2012年9月21日金曜日

公立図書館のOPAC

区立や市立の図書館に行くと、最近は大抵どこでも
館内に資料検索端末(OPAC)が備え付けられている。

キーボードやタッチスクリーンで書名や著者名を入力して
所蔵館や貸し出し状況が出てくるあれだ。

あのOPACの検索エンジンが結構時代遅れというか、
設計思想が古いというか、とにかく使い勝手が悪い。







一番に指摘したいのが、表記揺れへの過剰対応。


チェーン(機械工学)について調べているとする。
ある図書館のOPACで検索キーワードに
「チェーン」と入れて返って来る結果は、

支援、幼稚園、チェンジ、甲子園、ジェンダー、インテリジェンス

などだ。

これらの激しく見当違いな結果は、
「ー」の有無
「え」か「ぇ 」か (文字の大小)
「゛」の有無
「ぢ」か「じ」か
などの表記揺れに一々対応した為に出てきたものと思われる。

阿保だ。

大体、濁点の有無の違いを吸収するんだったら、
文字入力画面に「゛」ボタンなんか要らないだろ。





さらに苛立たしいのが、表記揺れを含めた上での数千件の検索結果を
何の並べ替えも無しにぶちまける事。元々の「チェーン」という表記に
最も近い物から優先的に出してくるといった仕様になっていない。

利用者目線に立つなら、「チェーン」に完全一致する語句をまず探し、
それが無い場合に初めて、順次似た語句に検索対象を広げるところだろう。
Amazon.co.jpの検索エンジンはそうなっている。

というか、公立図書館のOPACがあまりに不甲斐無いから、
本の検索はAmazonで済ませておき、書名を特定してから
OPACに打ち込むのが常套手段になっている。
図書館員やシステム会社はこういう実態を知ってるんだろうか。




まだ有る。

OPACの文字列入力画面は大抵、
書名や著者名など幾つかのフィールドを持つ。

ところが、書名で検索しても、検索語句が書名に
一ミリも掠らない本が出てくる事がしばしばある。
同じ事が著者名のフィールドについても言える。

ヒットした本の詳細を見るに、目次やら内容説明やら
件名やらで引っ掛かったのを拾ってきているらしい。
だったらフィールド分ける意味無いだろ。

対してGoogleやAmazonの検索窓は基本的に一つだけだ。
何でも飲み込み、それでも的確な結果を返してくる。





その繋がりで言えば、今時「 」(スペース)を使った
AND検索が出来ないというのも信じられない。
わざわざ複数のフィールドにカーソルを移動させろと言うのか。





検索画面でキーボード入力を受け付けるフォーカスが
最初どこにも無いというのも親切心に掛ける。

普通なら一番良く使うキーワード入力窓の左端で「|」がチカチカ瞬いて、
KeyPressイベントを今か今かと待ち構えているところだろう。

おもてなし民族の名が廃る。





或る図書館の館内OPACでは著者名フィールドに
文字を入力して検索すると、まず著者名データベースに当たって
その結果を返し、その中から選ばせて再検索する仕様になっている。

これだけでも二度手間で迂遠なのだが、
この中間段階で不可解な現象が起きる。

探している本の著者名を姓、名とも全て入力すると、
著者名候補の中にその姓を含む名前が一切現われない。
例えば「よねざわほのぶ」と入力すると(*)
「よねやま」姓や「よしかわ」姓の著者しか出て来ない。

最初の画面に戻って検索文字列から名を削り、
姓だけで検索すると、今度はちゃんと出てくる。

謎過ぎる。

* 『儚い羊たちの祝宴』が良かった。
小市民シリーズも登場人物の過去が気になる。





こんな問題も有る。

自宅のパソコンで目的の図書館のサイトにアクセスし、
予め本を検索して在架を確認した上で出発するとする。

メモに書くのは面倒なので、図書館に着いたら
改めて館内のOPACで検索して書架の場所を調べる。

家で入力したのと同一の語句を同一の検索フィールドに入力して
検索するのだが、検索結果が異なり、目当ての本が出て来ない。

同じ図書館のシステムのはずなのに、
入力に使う端末によってアウトプットが変わるのだ。





PC用と館内OPAC用で挙動が異なるという問題は
ユーザーインターフェイスにも見られる。

或る図書館の館内OPACでは検索結果の一覧画面で、
各資料の状態が
  • 全て貸し出し中
  • 他館に在架
  • 自館に在架
など、アイコンで表示されるようになっている。一覧画面で、だ。
非常に便利な機能なのだが、これは館内OPAC限定。
(自他館の区別は確かに館内OPACでしか意味が無いが。)

自宅PCから検索すると、一々個別の詳細ページを
開かなければ在架の有無や予約人数を確認できない。
検索結果の一覧ページをざっと見て素早く判断したいのに。

自分は東京都区部のほぼ全ての区立図書館を対象に
一気に検索を掛ける事が多いので(*)、
こういう仕様だと本当に手間が掛かる。

* 話題の本でも割とすぐに借りられる。
或る区で2, 3冊の所蔵に対して数百人の待ち行列が伸びている隣で
10数冊を所蔵し、直ぐに貸し出せる区が有るという状況は良く目にする。
詳しくは特集記事で。