江東区森下の特別区道・江125号(出典URL)
江東区は区内各地の生活道路に混在通行マーキングを精力的に設置していますが、車道端に機械的に設置しているため、デザインと利用実態が噛み合っていません。森下地区の特別区道・江125号もその一例です。
江東区森下の特別区道・江125号(出典URL)
自転車通行位置の問題以前に、生活道路であるにも関わらず車道幅員が物理的にも視覚的にも広すぎます。空間に無駄が多いだけでなく、速度超過の誘発も懸念されます。
単に自転車ナビラインを付け足すという小手先の対応ではなく、道路デザインを根本から見直すならどうすべきか。とりあえず単路区間だけ改善案を作ってみました。
特別区道・江125号の現況(Streetmixで作図。以下同)
幅員は江東区の建築情報閲覧システムの道路台帳(現況平面図)に基づいています。
左右に駐車枠を配置して矢羽根を中央に寄せる案
路駐車両の直近はドア衝突の危険があるため、自転車ナビラインは駐車枠から離してあります。
中央のdrive laneは依然として幅員が広すぎるので、矢羽根に視覚的狭窄の機能を持たせる必要があります(設置間隔は現況の約10mでは疎らすぎるので短縮)。
protected bike laneとcontraflow bike laneを組み合わせる案
自転車レーンと駐車枠の組み合わせはドア開放事故の危険があるため推奨されませんが(Rik de Grout, 2017:110)、ドライバーと対面する方向に通行する自転車はドア開放事故が少ないと見られる(横関 et al., 2015:5)ことから、逆行レーンに限れば許容範囲かもしれません。
- Rik de Grout, H. (ed.) (2017) Design Manual for Bicycle Traffic. Amersfoort: CROW (record, 28).
- 横関 俊也 et al. (2015) ‘自転車の事故率比による通行位置別の危険性の分析―昼夜での比較―’, in. 土木計画学研究発表会.
両側にprotected bike laneを配置する案
安心感は高いですが自転車同士の追い越しには幅員が足りません。自転車の通行が疎らなら問題にはならないでしょう。
自転車道を片側に集約する案
自転車利用者にとっての安心感、幅員の余裕は共に満たされますが、生活道路の自転車インフラとしてはスペック過剰気味ですね。
双方向通行の自転車道は交差点で事故リスクが高いため、基本的には推奨されません(Rik de Grout, 2017:115)。ただ、この路線は車に対して一方通行なので、逆行方向の自転車は道路の中のどこを通行していようと、沿道や細街路から進入する車のドライバーから見落とされやすいと考えられます。