清新交差点(2016年11月撮影)
別視点から
ゆとりある空間資源を背景に、関東では数少ない3.0m幅の自転車道が整備された国道16号。その細部を観察してきました。
国道16号の相模原駅周辺では2008年に自転車道の試験整備が始まり、その後少しずつ整備延長を伸ばしてきました。
- 淺井 雅司(2016)「国道16号相模原駅周辺自転車道の整備効果について」『平成28年度スキルアップセミナー関東』
今回見る清新交差点から相模原駅入口交差点までの区間は2015年に完成したもので、既に他のブログから詳細な現地レポートが発表されています。
- ランキング日記(2015年02月12日)「相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察」
- JABLaw代表理事のブログ(2016年07月01日)「相模原自転車道の通行映像を制作しました」
- あしたのプラットホーム(2016年09月02日)「国道16号「相模原自転車道」の整備形態(1)双方向通行自転車道の真価」
遅ればせながら私も現地を見に行きました。
交差点西側は横断歩道が無く、自転車横断帯のみ。
(撮影地点の真下はどちらも無い)
(撮影地点の真下はどちらも無い)
画面奥は小学校の敷地で、児童の事故防止の為に歩道橋を設けたようですが、
横断歩行者の滞留空間にぶち当たって途切れる自転車道
歩道橋が無ければその階段の位置に自転車道を通せたので、写真のように歩行者と自転車の交錯をわざわざ招くような配置は不必要でした。
改善イメージ
良い設計とは、安全性だけでなく、利用者から見た分かりやすさ、快適さも満たすものです。
交差点の西側から東側に直進する自転車は車道左端の延長線に沿って走る事になるが…
横断歩道も自転車横断帯も無いので対向右折車のドライバーが自転車の存在を予期しにくく、見落とされやすいのではと懸念されます。
交差点の南東の角
2つの横断歩道は20m以上離れている
清新交差点で国道16号に接続する2本の道路は互いに中心線や交差角度が微妙にずれているので、横断歩道を国道16号の車道に直角に引く都合上、そのオフセット量はかなり大きくなっています。自転車の動線を基準に考えると、2本の自転車横断帯の間は20mくらい有りますね。
画面左手の道路から国道16号に左折した車は画面右奥の横断歩道に差し掛かるまでの直線で相当加速できてしまいます。この構造なら歩車分離制御が必要だろうと思います。
交差点の角部分は歩道が充分広いのに自転車道は途切れており、自転車を誘導する矢印が路面に申し訳程度に設置されています。全国各地に見られるのと同じ欠陥構造で、恐らくここでも、警察が交通管理者協議で前例主義を振りかざし、インフラの改善を妨害しているのではないかと。
以前の記事にも掲載しましたが、物理的には以下のような設計も可能でした。
家一軒が建つほど広大な歩道
自転車道をまっすぐ連続させる事もできる。
自転車専用の通行空間であれば、車道との境界線に視覚障害者の為の段差を付ける必要も無くなるので、自転車利用者にとって快適になります。バス停手前の無駄な屈曲も合わせて解消できる点にも注目です。相武国道事務所の設計は不要な段差・屈曲が多すぎです。
この交差点の辺りは歩行者が少ないので
横断歩道と自転車横断帯の幅の比率が交通実態と合っていません。
地上から見た自転車横断帯
車止めの間は1.4mほど空いていますが、
衝突の恐怖感がある為、有効幅員と言えるのは75cmほどです。
オランダの設計指針では工作物の種類や大きさに応じた建築限界が示されており、ボラードの場合は(乗員の体も含む)自転車の物理的な占有領域の端から工作物までの距離が0.325mを下回ると危険を感じるとされています。
CROW. (2007). Design manual for bicycle traffic, p.48
普通自転車規格に適合する自転車1台なら難なく通行できますが、リヤカーを牽引する配送用自転車を考慮するなら、このボラードの設置間隔は狭すぎますね。2台の自転車のすれ違いも不可で、自転車が自転車横断帯からはみ出す原因になります。
ここで日没
交差点から北側は自転車道が未整備
車道は通行帯で隙間なく埋め尽くされています。
地上から見た歩道はこんな感じ。既に電線が地中化されています。
歩道橋の階段は中央に自転車用のスロープが設置されています。
対向する自転車とぶつからないようにスロープの中央にはセパレーターも有りますね。手前の点字ブロックはちょっと意図が分からないです。
階段部分の勾配は26%でした。
シリーズ一覧
- 国道16号・相模原市の自転車道 (1) 清新交差点
- 国道16号・相模原市の自転車道 (2) 単路の構造
- 国道16号・相模原市の自転車道 (3) 生活道路との信号交差点