2013年11月26日火曜日

サムライフラメンコの正義

今期放送中のサムライフラメンコが面白いです。



シリーズ序盤では、深夜のゴミ出しや歩行者用信号の無視といった、
日常の小さなルール違反が取り上げられていましたが、
こうした違反に立ち向かうのは、果たして正義なのでしょうか。
深く考え出すと結構面白いテーマです。



例えばゴミ出し。

衛生上の問題から、ゴミは朝に出して、
回収されるまでの時間をできるだけ短くすべき
というのが一般的な感覚かもしれませんが、
個々の生活スタイルや世帯構成によっては、
朝にゴミ出しするのが困難な場合も有ります。

(アニメの中でも言及されていましたね。)

そうすると、現状のゴミ出しシステムを作った社会の方が、
人々の多様な生き方を制限しているという意味で、
むしろ本当の悪なのではないかとも考えられます……



……というのは単なる受け売りで、今読んでいる本

武田邦彦(2007)
『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
洋泉社 pp.182-183

にそういう話が載っていたので、
サムメンコのエピソードを連想したというだけですが。

(他にも、「ペットボトルのリサイクルやゴミの分別は環境に悪い」とか、
「ダイオキシンは猛毒ではない」といった意外な話が出てきます。
私は著者の主張に全面的には賛成できませんが、
一読する価値は有ると思いました。)



それからもう一つ、横断歩道の信号を無視する歩行者ですが、
これもまた視点を変えれば、歩行者を蔑ろにして
車の円滑な流れを最優先した道路行政の側に非が有るとも言えます。

信号が青に変わるのを待てない歩行者

ではなく、

車の所為で待たされている歩行者

という捉え方ですね。
自分の足で歩く人間よりも機械を優先するなんざ、
とても人間らしさが尊重された光景とは言えない、と。

これも受け売りというか、まあ、下の動画を見てください。



オランダの押しボタン式横断歩道です。
ボタンを押してから青に変わるまでの待ち時間が
最長でも8秒。この動画では僅か5秒です。

これなら横着してボタンを押さずに渡ろうとする人も少ないでしょう。

動画投稿者のブログ記事(2011年4月18日)
Delays at traffic light controlled crossings


日本の横断歩道では普通、頻繁にボタンが押されても
車の流れが著しく阻害されないように、
車道の青信号が一定時間は保持されるようになっています。

それと引き換えに歩行者は、タイミングによっては
ボタンを押してから1分近くも待たされる場合が有ります。
(田舎ではもっと酷い設定が使われている所も有る。)

サムメンコに出てきた横断歩道がどういうタイプだったかは
ちょっと覚えていませんが、オランダの事例を知ると、
歩行者の信号無視ばかりを責め立てる姿勢には違和感を覚えます。


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主人公の羽佐間君(と後藤さん)は悪に立ち向かっているようでいて、その実、
もっと巨大で見えにくい悪に、知らず知らずに加担している。
そういう見方もできるところが、この作品の面白いところだと思います。

(で、最新の7話は一体なんなんだ!?)