2017年12月22日金曜日

警察庁の交通事故統計を解釈する上での注意点——電話回答のメモ

警察庁が一般向けに公表している交通事故統計について、公式ウェブページを読んでも分からなかった点を警視庁の統計係に電話で問い合わせました。回答の一部は前回の記事にも書きましたが、この記事では回答全体の要約をメモしておきます。

メモでは、語句の変更、発言順序の入れ替え、聞き取れなかった部分の省略、補足的な追加などをしています。また、前回の記事でも書いた通り、聞き間違いをしている可能性があるので、確実な情報が必要な場合は警察に直接尋ねてください。



Q. もし当事者が事故当時、複数の法令違反をしていた場合、それらを全部記録する? 一つだけ選んで記録する?
A. 事故統計では一つだけ記録する。
  • 警察庁の統計に用いる全国共通の「統計原票」というものがあり、そこには一つの法令違反しか記載できない。
  • 統計として記録するのは最も過失の高い(大きな)法令違反。
  • 例えば、当事者が速度違反と信号無視の両方をしていて、どちらが事故原因か分からない場合は、「上位罰条(?)」に当たる信号無視を記録する。
  • 速度違反をしていても(赤信号で)止まっていれば事故は起こらず、信号無視をした結果事故が起こったのであれば、後者を記録する。
  • どちらが事故(原因として)の割合が高いか(で判断する)。


Q. 複数あった法令違反のうちどれを統計原票に記載するかの判断基準が書かれた資料はある?
A. ない。
  • 統計原票の取り方は各県で違うと思う。
  • 警視庁(東京都)の場合、例えば当事者が「信号機を見ていませんでした」と言えば赤信号で(記録を)取ったり、「信号機は変わり目だったが速度は100キロ出ていました」と言えば速度違反で取ったりと、ケースバイケース。


Q. 法令違反分類の内訳は? 例えば通行区分違反に「右側通行」や「指定通行区分違反」は含まれる?
A. 前者は含まれる。後者は事故統計とは別の分類。
  • 通行区分違反には大きく分けて三つある。「右側通行」と「歩道等の通行」、それ以外は全て「その他」。「その他」には、他の軽車両との並進、自転車道の通行、安全帯への進入、不供用部への進入などが含まれる。
  • 「指定通行区分違反」は統計上の分類ではなく交通違反の取り締まり上の分類。この違反をした場合は(事故統計では)「進路変更」(についての法令違反として分類される事)になる。


Q. 警察庁の事故統計で使われている法令違反分類の具体的な定義が書かれた資料はある?
A. ない。


Q.(なぜ一つの分類に複数の法令違反が含まれている?)
A. 警察庁が公表している法令違反別の統計は一般の方に分かりやすいように細かな分類を統合している。
  • 互いに似た違反なら一つにまとめている。例えば「右折違反」には「右折禁止場所右折」や「原付の二段階右折」が含まれている。
  • 一般の方に分かりにくい違反、例えば「指定通行区分違反」や「進路変更禁止違反」は「その他」にまとめている。
  • これらは各県(警)では別々の違反として(分類)コードが分かれている。
  • (どの違反行為をどの分類に計上するかという)統計の入れ方は県によってマチマチの部分がある。


Q. 事故類型の分類にある「左折時衝突」や「追突」は、どちらの当事者がして、どちらの当事者がされた行為か分かる?
A. 統計表を見ただけでは分からない。
  • 当事者が1当か2当かというのは事件と統計で別。
  • 「右左折」であれば、どちらかの当事者が左折していた場合に(「左折時衝突」に)なる。
  • 「追突」については停止中の追突か走行中の追突かでも変わる。統計表を見ただけでは、どちらが追突し、追突されたのかは分からない。
  • そこまで細かく(分類して)公表すると個人情報に触れてしまう部分も出てくるので公表していない。