2015年12月14日月曜日

双方向通行の自転車道の交差点設計例

2015年12月17日 細街路との交差部分の事例追加・StreetView埋め込みをスクリーンショット画像化

日本の技術者は難しく考えすぎているのかもしれません。

フランス、ルワンの2015年4月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

それぞれの道路の双方向自転車道がシンプルに交差している。信号の無い十字路の自転車版と考えれば良い。単路部分では歩道と自転車道の間に縁石で段差が付けられている。



フランス、ルワンの2015年6月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

細街路との交差部分は歩道と自転車道をほぼ平面で連続させ、車道を嵩上げしている。これが、細街路に出入りする車に対する速度抑制ハンプとして機能し、事故リスクを下げる。ただ、歩道と自転車道が縁石で区切られており、車道が連続しているので、優先通行権がどちらに有るのか、利用者にとって直感的に把握しにくい。


フランス、ストラスブールの2015年7月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

交差点の角に沿ってカーブする双方向自転車道に、交差点の横断帯が繋げられている。車道の右折信号が青、自転車用の信号が赤になっているのが見える。恐らく分離信号。


オランダ、ユトレヒトの2015年6月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

交差点の角に沿ってカーブする双方向自転車道に信号待ちスペースと横断帯が接続している。待機位置の横には自転車用の押しボタンの支柱が立っている。

2016年7月27日追記{
信号待ちしている自転車の足下をよく見ると、感応制御用のループ感知器(菱形の黒い枠線)が路面に埋め込まれている。



2016年7月27日追加{

オランダ、ユトレヒトの2015年6月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

オランダ、ユトレヒトの2015年6月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

ユトレヒトの中心部から北部のOvervecht地区へと放射状に伸びる幹線自転車道と、その途中に立地する住宅街の地区内道路の自転車道の交差点。どちらも双方向通行だが、地区内道路からの自転車道はこの交差点を境に一方通行に切り替わる。現時点で最新のStreetView写真ではその自転車道が交差点直前で途切れ、車との混在通行になっているが、この交差点では特に事故が多かった為、2016年3月にprotected intersection構造に改修された。

Mark Wagenbuur. (2016-07-12). "Main cycle route updated". BICYCLE DUTCH
この交差点を含む幹線自転車道の改修計画の全体像を解説している。交差点の平面図も掲載されている。

改修直後の様子はツイッターで見られる。



オランダ、ユトレヒトの2014年7月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

細街路との交差部分。フランス、ルアンの例と異なり、ここでは自転車道と歩道が完全に平面で連続している。細街路に出入りする車の通路は、構造的にも視覚的にも連続していない。優先通行権を示す標識も路面標示も無いが、道路のデザインそのものがそれを雄弁に語っており、誰でも直感的に、無意識のうちに優先関係を理解できる。

自転車道と車道の間の緩衝帯は車の一時待機スペースとして機能するので、ドライバーの認知負荷の分散に役立つ。植栽部分は背の高い植物が無く、視距が良好に確保されている。


オランダ、アイントホーヴンの2015年5月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)
2016年12月27日、出典URLの間違いを修正

双方向自転車道が交差点の手前で2本の一方通行自転車道に分岐・接続している。


オランダ、ロッテルダムの2015年6月撮影のStreetView(出典URL
(オリジナルの画像を色調補正した)

大幹線道路に沿って真っ直ぐ延びる双方向自転車道に、やや細い幹線道路の双方向自転車道が丁字路状に接続している。横断待機スペースはその延長線上に無く、オフセットしている。



2016年7月27日追加{

ユトレヒトの交差点。場所はまだ特定できていません。




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このように、双方向自転車道の交差点の設計例は、世界を見渡せばゴロゴロ転がっています。空間制約から、これらをそのまま移入する事は難しいかもしれませんが、基本的なアイディアは活かせるはずです。

ところが、現在パブリック・コメントを実施している「安全で快適な自転車利用環境創出の促進に関する検討委員会」は、その提言案で、

提言案 pdf p. 11
実態としては、既存の自転車道のほとんどにおいて、自転車利用者や沿道の地域住民との調整等が容易な双方向通行の自転車道が整備されている状況にあるが、合理的な交差点処理方策を見いだせていない。

提言案 pdf p. 16
自転車道の一方通行化は、目的地に向かうのに遠回りになることで、沿道の地域住民、自転車利用者等の理解が得られにくい場合はあるが、双方向通行の自転車道とした場合、交差点部における安全性、単路部における快適性の確保といった課題を踏まえ、自転車道は一方通行を基本とすること。

と、あたかも双方向通行自転車道の交差点設計が解決困難な課題であるかのように述べ、一方通行の自転車道を整備するよう誘導しています。

日本国内に限れば整備例は無いかもしれませんが、では、自転車インフラの整備を担う各地の自治体は、海外の事例を自ら調べたり、或いは自らの創造性を発揮して解決策を生み出したりするものでしょうか?

私が知る限り、彼らはそんな事はしません。国交省のガイドラインを丸写ししているだけです。そして、そのガイドラインは双方向自転車道の交差点設計の指針を示していません。

そこはかとなくマッチポンプ感の漂う状況です。


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双方向、一方通行のどちらが良いかは、幾つもの要因を考慮する必要のある複雑な問題です。或る場所では双方向の方が良くても、別の場所では一方通行が最適解になるかもしれません。

本来であれば、個々の状況に応じてどちらを選択するのが良いのかの判断基準を作るべきですが、検討委員会はそうした面倒な作業は放棄して、一方通行をゴリ押ししています。

以下に一方通行と双方向通行それぞれの利点と欠点、成功例と失敗例などのリンクを挙げたので、気になる人は読んでみてください。


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