疋田氏はhttps://t.co/i9rana4RT5で、「スピードを出せなければ自転車はエコではない」という持論を守る為にダッチバイクの特性について実態に反する説明をしている(p.3)。— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
ダッチバイクの乗車姿勢と車体重量
https://t.co/i9rana4RT5— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
「ママチャリは…二つの大きなものを手放してしまいました。……一つにはスピードであり、もう一つは航続距離です。車体が重く直立姿勢のママチャリは人間工学的にペダルを踏むのに向いていませんし、3、4㎞も乗るとすぐにおしりが痛くなってしまいます。」
https://t.co/i9rana4RT5— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
「この点、ヨーロッパで一般的な街乗り自転車「クロスバイク」や「ダッチバイク」は、いずれもママチャリよりはるかに軽く、若干の前傾姿勢をとるような設計になっています。これは彼らが車道を走る以上、当たり前なのです。」
ダッチバイクは前傾姿勢ではない。
https://t.co/Uy1A7Itlzy— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
このページは、オランダ語でomafiets(grandma bike)と呼ばれるダッチバイクの特徴を、スポーツ志向に偏ったイギリスの通勤自転車との対比で、‘sit-up-and-beg’な乗車姿勢だと説明している。そしてイギリスの自転車の前傾姿勢は多くの人にとって苦痛だと指摘している。
https://t.co/TVEtxV4Y1B— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
この「いかにも」なダッチバイクは22.5 kg。ママチャリと大差ない(むしろ重い?)。
同じくGazelle BikeのClassicモデルは20.9kg。
オランダの自転車の速度と走行距離
同資料からもう一つ。オランダの自転車の実勢速度は16〜18km/h(p.8)。日本のママチャリとほとんど変わらない。論文の著者らは、この遅さがオランダの自転車事故リスクの低さの一因と捉えている。— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
https://t.co/i9rana4RT5— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
「日本とオランダを較べると、トリップ量(一日一台あたりどのくらいの距離を走るか)は7倍もの差になって表れています。これはつまり自転車というものが、日本では「歩行者カテゴリー」、オランダでは「車両カテゴリー」に入っていることをあらわしているのでしょう。」
これはdistance cycled per inhabitant per dayだろうから移動距離だけでなく交通分担率や降水日数も影響するはずで、オランダとはいえ実際に1人が1回のトリップでそんなに長距離を走っているとは限らない……と反論しようとしたけど、入手可能な統計では、そもそも7倍もの差は無かった。— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
日本 0.75 km / 人 / 日https://t.co/hdw8z0hkoB— ろぜつ (@dc6ykjgs) July 1, 2018
オランダ 3 km 前後 / 人 / 日https://t.co/tglimLSbfphttps://t.co/ma6nVEd7Dd
交通モードの相対的な競争力
「自転車はスピードを出せなければ車の代用たりえない」という疋田氏の主張は以下の点で誤り:— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
・旅行速度と走行速度の混同(走行速度を上げるより停車時間を短縮する方が有効)
・車の相対的な利便性を戦略的に引き下げる施策(生活道路の通過交通遮断、中心市街地の渋滞課金など)の看過
看過じゃなくて無視だった。同じ資料のp.2でロンドンのロードプライシングに言及している。— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
シェアバイク
Vélib’について疋田氏は「ベリブはクルマ利用の代用にはなり得ない」と否定的だけど、https://t.co/LCZqucamWUには初年度の利用の"10% of which substitute former car trips"と書かれている。— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
ママチャリに似て車体が重くアップライトな乗車姿勢のVélib’でもモーダルシフトに有効となれば疋田氏にとっては持論の誤りを突かれる格好になる。だから、車からベリブに乗り換える人などいないと断言しているのだろう(尤も、これは疋田氏の文体に特徴的な誇張法だけど)。— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
「自転車先進国として知られるオランダやドイツでは、この試み[Vélib’]について、静観、もしくは、無視の構えです。」— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
オランダはOV-fiets(https://t.co/9ewzR6jgWp)というレンタサイクルシステムを2002年に導入している。
既にあるのだから、「ウチも導入しよう」とはならないのでは? システムは違うかもしれませんが。
https://t.co/wtyuJjvTAv— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
"The OV-Fiets scheme was introduced in 2002 to start to tackle this
issue..."
リンク切れしてる。アーカイブはこちら。“this issue” とは、家から駅までの自転車利用は多いが駅から会社までが少ないという問題のこと。その足を提供するためにOV-Fietsが導入された。
ポジショントーク
疋田氏の主張は、「自転車活用」を装った「スポーツ自転車の権利獲得運動」に見えるが、歩行者との(形式的ではなく実質的な)混在通行状態を解消すべきという側面は、マイノリティーの利己的な要求とは違う。— ろぜつ (@dc6ykjgs) December 5, 2016
もちろん、大多数の一般的な自転車利用者が、歩道通行と同等かそれを上回る安心感、快適性、利便性を得られる通行空間の整備をすべきだと主張する限りにおいて。
でなければ結局自転車の歩道通行は減らないし、歩行者との分離も進まない。インフラ整備をせずに歩道通行を強引に取り締まれば自転車利用文化そのものを消滅の危機に追いやってしまう。
シリーズ一覧
- 『自転車の安全鉄則』のウソ (1) オランダの自転車政策の原点
- 『自転車の安全鉄則』のウソ (2) 交通法と現実の乖離
- 『自転車の安全鉄則』のウソ (3) オランダ人はルールを守っているか
- 『自転車の安全鉄則』のウソ (4) 双方向通行の自転車道
- 『自転車の安全鉄則』のウソ (5) ダッチバイクとヴェリブ