車道(*)を渡ろうとして、押しボタン式の横断歩道が有る場所で
私がボタンに手を伸ばしたところ、
対岸の歩道にいた人が先に押しました。
* この道路は、車道が片側一車線の計5m幅、
歩道が左右それぞれ2m前後の幅で、
横断歩道の直近に交差道路が接続しています。
向こう側の人は白い杖を持っていたので、
視覚障害者である事が分かりました。
夜間だったので車の通行は疎らで、
スーパーカブが一台通り過ぎた後は静まりかえり、
車道の信号が依然青なのか、既に赤に変わったのか
音だけでは判断できない状態でした。
暫くして車道の信号が赤に変わり、
続いて横断歩道の信号が青になりましたが、
音楽や鳥の鳴き声は流れず、
聴覚上は何ら変化が有りません。
2013年7月1日追記
昼にこの横断歩道に通りかかったら、歩行者用信号が青の間、
鳥の鳴き声が流れていました。夜間は消音しているようです。
おそらく近隣住民への配慮が理由でしょうが、設備の意味が有りません。
対岸にもこちら側にも、歩道で信号を待っていた
歩行者は一人ずつしか居なかったので、
周りの人の音をヒントにする事もできません。
対岸の人が全盲なのか弱視なのかが
分からなかったので、私は横断を開始せずに
少し様子を見ていましたが、ずっと立ち止まったままで、
信号の変化に全く気付いていない様子でした。
声を掛けて知らせようとした矢先、私の後ろから来て
同じく向こう側に渡ろうとした別の歩行者が、
対岸で立ち止まっている人を訝しんで
「青ですよ」と先手を打ちました。
これを聞いて対岸の人は初めて動き出し、
信号の色を知らせた人に「ありがとうございます」と言って
横断歩道を渡りました。
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この横断歩道の問題点
1. 押しボタンの位置が分かりにくい筈だが。
この横断歩道の押しボタンは、両岸とも
人の自然な動線から外れた位置に有り、
目が見える人(睛眼者)でもしばしば見落としています。
また、押しボタンの箱も従来型のもので、
「ボタンの位置を知らせる為に音を発する」
などの機能は有りません。
つまり、
対岸の人はこの道を何度か通った事が有る事
睛眼者の案内が無ければ渡れなかっただろう事
の二点が推測できます。
2. 渡れるかどうか音だけでは判断できない。
上で言及していなかった点が二つ有ります。
第一に、この横断歩道が設けられた道路は、
横断歩道の直前までが長い下り坂です。
第二に、この道路は自転車の通行が比較的多く、
且つ自転車の通行位置は歩道、車道の両方、
通行方向は順走、逆走の両方、
信号無視や携帯端末を操作しながらの運転も
非常に多く見られます。
* 全盲の人には関係無いのかもしれませんが、
夜間無灯火も非常に多いです。
自転車はMTBなどのブロックタイヤを履いた車種を別にすれば
殆ど音を発さずに走行する上、下り坂をブレーキを掛けずに下れば
速度は横断歩道を通過する時点で35km/h程度(*)に達します。
* この値は私が自分のロードバイクで実験して得たものです。
(実験条件: 車重 9.5kg、乗員+荷物 50.5kg、
タイヤ空気圧 80psi、車道走行、ペダル漕がず)
タイヤ空気圧が低い軽快車では
もう少し低い速度で均衡するかもしれません。
仮に信号の色が分からなくても、
最悪、車やバイクの音が途切れた時に渡れば良い
と思われるかもしれませんが、自転車という脅威が
有る以上、それはできないわけです。
3. 白杖の認知度が低い(?)
渡れずに立ち止まっていた人に先に声を掛けたのは、
私ではなく、渡らない事を訝しんだ(*)別の人でした。
* もしかしたら、視覚障害者がいるのに手を貸そうとしない
私の事を訝しんだのかもしれませんが。
白い杖(白杖; はくじょう)が、視覚障害者である事を示す
記号であると広く認知されていないのかもしれません。
参考までに、「白杖 折られた」で検索してみてください。
白杖にも関わらず横暴な運転をする自転車が
問題視されています。