肩幅が目安と言われているが、
「肩幅」の厳密な定義は余り言及されない。
服飾用語としての肩幅なのか、
解剖学用語としての肩幅なのか。
気になったので調べてみたところ、
『サイクルスポーツ』誌が
肩鎖関節の幅を測る。メジャーは体に沿わせて計測する。という定義を示していた。
これは服飾用語の「肩幅」に近い。
身体に沿わせている分だけ値が大きく出るので、
これに合わせてハンドルバーを選ぶと
安定性重視の幅になるだろう。
(特に芯-芯表記の製品の場合)
ところで肩鎖関節は腕を自然に垂らした時に
上腕骨の中心軸のほぼ真上に来るので、
メジャーを身体に沿わせずに測定すると
平行に伸ばした両腕の間隔に近い値が出る。
この値に合わせて外-外表記の製品(Dedaなど)を選ぶと、
両腕がほぼ平行になり、平地でスピードが出しやすくなるだろう。
(手の厚み分が有るので僅かにハの字。)
但し、肩鎖関節には幅が有るので
解剖学的には厳密ではない。
そこで人体寸法データベース(2012年11月3日URL修正)を見てみると、
「肩幅」に関係する項目が三つ見付かった。統計値も見られるので面白い。
・ D2 肩幅
・ D7 肩峰幅
・ G2 背肩幅
D2で採寸するとかなり大きな値が出るので、
ヒルクライムや、荷物を満載してのツーリング向きだろう。
D7はD2よりは狭いが、肩鎖関節の間隔よりは若干広い。
様々な場面で平均的に使いやすい値になるだろう。
なお、スポーツ自転車店の店員に拠れば、「両腕が平行」というのは
ブレーキレバー/シフター(*1)のホッズ (hoods) の外側面に掌を当て、
ホッズ上面に親指を掛けた状態での事を指すそうだ。
(*1 英語圏では brifter という通称が一部で使われている。)
2012年7月11日追記
パナソニック サイクルテック株式会社の
『オーダーシステムカタログ No.1』(2012)に以下の記述が有った。
p.32(*2 カタログ中の図ではハンドル幅を芯-芯で表わしている。)
「ハンドルバーR部を握って腕を伸ばした時、両腕の間隔が前から見て
平行になるくらいが最適なハンドル幅になります。」
「左右の肩峰点の間隔プラス20mmくらいがハンドル幅(*2)の目安です。」
2012年11月3日追記
私自身(肩峰幅38cmくらい)が普段使っている
自転車のハンドルの幅は芯-芯で400mmなのだが、
このサイズだと少し広過ぎると常々感じていた。
今年のサイクルモードで380mm幅ハンドルの自転車に
試乗したところ、非常にしっくり感じられて乗りやすく、
またダンシングで力が入らないという感じも全く無かった。
ただ、こうした幅狭のハンドルではリーチ、ドロップ量も
小さい製品が大半なのが残念なところ。
リーチが短いと、ハンドル手前のフラット部分に持ち替えても
姿勢があまり楽にならないし、ドロップ量が浅いと、
ハンドルのドロップ部分を握ってのダンシングで力が入らない。
これでは、多様な姿勢を取れるという
ドロップハンドルバーの利点が発揮できない。