、国が策定する基準が科学的根拠に基づいていて現実的にも妥当である事が中央集権の前提です。
地方分権に賛成する人が指摘するように、今までは各自治体が国の不適切な指針を鵜呑みにして使い勝手の悪いインフラを整備してきたのも事実です。)
5. 付録
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追い越し時の側方間隔
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亀戸駅前自転車道の利用実態調査
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カリフォルニア州の道交法(抄訳)
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