館内に資料検索端末(OPAC)が備え付けられている。
キーボードやタッチスクリーンで書名や著者名を入力して
所蔵館や貸し出し状況が出てくるあれだ。
あのOPACの検索エンジンが結構時代遅れというか、
設計思想が古いというか、とにかく使い勝手が悪い。
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一番に指摘したいのが、表記揺れへの過剰対応。
チェーン(機械工学)について調べているとする。
ある図書館のOPACで検索キーワードに
「チェーン」と入れて返って来る結果は、
支援、幼稚園、チェンジ、甲子園、ジェンダー、インテリジェンス
などだ。
これらの激しく見当違いな結果は、
「ー」の有無などの表記揺れに一々対応した為に出てきたものと思われる。
「え」か「ぇ 」か (文字の大小)
「゛」の有無
「ぢ」か「じ」か
阿保だ。
大体、濁点の有無の違いを吸収するんだったら、
文字入力画面に「゛」ボタンなんか要らないだろ。
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さらに苛立たしいのが、表記揺れを含めた上での数千件の検索結果を
何の並べ替えも無しにぶちまける事。元々の「チェーン」という表記に
最も近い物から優先的に出してくるといった仕様になっていない。
利用者目線に立つなら、「チェーン」に完全一致する語句をまず探し、
それが無い場合に初めて、順次似た語句に検索対象を広げるところだろう。
Amazon.co.jpの検索エンジンはそうなっている。
というか、公立図書館のOPACがあまりに不甲斐無いから、
本の検索はAmazonで済ませておき、書名を特定してから
OPACに打ち込むのが常套手段になっている。
図書館員やシステム会社はこういう実態を知ってるんだろうか。
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まだ有る。
OPACの文字列入力画面は大抵、
書名や著者名など幾つかのフィールドを持つ。
ところが、書名で検索しても、検索語句が書名に
一ミリも掠らない本が出てくる事がしばしばある。
同じ事が著者名のフィールドについても言える。
ヒットした本の詳細を見るに、目次やら内容説明やら
件名やらで引っ掛かったのを拾ってきているらしい。
だったらフィールド分ける意味無いだろ。
対してGoogleやAmazonの検索窓は基本的に一つだけだ。
何でも飲み込み、それでも的確な結果を返してくる。
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その繋がりで言えば、今時「 」(スペース)を使った
AND検索が出来ないというのも信じられない。
わざわざ複数のフィールドにカーソルを移動させろと言うのか。
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検索画面でキーボード入力を受け付けるフォーカスが
最初どこにも無いというのも親切心に掛ける。
普通なら一番良く使うキーワード入力窓の左端で「|」がチカチカ瞬いて、
KeyPressイベントを今か今かと待ち構えているところだろう。
おもてなし民族の名が廃る。
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或る図書館の館内OPACでは著者名フィールドに
文字を入力して検索すると、まず著者名データベースに当たって
その結果を返し、その中から選ばせて再検索する仕様になっている。
これだけでも二度手間で迂遠なのだが、
この中間段階で不可解な現象が起きる。
探している本の著者名を姓、名とも全て入力すると、
著者名候補の中にその姓を含む名前が一切現われない。
例えば「よねざわほのぶ」と入力すると(*)
「よねやま」姓や「よしかわ」姓の著者しか出て来ない。
最初の画面に戻って検索文字列から名を削り、
姓だけで検索すると、今度はちゃんと出てくる。
謎過ぎる。
* 『儚い羊たちの祝宴』が良かった。
小市民シリーズも登場人物の過去が気になる。
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こんな問題も有る。
自宅のパソコンで目的の図書館のサイトにアクセスし、
予め本を検索して在架を確認した上で出発するとする。
メモに書くのは面倒なので、図書館に着いたら
改めて館内のOPACで検索して書架の場所を調べる。
家で入力したのと同一の語句を同一の検索フィールドに入力して
検索するのだが、検索結果が異なり、目当ての本が出て来ない。
同じ図書館のシステムのはずなのに、
入力に使う端末によってアウトプットが変わるのだ。
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PC用と館内OPAC用で挙動が異なるという問題は
ユーザーインターフェイスにも見られる。
或る図書館の館内OPACでは検索結果の一覧画面で、
各資料の状態が
- 全て貸し出し中
- 他館に在架
- 自館に在架
非常に便利な機能なのだが、これは館内OPAC限定。
(自他館の区別は確かに館内OPACでしか意味が無いが。)
自宅PCから検索すると、一々個別の詳細ページを
開かなければ在架の有無や予約人数を確認できない。
検索結果の一覧ページをざっと見て素早く判断したいのに。
自分は東京都区部のほぼ全ての区立図書館を対象に
一気に検索を掛ける事が多いので(*)、
こういう仕様だと本当に手間が掛かる。
* 話題の本でも割とすぐに借りられる。
或る区で2, 3冊の所蔵に対して数百人の待ち行列が伸びている隣で
10数冊を所蔵し、直ぐに貸し出せる区が有るという状況は良く目にする。
詳しくは特集記事で。