2015年12月1日火曜日

ヴォックスホール橋の自転車道

ロンドンのサイクル・スーパーハイウェイ5号線(CS5)に含まれる橋梁区間が改修されました。改修後は、縁石で保護された双方向通行の自転車道が橋の片側でのみ供用されています。


改修前


改修後



改修内容についてのロンドン市交通局の広報
Transport for London Cycle Superhighway 5



利用状況についての報道
Dave Hill(2015年11月28日)Cycling on Vauxhall Bridge: a 'liar' claim and a few damned statistics, the guardian

新しい自転車インフラがあまり使われていないという批判的なレポートに対して、それは全くの嘘っぱちだという激しい反論が為されたという記事。興味を持った記者が自身で現地を観察し、
during the morning peak roughly 70% of all cyclists using Vauxhall Bridge use CS5 and roughly 30% don’t.
朝のラッシュ時間帯、ヴォックスホール橋を渡った全ての自転車利用者の内、約7割がCS5を使い、約3割が使わなかった。
事を確認しています。

そして、議論が食い違う理由を、橋を南から北へ渡る朝ラッシュ時間帯は車道を渡る為の長い信号待ち時間を嫌って多くの自転車利用者がそのまま車道を走り、逆方向になる夕方のラッシュでは自転車道を使っているのだろう、と推理しています。

どうやらこの橋については、自転車通行空間を片側に集約したのは失敗だったようですね。

車載動画を見る限りは新しい自転車道の方が圧倒的に安心感が大きそうに見えますが、そもそもロンドンで自転車通勤をするような人たちは、日本やオランダと違い、剛胆で血の気の多い男性の割合が高いそうなので、安心感より所要時間の短さを取ってしまうのでしょう。

今後、自転車人口の属性の偏りが是正されていけば、記者が観察したような利用実態やインフラへの需要は変化していくはずです。そうなると、現状では自転車インフラが何も無い側にも構造的に分離した専用空間を確保するよう、要望が出てくると思います。