2016年9月4日日曜日

ロードバイクの制動距離実験

以前、文献に基づいて作成した図。でも本当にこんなに長い?

制動力が弱いと言われるロードバイクが何メートルで停まれるのか、前から気になっていたので自分で実験しました。



結論から言うと30km/hからの制動距離は7.3mでした。以下、実験の条件と方法です。


実験条件

タイヤ(前後とも同じ)
  • リム Shimano WH-RS21のリム
  • タイヤ Continental Grand Prix 4000s 23mm
  • 空気圧 約5bar ※バルブからポンプヘッドを外す前の圧力計指示値が5.5bar
  • タイヤ摩耗度 インジケーターが消える寸前
ブレーキ
  • レバー Shimano ST-2200
  • キャリパー Shimano BR-R450
  • シュー Shimano R55C3(BR-6700用)
重量
  • 自転車 約9kg 約10kg
  • 乗員 約46kg
  • 荷物 約3kg
気象
  • 天気 曇り
  • 風 そよ風
路面
  • 舗装の種類 アスファルト ※凸凹の無い平滑な仕上げ
  • 縦断勾配 (体感上は)無し 約1%(追い風方向が上り)
  • 乾燥状態 水溜りや湿り気の無い状態

路面


実験方法
  • 風と(体感できない程度の)勾配の影響を見る為に、同じ場所に正反対の方向から進入して測定する。
  • 周囲に人や自転車がいない状態で走り始める(車の通行は無い環境)。
  • 助走区間で30km/h前後に加速する。
  • 調整区間でサイクルコンピューター(CATEYE社のCC-RD420DW)の速度表示を見て速度を微調整し、正確に30km/hになったらその速度を維持する。
  • 制動開始地点の目標物の横を前輪が通過した時点で(ブラケット・ポジションから)ブレーキレバーを握る。
  • タイヤが滑らないギリギリの力加減で減速し、停止直前に靴をペダル(PD-R540)からクリップアウトして止まる。(なお、CC-RD420DWは実際の速度が常に数秒遅れて画面表示に反映されるので、停止直後なら制動開始の直前辺りの速度が画面で確認できる。)
  • 停止したら自転車をその場で横倒しにし、制動開始目標から前輪中心までの距離を巻き尺で測る。

実験結果
  • 1回目は追い風方向、制動開始時点の速度は30km/h、制動距離は7.3m、タイヤの滑走なし。
  • 2回目は向かい風方向、制動開始時点の速度は30km/h、制動距離は7.3m、タイヤは少し滑走した。
  • 時間の都合から、実験の試行はこの2回のみ。
  • タイヤの滑走が起こっている事から、グレードの高いブレーキ・キャリパーに交換しても結果は同じと考えられる。

メモ
  • 自分のロードバイクでは「自転車道等の設計基準」が示す停止視距の最低基準(設計速度30km/hで、反応時間1秒と制動距離の合計が15m)以内では停まれない事が分かりました。1974年に作られたこの設計基準の値は実験に基づいているらしいのですが、もしかして被験者は自転車の操作に長けたプロレーサーだったのでは?
  • この設計基準は、「道路交通法施行規則」9-3条2号が自転車に対して定めている制動力の最低基準(制動初速10km/hで3m以内に円滑に停止)を遥かに超える制動力を要求しています(=法令間の矛盾)。
  • また、車向けの視距基準(「道路構造令」19条、設計速度30km/hで30m)の半分しかありません。厳しすぎ!
  • MTBならもっと短い距離で停まれるそうです。 

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