p.11
歩道通行の方が車道通行より6.8倍も危険であるとする米国の論文20)もある。
p.19
20) Lisa Aultman-Hall and Michael F. Adams Jr : Sidewalk Bicycling Safety Issues, Transportation Research Board 77th Annual Meeting, January 11-15, 1998
参考文献20番はアメリカではなくカナダの研究です。6.8倍という数字も出てきません。6.8倍という数字は日本人研究者がアメリカの複数の調査を継ぎ接ぎして強引に捻り出したものです。
2016年9月5日 追記あり
2016年9月7日 人格攻撃になっていた記述を削除
元田教授は以前にもこれと全く同じ間違いをしていますが、
- 元田良孝「自転車は車道,歩道は邪道〜求められる道路管理者のパラダイムシフト〜」『道路』2014年12月, pp.63-64
- 元田 良孝・宇佐美 誠史「自転車の歩道通行の安全性等に関する文献調査」『第49回 土木計画学研究・講演集』2014年6月
2016年9月5日追記{
実は共著論文の方にも別の箇所に事実誤認が有ります。
元田 良孝・宇佐美 誠史「自転車の歩道通行の安全性等に関する文献調査」『第49回 土木計画学研究・講演集』2014年6月
pp.2-3
米国の連邦道路省11)は、自転車が交差点に進入するときに歩道からか車道からかで事故率を計算している。歩道車道の走行比率が20:80として事故率を計算すると、自動車が細街路から交差点に進入するとき幹線道路を走行する自転車との事故率は歩道が5倍、停止線・赤信号点滅から幹線道路に進入するときの幹線道路を走行する自転車との事故率は歩道が1.5倍、同様に停止線・赤信号の場合は1.1倍、赤信号で右折で進入する自動車と幹線道路を走行する自転車との事故率は歩道が5.6倍といずれも歩道を走行する自転車の事故率が車道より高いことが示されている。なお米国では赤信号でも常時右折(日本では左折相当)は可能である。この要約を読めば、参考文献11番の資料の中に20:80の比率で計算された事故率が書かれていると誰もが思うでしょう。しかし違います。この資料の「事故率」は通行台数当たりの率ではなく、それぞれの状況で起こった車と自転車の事故全体に占める、それぞれの通行位置・通行方向の自転車の比率です。
U.S. Department of Transportation Federal Highway Administration. (1995). "Pedestrian and Bicycle Crash Types of the Early 1990's", p.111
当然、元田・宇佐美(2014)が列挙した5倍、1.5倍、1.1倍、5.6倍という数字も載っていません。これらの数字は、またしても日本人研究者がアメリカの複数の調査を継ぎ接ぎして強引に捻り出したものです。
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