2014年9月8日月曜日

井荻・下井草の住宅街の道路 (5)

坂の上から踏切の電車が見える

再び“準”幹線道路に戻ってきました。



車の通過を待つ歩行者

信号の無い横断歩道では、安定の「車優先」ですね。

この交差点は隅切りが無く、交差道路が殆ど死角に入っています。
私が見て回った範囲では特に出会い頭衝突のリスクが高そうでした。


同じ場所から反対側を振り返って

奥に井草四丁目交差点が見えます。
幹線道路同士が鋭角で交差する6叉路(!)で、
自転車にはかなり厳しい環境ですが、それはまた後で。

左側の路側帯が工事で通行止めになっていますが、
車から守られた臨時の通行空間は用意されていません。
単純に歩行者を車道に追い出しているだけです。
片側交互通行にして車道が渋滞するのは困るって事?


ほっそい路側帯を子供が歩いている

狭い空間を無理やり“準”幹線道路として使うんだから、
そりゃあ歩行者に皺寄せが来ますわな。
せめて一方通行にすれば良いのに。


同じ交差点から見たゾーン30の脇道

やっぱりこれくらい空間に余裕が無いとね。


反対側を振り返って

こちらもゾーン30です(標識が木の枝で隠れてますが)。


“準”幹線道路から離脱してゾーン30へ


突き当たりは井草森公園

割と広い公園です。

杉並区内の西武新宿線沿線には他にも
まとまった広さの畑地が点在しており、
幹線道路から一歩裏道に入ると、
新宿から僅か 10 km とは思えないほど長閑な環境です。


左は幹線道路に行き当たってゾーン30終了

片側に歩道が整備されていますが、車が殆ど通らないので
自転車はもちろん、ジョギングの人も車道部分を走っていました。


右は引き続きゾーン30

幹線道路だけでなく住宅街の中の道路でも
左側通行を守るべきだと主張する人がいますが、
具体的にどういう道路を念頭に置いてるんですかね?

写真のような道路では、
右だろうと左だろうと、道路の端に寄るのは危険です。
交差点での出会い頭衝突リスクに直結するからです。
(交差点以外でも、民家から出てきた人と衝突するリスクが有ります。)

せっかく車の通行量が少ないんだから、
自転車は道路の中央付近を走るのが正解。
幹線道路と同じルールを適用するのは誤りです。
(つまり、道路交通法の18条1項は悪法だという事です。)


道路管理者が分かってない例1
車道の端ギリギリに自転車ナビマークを設置している。

過去の関連記事
西葛西の自転車レーン


道路管理者が分かってない例2
「自転車とまれ」マークが路側帯の中に描かれている。
路側帯は自転車レーンじゃねえぞ。

過去の関連記事
井荻・下井草の住宅街の道路 (2)


公園の角の交差点

どの車も非常に控えめな速度で走っているのが印象的でした。
居住者以外の車は通行禁止なので、この地区を通行する車は
ドライバーの許容リスク水準が全体的に低いのかもしれません。

それなら、ゾーン30の内外で制限速度が同じ 30 km/h であるにも関わらず、
あれほど実勢速度が違うのも納得です。

もしかしたらゾーン30の導入も、生活環境の質に対して
意識の高い住民が主導したのかもしれません。だとすれば、
ゾーン30は車の速度を抑制する効果が有る
という解釈は因果関係を逆に捉えている事になります。
車の速度を抑えているのは地区住民の意識であって、
その意識が標識を設置させたわけですから。


横断歩道の直前には視覚的狭窄

ゾーン30政策自体の効果を知りたいのであれば、
標識設置の前後で実勢速度がどう変化したかを調べれば分かるはずです。

(但し、ニュースで通学路の凄惨な交通事故が報道されたりすると
ドライバーのリスクに対する意識が影響を受ける可能性が有るので、
ゾーン30を導入しなかった地区のデータも対照用に欲しいですね。)
 
これ、個人的にとても気になるトピックだったので
荻窪警察署の交通担当者にインタビューしてみたんですが、
井草四丁目(線路の北)や上井草一丁目(線路の南)で
ゾーン30を導入した前後の実勢速度の変化は調査していないそうです。


車のいない車道の真ん中を並んで走る自転車

ふむ、ここも実質的には fietsstraat (bicycle boulevard) ですね。
  • 法的には自転車道ではないが、
  • 車の通行と速度が制限されているので、
  • 実質的に「広い自転車道」として機能している。

いま日本の自転車インフラの議論は幹線道路をどうするか
という点に集中しているので裏道はあまり注目されませんが、
こうして実態を観察してみると、結構いいもの持ってるじゃん!

日本の自転車通行環境(として意識にのぼるもの)は
お世辞にもまともな代物とは言えませんが、
その割には不思議と自転車の交通分担率は高い。

もしかしたら、それを支えているのは
こうした裏道の隠れた自転車ネットワークなのかもしれません。

あまりにも当たり前で住民自身も気付いてないかもしれませんが、
これは大切に守るべき道路環境ですね。

外部サイトの関連記事
http://www.aviewfromthecyclepath.com/search/label/nearly%20car%20free

過去の関連記事
s'-Hertogenbosch のゾーン30 (1)

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