を読みました。
オムニバス形式で、車に関する様々な話題を
様々な分野で活躍する研究者が語る形式です。
「高齢者と車」と題された章では、東京大学大学院の教授で、
老年社会科学を研究する甲斐一郎氏が、高齢者ドライバーの
認知・行動特性や、運転と生き甲斐の関係などを紹介し、
今後の車社会をどうしていくかという問題を提起していました。
さて、章の中で私が注目したのは、高齢者ドライバーの運転の特徴です。
私は高齢者が運転する車に同乗する機会が無いので、
そうした車が道路上でどのような挙動を取るのか知りませんでしたが、
p.260の他にも、
走行速度が遅い
車間距離を長くとる
発進が遅れる
右折が苦手
p.260という特徴が有り、これは車道左端を自転車で
走行時左側による
複数車線のとき外側車線を走行する
カーブでの位置取りが不安定
通行する自分にとっては極めて有益な情報になりました。
ノロノロ運転だからといって、高齢者の車を
甘く見てはいけないという事ですね。
そう言えば以前、高齢者らしき人物が穏やかに運転する車に
左カーブの途中で幅寄せされ、非常に危険な状況に陥った事が有りました。
当時は「羊の皮を被った狼も居るのか」と驚きましたが、
あれは悪意ではなく、高齢者の特性がそうさせたのかもしれません。
であれば、対策は
左カーブの途中では追い越しをさせないですね。
この他、高齢者は若い世代より反応時間の個人差が大きく(p.262)、
年齢による一律の運転制限が非合理である事や、
高齢者は側方障害物までの距離を大きく取る事(p.263)が、
データと共に示されていました。
後者の特性は、自転車が左端を通行している場合を考えると、
前の「左側に寄る」と正反対の特性ですね。で、実際どちらが
優位に作用するかというと、上で紹介した幅寄せ事例のとおりです。
最後に甲斐氏は以上のデータから、こう纏めています。
p.266
高齢者の車の場合は、先ほど述べたように、
たとえば発進が遅れる場合があるので、
それをカバーするためにアクセルを入れたらすぐ動くような車、
あるいは全体的に走行速度が遅いといことで、
すぐ止まって、すぐ動く車というように高齢者用の車を開発する。
また、側方を広くとるということを考えると、やはり広い道路が必要である。
はあ?
ここに来て何とち狂った事を言い出してるんだ、この人は。
高齢者が引き起こす事故の急増が
今のペース程度で済んでいるのは、
認知・判断・動作それぞれの遅れを
ゆとり有る運転で何とか補っているからだろうが。
当人の処理能力を超える機敏な車にしてどうする。
それに側方間隔を広く取るなら、
道路を拡げる前に車を小型化すれば済む話だ。
なぜ直ぐにインフラ整備に持って行こうとする。