2014年11月29日土曜日

Shimano WH-RS21のレビュー

シマノWH-RS21

ゆったりポタリング(*)する程度なら十分満足できるホイールです。カタログ数値に表われない意外な利点も有りました。

* 平地160kmや山岳120kmのサイクリングも含みます。

2018年6月8日 故障について追記
2023年12月3日 追記

ホイールの諸元

フロントホイール
  • リム外幅 20.8 mm(実測 21.0 mm)
  • リム高 21 mm(実測 22.0 mm)
  • スポーク ブレード型(1.1 x 2.6 mm)16本
  • 実測重量 782 g(リムテープ含む、クイック含まない)
  • クイックの実測重量 59.1 g
リアホイール
  • リム外幅 20.8 mm(実測 21.0 mm)
  • リム高 24 mm(実測 23.6 mm) 
  • スポーク ブレード型(1.1 x 2.6 mm)20本 逆イタリアン組み
  • 実測重量 1074 g(リムテープ含む、クイックとスペーサー含まない)  
  • クイックの実測重量 63.6 g

重量実測

Shimano WH-RS21 (front) の実測重量:782.0 g

リムテープ含む。クイックリリース・スキューワー含まない。キッチンスケールに安定して載せる為にハブ軸に嵌めたキャップの分は引いてあります。

Shimano WH-RS21 (rear) の実測重量:1074 g

リムテープ含む。クイックリリース・スキューワーと8/9/10速スプロケット用のスペーサー含まない。キッチンスケールに安定して載せる為にハブ軸に嵌めたキャップの分は引いてあります。

Shimano WH-RS21 付属の quick release skewer (F) の実測重量:59.1 g

Shimano WH-RS21 付属の quick release skewer (R) の実測重量:63.6 g

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細部の構造

ハブ

WH-RS21のフロントハブ 

同時期に発売された上位モデルと違い、外側のダストキャップが有りません。

購入直後のハブ軸の回転はキシキシとかなり渋かったですが、特に調整せずそのまま 3000 km ほど走った現在はスルスルと回ります。

2018年6月8日追記{

購入時点で特に動きの渋かった前輪はその後、4330km走行時点でベアリングのカップとボールに齧りが生じました。屋外を走っていても聞こえるカチカチ音で異常に気付けました。出荷時のベアリングの与圧が強すぎたからでしょうか?

コーンの齧り(英語ではspallingと言うそうです)

ボールの齧り(写真は上2枚ともRicoh CX2で撮影)

破損した部品だけ取り寄せて自分で交換しました。修理後はこれまでに1720km走っていますが、前輪、後輪ともに正常に動いています。



ラジアルから僅かにタンジェンシャル方向にオフセットしたスポーク配置が特徴。 
ハブフランジのスポークホールはかなり近接しています。

WH-RS21の11速用のハブ

左側のフランジが中央寄りで、フランジ間隔がやや狭いです。ホイール付属の1.85mmスペーサーは8速スプロケットにも使えます。

8速スプロケット(11-30T)を装着したWH-RS21

リム

水抜き穴

接合部分と摩耗インディケーター

接合部は殆ど段差なく綺麗に処理されています。

オフセットリムとヴァルヴホールの位置関係

リム断面は左右非対称の台形で、台形上辺の右端がヴァルヴホールの中心辺りに来ます。

オフセットリムとスポークホール

リムテープ(2023年12月3日追加)

久々にパンクしたチューブを取り出すとタイヤ側ではなくリム側に小さな裂け目ができていました。リムを観察すると、リムテープがズレてニップルホールが露出していました。

  • 後輪はオフセットリムなのでニップルホールが端ギリギリに開けられている
  • リム内幅に対してリムテープ幅が充分ではない

この2要因によりパンクに繋がったようです。

ホイールセットに付属のリムテープは18-622

露出したニップルホール

ニップルホール露出箇所に生じたチューブのパンク(写真中央の小さな裂け目)

ニップルホールのオフセットが小さい前輪は18mm幅のリムテープでも問題ないのですが、後輪は2〜3mm広いものが必要そうです。

スポーク

ブレードスポークですが、出荷状態では角度ずれが目立ちました。ホイールの中心面に対して20度もズレているスポークが何本か有りました。

ParkTool の BSH-4 Bladed Spoke Holder も同時に買っておいたので角度ずれは簡単に直せましたが、スポークの厚みがBSH-4のどの溝とも完全には一致しなかったので、厚紙を挟んで調節する必要が有りました。

