各地で整備が進む、ペイントのみによる自転車インフラの簡易整備。
その典型例と言える小平の現状を見てきました。
多摩湖自転車道が小平駅手前(東側)で途切れた部分から見ていきます。
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多摩湖自転車道
自転車道が途切れて唐突に車道に放り出される形になりますが、
車の交通量・実勢速度は低く、それほど危険は感じません。
消えかかっていますが、車道の端に自転車ナビマークが有ります。
同じ地点から左(南)を見ると、細街路にも自転車ナビマークが設置されています。
小平駅南口から南に延びる道路に自転車レーンが整備されていました。
青く塗装された部分の幅は、
92cmでした。
恐らく自転車レーンの幅の公称値は1.0mで、書類上は白い区分線(幅0.15m)の中央までが自転車レーンという扱いなのでしょう。1.0 - (0.15 / 2) = 0.925 ですから、現地での実測値にほぼ一致します。
街渠ブロックの幅は、
普通に50cmですね。
唐突に終わる自転車レーン
交差点手前の付加車線(右折レーン)に押しやられて途切れる、全国各地でよく見られる形態です。
ここより先(南)には自転車レーンが無さそうなので交差点で折り返しました。
多摩湖自転車道に見られたのと同じ、車椅子用に2ヶ所スロープが切ってある縁石
付加車線(右折レーン)のある区間
薄れかかっていますが、この区間にも自転車ナビマークが設置されています。
途中の交差点部分
青いペイントが途切れています。
なんでこう塗らないんでしょうね?
(GIMPで加工)
同じ場所を歩道から
バス停部分は歩道が入り江型に抉られています。
路上駐車に進路を塞がれたサイクリストと後続車の挙動
自転車が路上駐車の手前でレーンから離脱し始めましたが、
後続の水色の車が被せるように追い越しを始めました。
サイクリストはこの時点で車に気付いています。
水色の車を先に行かせてから、
路上駐車の直前で車道中心側に膨らんで追い越しました。
2015年12月30日追記{
自転車レーンの前方が路上駐車で塞がれている場合、自転車と後続車のそれぞれが取る挙動は人によってまちまちで、両者が互いの動きを的確に予測・反応するのが困難になります。
(小平ではなく一般的な話として、)現実には路上駐車の手前で歩道に上がる自転車利用者も多いですから、自転車が路上駐車を車道中心側から追い越す場面の事故率は、統計上は低く見えている可能性が有ります。
従って、自転車に対して車道走行を徹底させると、この場面での事故リスクが現在よりも上がる可能性が有ります。
現在は、(特定の観測地点でカウントした)自転車の歩道/車道通行率からそれぞれの通行空間の事故率を求めようとする単純な研究が多いですが、路駐追い越し時の正確なリスクは、
路駐追い越し時の事故件数/自転車が路駐を追い越した回数で評価しないといけないですね。
}
小平駅近くの区間は路上駐車の発生が多くなっていました。
実質92cmしかない自転車レーンの横には、
かなり広大な歩道が広がっています。
空間配分の仕方に何か決定的な間違いが有るような気がする。
多摩湖自転車道が小平駅の手前(西側)で途切れる所
自転車横断帯が消された痕跡が見えます。自転車の動線そのものも柵で塞がれています。
結果的に、交差点内で自転車がどこを通るべきかを示す表示が完全にゼロになっています。
これって退化じゃない?
従来の横断帯を消すなら消すで代替の路面標示を設置しないとあかんでしょ。
この配置が良いかどうかは分かりませんが。(GIMPで加工)
ちなみに上の想像図で用いた白い四角のドットによる縁取りはelephant feetと呼ばれるもので、自転車の横断部分を意味する標示として、オランダや北米で使われています。あ、shark teeth(「ゆずれ」を意味する逆三角形の標示)が無いや。
画面奥が、途切れた多摩湖自転車道の対岸
左(北)を見ると小平駅の西の踏切(小平1号踏切)に至る道路
車道に幅を取られ、歩道が皺寄せを受けています。
こちら側の歩道の幅員は(沿道側と車道側の縁石込みの実測値で)1.2mでした。
道路構造令(11条3項)の下限値(2.0m)を大きく割り込んでいます。
車が結構多い。
この道路で歩行者が享受できたはずの空間を車が大きく食い潰している点だけでも問題ですが、駅前という人の集まるエリアにこれだけ車を入り込ませてしまっているのも問題ですね。
緊急車両や搬入車両などはともかく、一般の自家用車に対しては駅周辺エリアへのアクセスを制限した方が魅力的な街になると思います。進入する車を最小限に抑えれば、信号機を無くしたり、道路の幅全体を歩行者空間にするなどの選択肢も得られます。
線路を南北に横断する通過交通は1kmほど東の新小金井街道にバイパスさせた方が良いですね。
車のアクセスを制限すれば、縁石を撤去して
道路の幅全体を煉瓦敷の歩行者空間にする事もできる。
現状の空間構成は全く魅力的ではない。
踏切から見た小平駅1番線