2013年4月2日火曜日

スポークの役割を理解する為の実験

自転車のホイールを手組みしようと思って色々調べています。




様々な意見を読むと、
どうやってホイールの剛性を高めるか
というのが重要な課題の一つのようです。

ところで、ホイールという構造体の中で
スポークはどのような役目を果たしているのでしょうか。

それを体感できる簡単な実験が有ります。


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袋に重りを入れ、手提げの部分に紐を通します。
この紐の両端を引っ張って袋を持ち上げてみます。

ほぼ真上に引っ張る場合

これは軽い力で持ち上げられます。



ほぼ真横に引っ張る場合

これは結構力が要ります。
同じ重さの袋でも、紐を強く引っ張らないと持ち上がりません。

* 元々はNHKの教育番組で紹介されていた実験。
斜張橋の塔が吊り橋の塔より高い理由を理解する為の実験で、
紐の両端にはニュートンはかりを結び付けていた。

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この事をホイールに当て嵌めて考えてみます。


リムが袋に、左右のスポークが紐に対応していますね。
ハブからリムへの放射方向の引張力が有るのが読み取れます。

これを90度回転して横倒しにすると、

横方向の剛性もスポークが担っている事が分かります。
赤いスポークは非常に浅い角度でリムを持ち上げているので、
スポークを強く引っ張っても、矢印方向には小さな力しか生まれません。
矢印と反対向きにリムを押し下げられると、持ち堪えるのは大変です。



反対側の青いスポークは角度が大きく、矢印が長くなります。
リムが押されても多少は踏ん張れそうです。



2013年4月6日 追記
2013年4月7日 加筆・修正 

手組みホイールの話題で有名なのむラボというブログで、
左右のスポークの組み方を変えてテンション差を小さくする
「ヨンロク組み」、「ヨンパチ組み」という組み方が紹介されています。

何故ヨンロク組み、ヨンパチ組みでテンション差が小さくなるのか、
今まであまり良く理解できていなかったので、
上の実験で挙げた矢印の概念を使って考えてみました。
(この捉え方が正しいとは限りませんが。)

まず、ハブ側のどの穴からスポークを張るかで、
スポークの長さは少し変わります。


赤いスポークは放射組み、
青いスポークは接線組みです。
青の方が少しだけ長くなる事が分かります。

横倒しにして見ると、長くなった分だけ、青いスポークの方が
リムを持ち上げるのに余計に力が必要になる事が分かります。



手組みのホイールは普通はこのように組みますが、




駆動側(赤)を放射組みにすると、
赤いスポークの角度が僅かに起きて、
横方向(ホイールの面に垂直な方向)に
作用する力の割合が上がります。

その分、スポークに掛ける力を相対的に弱くする事ができます。
(言い換えれば、反対側の青いスポークに強い力を掛ける事ができる。)

放射組みはトルク伝達に難が有るので、後輪の組み方、
特に駆動側の組み方としては推奨されていませんが、
単なる思考実験として計算してみます。


計算条件
  • リムの実効径(ERD) 592mm
  • スポーク穴の左右振り、オフセット無し
  • ハブフランジのPCD 左右とも45mm
  • ハブ中心から左フランジまで 37.35mm
  • ハブ中心から右フランジまで 20.55mm

左右とも4cross(8本組み)の場合、
左右のスポークの横方向の成分が釣り合うのは、
青いスポークに赤いスポークの55.23%55.32%の力が掛かっている場合で、
駆動側だけ放射組みにすると59.92%60.02%まで上がります……。

何か見落としている要素が有るのでしょうか。
もっと大幅に改善するものと思っていましたが。

もしかすると、スポークに掛けると、それによって生じる張力
あまり綺麗に対応していないからかも知れませんが、
その辺りの詳しい値はあいにく知りません。

寧ろ、スポークが長くなると、力を分担する体積が増えるので、
張力は低下しそうな気がしますが……。