インターネット上では出荷時のスポークテンションの低さや緩みやすさが指摘されていましたが、私が買った個体にはその問題は有りませんでした。使用開始から約 3300 km 走行した現時点でも緩んでいません。

クイックリリース・スキューワー

付属品のクイックリリース・スキューワーとスプロケット用のスペーサー

スペーサーは10速用と書かれていますが、8、9速にも使えます。CS-4600を装着する場合はカセットスプロケットの凸部にスペーサーの凹みを合わせて取り付けるよう注記が有ります。

WH-RS21用クイック(上)と5700系ハブ用クイック(下)の比較

5700系クイックの方がレバーが深く倒れます。

WH-RS21用クイックのレバーはフレームのエンド面より手前で止まりますが、5700系クイックのレバーはエンド面より深く倒れます。

レバー裏面の比較(上:WH-RS21、下:5700)

WH-RS21クイックのレバーはテカテカとした安っぽい質感。

レバーの角度が違います。

5700系クイックのレバーは角度に注意しないと、締めた時にフォークやフレームにぶつかります。

レバー表面の比較(上:WH-RS21、下:5700)

レバー表面の比較(上:WH-RS21、下:5700)

右ナットの比較(左:5700、右:WH-RS21)

取っ掛かりの多いWH-RS21のナットの方が素早く回せます。

走行性能

まず初めに断っておきますが、私は機材の違いにはかなり鈍感です。ママチャリのダイナモランプを点けてもペダルが重くなったとは感じませんし、以前、ロードバイクのタイヤを交換して前後で計 200 g ホイール外周部が軽くなった時も違いが分かりませんでした。

装着するロードバイクも入門用のアルミモデルなので(フォーク:772 g、フレーム:1638 g、完成車重量:10.2 kg)ホイールの軽量化の効果はあまり目立たないかもしれません。

また、ロングライドはしますがポタリング的なゆるい走り方が中心です。ロードレースのような激しい乗り方はしません。

比較対象の完成車付属ホイールの諸元

フロントホイール
  • リム たぶんリアと同じ
  • スポーク リアと同じ
  • 実測重量 956 g(リムテープ含む、クイック含まない)
リアホイール
  • リム幅 19.0 mm
  • リム高 27.7 mm
  • スポーク 2.0 mm 丸スポーク 28本、2クロス、イタリアン組み
  • 実測重量 1213 g(リムテープ含む、クイック含まない)
    • リム重量 554 g
    • ニップル重量 28 g(28個合計)
    • スポーク重量 210 g(28本合計)
    • ハブ重量 421 g
  • リムテープ重量 15.4 g

WH-RS21は完成車付属ホイールに比べて、

  • 発進時の漕ぎ出しの軽さ…………特に違いは感じませんでした。
  • 踏み込みに対する反応の良さ……特に違いは感じませんでした。
  • 最高速の伸び………………………特に違いは感じませんでした。
  • 速度維持の楽さ……………………特に違いは感じませんでした。
  • コーナリングの安定感……………特に違いは感じませんでした。
  • 立ち漕ぎ時の剛性感………………特に違いは感じませんでした。
  • 登坂の軽さ…………………………特に違いは感じませんでした。
  • 振動吸収性…………………………振動の角が少し取れた、ような気がします。 
  • ブレーキパッドの食い付き………少し弱まり、ブレーキの効きが悪くなりました。

と、ここまでは大して違いが分かりませんでしたが、

  • 横風煽られ耐性……………………絶大な効果を実感!

街中を走っている時に遭遇するビル風や、河口付近の橋を渡る時の海陸風など、強烈な横風に煽られた時、完成車付属のホイールでは転倒しそうになったり、車体が大きく傾いたりしていましたが、WH-RS21に変えてからはそういったヒヤリ体験がほぼ解消されました。リムの低さとスポークの少なさが効いているようです。

まとめ

ミドル〜ハイ・プロファイルのリムのホイールで横風に煽られて怖い思いをしている人(体重の軽い人)におすすめ! 見た目もそこそこスポーティーなので十分満足できます。