一部、加筆訂正をしている。
以下の構成で、フロントの変速時にトラブルが頻発した。
クランクセット: FSA VERO Compact (50T/34T)
フロントディレイラー: Shimano FD-2200
■症状1
インナーチェーンリング側に変速させる時、チェーンが
チェーンリングを越えて車体中心側に脱落する。
対策として、
- 摩耗したチェーンを新品に交換した;
- インナーチェーンリングを34Tから42Tに交換した;
- フロント変速をする前にチェーンの襷掛け状態を解消する操作(*)をした
- は交換直後の変速で早速チェーン脱落が起こり、無効;
- は脱落確率は下がったが完全には解消はせず;
- で確実な防止に繋がった。
- 主としてチェーンラインの歪み
- 加えて内外のチェーンリングの落差の大きさ
* チェーンがフロントで外側、リアで内側のスプロケットに掛かっている
状態を「襷掛け」と言う。(フロント内側にリア外側も同様に呼ぶ。)
この状態でフロント変速をすると、リアで内側に掛かっているチェーンが
フロント側のチェーンを車体中心寄りに引き摺り込む様に作用する。
これを防ぐ一番簡単な方法は、変速前のチェーンが
リアのどのスプロケットに掛かっているかに関わらず、
とりあえずリアを2段ないし3段アップシフトしておく事。
これにより襷掛けが解消され、
フロントを変速してもチェーンが脱落しなくなる。
■症状2
チェーンをアウターに上げる時、ガラガラ鳴っていつまでも上がらない。
対策として、
- インナーチェーンリングを34Tから42Tに交換した;
- フロントディレイラーの可動部分の(緩んでいた)ネジを増し締めした;
- ディレイラーを上位機種(FD-3400)に交換した
- は変速性能が劇的に改善したものの、その後必要に迫られ50T/34Tに戻し、
- は全く改善しないばかりか、二度目の増し締めでネジが破断し、
- で当初の50T/34T構成のまま変速性能が劇的に改善した。
- フロントディレイラーの剛性不足
- チェーンリングの歯数差(落差)が大き過ぎる事
■フロントディレイラーの破損について
増し締めによって破断したFD-2200のネジ。
このネジに関しては説明書に締め付けトルクが書かれていない。
ネジが緩む事は想定されていなかったらしい。
力の掛かる部分の回転軸と固定具をネジ一本で済ませている。
後継モデルのFD-2300ではこの部分はカシメになった。
下手の増し締め壊すに似たり、というか、文字通り壊してしまった。
ねじ山の根元附近が破断し、残りの部分はネジ穴の中に取り残された。
---
FD-2200は仕様上、最大歯数差が16Tとされているが、
同2200シリーズのクランクセット(FC-2200)は
52T/39T (13T差) と 50T/39T (11T差) しか出されていない。
仕様では16T差対応を謳っているが、
実際にはコンパクトクランクセット(50T/34T で 16T差)の
変速負荷には耐えられない構造だったのかもしれない。
FD-2200の構造。負荷の掛かる回転軸をネジ一本で支える片側支持構造。
嘗てはDura-Aceもこの構造だった(7700系まで)。
FD-7900の構造。実物は持っていないので写真資料から推定。
回転軸は上下とも両側支持構造になっている。
この両側支持構造は
FD-7900, FD-7800, FD-6700, FD-6600, FD-5700, FD-5600,で採用されており、ロードバイク向けの現行製品で
FD-4600, FD-4500, FD-3500, FD-3400
この構造に改良されていないのは最下位グレードのFD-2300のみ。
* ちなみに赤字の製品はディレイラー・ケージのネジが
カシメに変更され、メンテナンスが面倒になった。
* CampagnoloもShimanoと同様にフロントディレイラーの構造を
片側支持から両側支持に改良した。現行製品では、
Veloce の2011/2012年モデルのみが旧構造。
2013年のトリプル用ディレイラーはVeloceも両側支持構造になる。