2013年11月24日日曜日

ドアレーン

車道の端に駐車スペースを配置し、
その内側(車道中心側)に自転車レーンを引く構造は、
海外では不適切な整備形態として知られていますが、
日本では未だにその危険性が広く理解されていないようです。

百聞は一見に如かず。

構造の問題点を指摘する画像を集めてみました。


by VinnyR (2006)

by VinnyR (2006)

関連記事
http://en.wikipedia.org/wiki/Door_zone



by Gary Kavanagh (2009)

by Gary Kavanagh (2010)


Car Door Opening in Santa Monica from Gary Cziko on Vimeo.






自転車レーンによって、無知なサイクリストが
危険な場所に誘導される事が分かりますね。

しかし、熟練サイクリストも
ドアゾーンを回避すれば後続車に追突されたり、
追い越される時に引っ掛けられるリスクが有り、
「前門の虎、後門の狼」状態です。

それなら、駐車枠と自転車レーンの間に
1メートルくらいのバッファ(緩衝帯)が有れば
万事解決するんじゃないかと思われるかもしれません。

ですが、バッファを確保できるだけの幅員が有るなら
最初から構造分離型の自転車レーン(自転車道)を作るべきです。
その方が圧倒的に安心感が大きく、レーン利用率の向上が見込めるからです。

実際、2013年のニューヨーク市長選挙を前にした世論調査では、
車に進入されない形の自転車レーンに67%もの支持が集まりました。

2013年9月30日
Most NYC Voters Want Protected Bike Lanes


2011年7月26日

自転車レーンが車の流れやドアゾーンから守られている事が分かります。
交通安全の知識が身に付いていない子供や、子供のような大人や、
真っ直ぐ走れない老人でも安心して通行できそうですね。
これなら自転車の歩道走行を完全に禁止しても大丈夫そうです。


この場所ではペイントに加え、ボラード(杭)で区切られています。
また、交差点の前後だけは縁石でも保護されていますね。
構造を使い分けて建設資材を上手く節約しています。




TEDプレゼンテーション

9分36秒から、新型自転車レーンを紹介しています。

この整備形態はニューヨークが全米初で、以後、
アメリカの各都市に導入されていったそうです。


イギリスに目を転じても、都市部では
路上駐車や車の流れから守られた自転車レーンに
方針転換する動きが見られます。

ロンドン、縁石分離の自転車レーンが開通


自転車インフラに関して英米より数十年先行しているオランダでは、
場所によって様々な構造が使い分けられています。
決して、ペイントだけのレーン一辺倒ではありません。

アームスフォートの自転車環境 (4) 自転車道
アームスフォートの自転車環境 (5) 自転車レーン
アームスフォートの自転車環境 (6) 車道
アームスフォートの自転車環境 (13) 商店街通り


日本では一部の識者が
オランダなどの自転車先進国に於いては、
そういった自転車道ではなく、自転車レーンが普及していると。
で、そういった自転車道を造って車道から区分けするのは
寧ろ自転車後進国に見られる例が多いという事もございます。
などと言っていますが、

関連記事
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (2)


以上見てきた例からも分かるように、アメリカやイギリスでは
単に線を引いただけの自転車レーンでは駄目だと分かり、
自転車レーンを車道から分離する構造に舵を切りつつありますし、
オランダでも安全上必要な箇所は自転車道が整備されています。



私から見ると、線を引いただけの自転車レーンを推す論者は
日本人を騙しているように見えます。

理想的な自転車レーンを一度も体験した事が無い日本人に
劣悪なインフラ形態を世界標準だと思い込ませて、
それ以上、高望みしないように仕組んでいるように思えます。

実に由々しき状況です。