2013年1月24日木曜日

車道の自転車レーンを支える新技術

車道の両端に自転車レーンを設置する場合、
側溝の蓋が安全上の一つの課題でしたが、
こんなアイディア商品を出している会社が有りました。




アスザック株式会社の「ライン導水ブロック-F型」

これ、凄く良いですね。
特に、「街渠エプロンが不要となる」という部分。

従来の車道のアスファルトと側溝の蓋の境目は、
施工時の精度の管理がいい加減だったり、
車の通行でアスファルトが痩せ細ってきたりすると段差が付いて、
自転車のタイヤが取られて転倒事故に繋がる事が有りました。

私自身、初めて通る道でこの種の段差が有る事に気付かず、
危うく転倒しかけた事が有ります。(夜だったので。)

が、この商品だとそもそも段差が発生し得ないので、
車道端の走行が安全になりますね。

また、あの忌まわしきグレーチングが無いのも素晴らしいです。



但し、「路肩の有効幅員が拡が」るという部分には補足が必要でしょう。

自転車が車道の左端ギリギリを走る場合、
歩道側から歩行者や他の自転車が飛び出してきた時に
安全マージンがほぼゼロなので簡単に衝突してしまいます。

事故を未然に防ぐ賢い方法は、縁石の垂直面から最低1mは離れて走る事。

再び体験談を持ち出すと、一時停止も左右確認もしないで突然
車道に飛び出した人との衝突を、この安全マージンを確保しておいた事で
防げたニアミス事例が過去1年で2, 3件有ります。

で、1mというのが自転車の車体中心までなのか車体左端までなのかはさておき、 
この距離は後続車に撥ねられそうになった時の逃げマージンにもなります。
これも実体験が有ります。



つまり、従来型の街渠でも、蓋の上を走る事は通常無いんです。
現実には蓋の上を走っている自転車がしばしば見られますが、
彼等が安全マージンの意義や概念を理解しているとは思えません。
車道の左端1mは飽く迄も非常用の空間。ここ、重要です。

国や自治体の道路担当の人は、特にここを勘違いしないでください。
この商品を、極端に狭い自転車レーンを正当化する道具にはしないように。

(あ、商品の宣伝パンフレットでも同じ勘違いに基づいて
宣伝文句を組み立ててますね。しかも図中の自転車の縮尺が
恣意的に小さくされている。正しい寸法の2/3くらいになってます。
こういう視覚トリックに騙されてはいけません。)



もし元の車道の幅員が不充分で、狭い(*)自転車レーンしか設置できないなら、
車道の制限速度の引き下げ(20~30km/h程度に)や
車線削減(一方通行化も含め)など、他の手を考えた方が良いです。

* 縁石からの安全マージン1m+車からの安全マージン1mとして、
自転車の幅を含めないとしても、最低2mは確保して欲しいと思います。

ちなみに、車が自転車を追い越す際に取るべき安全マージンについて、
アメリカの幾つかの州やフランスの交通法には
3~4feetや1.0~1.5mなどの規定が有ります。
(ドイツやオランダ、ベルギーの法は未調査。)