――路上駐車の車にどう対処するかという話です。
路駐車両が現われるたびに歩道に上がっていたのでは
大変ですし、所要時間も延びてしまいますよね。
縁石の段差で転倒するリスクも有ります。
では、どうすれば路駐車両を右側から安全にパスできるのか。
三つの注意点を取り上げました。
まずは、一にも二にも【ドアゾーン】の回避です。
後続車に遠慮して路駐車両の横ギリギリを通過すると、
GET DOORED!!!!!
こうなります。突然開くドア。これがドアゾーンです。
最悪の場合、ドアにぶつかって転倒し、後続車に轢かれます。
これを知らずに車の横スレスレを通過する
自転車があまりにも多いです。原付もそうです。
警察はこのリスクについて全く啓蒙活動をしていませんね。
歩道ばかり走っているから知らないんでしょうか。
Avoid the door zone
安全なライン取りはこうです。
自転車や自分の体がドアゾーンに入らないように、
車の側面から1.0m、できれば1.5m以上間隔を取ります。
Take a lane
ドアゾーンを回避するのに必要であれば、
完全に車の列に入り、一車線を占有してしまうのが賢明です。
(後続車のドライバーが攻撃的な性格でなければ、ですが。)
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次に重要なのが、路駐を回避する為の進路変更は、
- 早い段階から準備し、
- 緩やかに行なう事。
路駐車両の直前になって唐突に進路変更すると、
危険予測ができていない車やバイクに追突されます。
状況が切羽詰ってしまう前に、
早い段階で進路変更のシーケンス
- 後方確認
- 手信号 (3秒間)
- 進路変更 (緩やかに)
を実行して、路駐車両を回避すべきです。
(手信号を出してから進路変更を開始するまでの「3秒間」は、
道路交通法施行令の第21条で規定されています。)
「緩やかに」というのは、進路変更で斜めに走行するとき、
横方向の移動速度が(例えば)0.5m/s程度という意味です。
横断歩道の白帯1本(0.45m)を1秒間掛けて跨ぐイメージです。
横方向の成分が0.5m/sec
「早い段階」というのは、路駐車両の何メートル手前から
進路変更のシーケンスを開始すべきかという事ですが、
例えば以下の条件であれば、
後方確認 | 1秒 |
手信号 | 3秒 |
路駐車両の車体幅 | 1.7m |
路駐車両と縁石の間隔 | 0.5m |
ドアゾーン幅 | 1.0m |
自転車の初期通行位置(縁石から) | 1.0m |
進路変更速度(横方向) | 0.5m/s |
シーケンス開始地点は以下のようになります。
自転車の速度 | 路駐車両までの距離 |
10km/h | 23m |
15km/h | 35m |
20km/h | 47m |
25km/h | 58m |
30km/h | 70m |
35km/h | 82m |
40km/h | 93m |
45km/h | 105m |
50km/h | 117m |
但し、この計算値は余裕を全く含んでいません。
車の流れにスムーズに乗れないと失敗します。
現実には交通状況を見ながら、もっと早い段階で
路駐回避の走行ラインに移っておく必要が有るかもしれません。
もし進路変更に失敗したら、潔く諦めて路駐車両の後ろで停止し、
車の流れが途切れるのを待つのが安全です。
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最後に手信号について。
進路変更する前に後続車のドライバーに向けて
手信号で意思表示をしておくと、追突リスクを或る程度抑えられます。
ただし、
日本では手信号を出す自転車が極めて稀なので、
腕を横に水平に伸ばしても、ドライバーやライダーには
その意味が理解されない場合が有ると想定すべきです。
(単に進路を邪魔しているように見える、など。
手信号を見てもどんどん車間距離を詰めてくるドライバーがいます。)
また、自転車が手信号を出す可能性を
想像できないドライバーやライダーは、
自転車の横スレスレを猛スピードで追い越す事が有ります。
この時、不用意に手信号を出すと、
伸ばした腕を吹っ飛ばされるリスクが有ります。
こうした理由から、
- 手信号を出す時は、あらかじめ後方を確認しておく
- 実際に進路変更を始める前に、後ろを振り返ってアイ・コンタクトを取る
手信号を出すと自転車がふら付いてしまう人は、
車が通らない安全な場所で練習しておくと良いでしょう。
オランダ人は幼少期から特訓を受けているそうで、
実際、フローニゲンの街では手信号をよく見ました。