2013年4月30日火曜日

東京都区部の旅行速度調査

自転車で車道を走った場合の旅行速度
(信号待ちも含めた平均速度)はどのくらいでしょうか。

連休の初日に実験してみました。


実験1 (2013年4月27日)

実験コースは
山手通りを中心とした南北方向のルートで、
交差点での左折は1回、右折は0回です。

走り方のルールとして、
道路の車道部分のみを通行する。
赤信号の時は、
  • 待機車列の最後尾に付く。
  • 自分が先頭の場合は停止線手前で待機する。
を設定しました。

走行時間や、それぞれの赤信号での待機時間は、
自転車に取り付けた車載カメラの映像に基づいて集計しました。

結果

走行したのは連休初日の土曜日の夕方(15:50~16:30頃)で、
実験コースは全区間、渋滞(*)は有りませんでした。
* ここでは便宜的に、
「信号が赤の間に待機車列に加わった自分の車両が、
信号が青に変わってから次の赤になるまでに
通過できなかった場合」
を渋滞とします。
走行距離11.6km
所要時間39分39秒
信号待ち回数18回
合計待ち時間586秒 (平均32.55秒)
距離当たり信号待ち回数 1.55回/km
旅行速度17.55km/h

感想

17.55km/hか。スポーツ自転車のカタログ(*)では、
「15kmだと信号待ちを入れても40~60分程度で走れます」
と書かれています。(15~22.5km/h)
17.55km/hは、まあ平凡な値ですね。
* ライトウェイプロダクツジャパン株式会社
『ライフスタイルバイク 2013』 第2版

信号待ち時間を除いた場合の平均速度も23.29km/hと、そんなに速くありません。
(赤信号手前での減速や、信号のタイミングを見越しての徐行も含みますが。)

実際に走ってみた感触としては、
走行中に前方遠くに見える信号が既に赤になっている事が多く、
惰性走行で楽をしたり徐行で調整する時間が長い印象でした。

恐らく、ちょっとくらい頑張って速度を上げても、
信号の網に引っ掛かって無駄になるでしょう。

この実験結果より僅かでも旅行速度を向上させようとするなら、
  • 安定的に50km/hで走行する
  • 登り勾配や向かい風でも速度を落とさない
という超人的な能力が必要になると思います。

(信号の制御パターンを自転車の速度に合わせて
ちょっと調整してくれれば旅行速度は簡単に上がるのですが。)


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実験2 (2013年4月29日)

連休三日目に別ルートで実験を行ないました。

実験1で使った山手通りは、都区内とは言っても、
大正時代までは地名に村が付いていたような地域の道路ですから、
道が複雑に入り組んだ都心部よりは恵まれた環境です。

そこで、今度は山手線の円を東西に貫く
やや複雑な経路を設定しました。
途中、交差点での左折は4回、右折は3回です。

走り方のルールは変えていませんが、車載カメラは使わなかったので、
起点と終点の発着時刻を記録する事で旅行速度を算出します。

結果

走行したのは連休三日目の月曜日の夕方(15:55~16:45頃)で、
渋滞は有りませんでした。

走行距離 12.3km
所要時間 49分6秒
旅行速度 15.03km/h

感想

やはり都心部では旅行速度が低下しますね。
先に挙げた自転車カタログで示された目安の下限です。

途中で赤信号に引っ掛かった回数は、記憶が正しければ39回です。
(3箇所ほど自信が無い。)

赤信号遭遇回数は3.17回/kmで、
実験1のコースの2倍の水準です。
旅行速度が下がるのも頷けます。

信号での平均待ち時間が実験1と同じく32.55秒だったと仮定すると、
正味走行時間の平均速度は26.41km/hです。
これは実験1より3km/hも上がりました。

実験1の山手通りと違い、
  • 車道も歩道も狭い
  • 道に屈曲が多い
ので視程が短く、前方の赤信号が見えないため、
惰性走行や徐行をする時間が減ったからでしょう。

地形的に実験1より急な起伏が多い事も有り、
良い運動になりました。

ちなみに実験2の終了後、ほぼ同じコースを逆方向に走りましたが、
こちらは一部区間で渋滞が発生しており、更に遅くなりました。

走行距離 12.7km
所要時間 52分01秒
旅行速度 14.41km/h


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実験3 (2013年5月8日)

今度は不忍通りを中心に、都内屈指の激坂(25%勾配)を
組み込んだコースで5月8日(水)に実験を行ないました。
(坂の登りは往路のみ。)

このコースは普段からよく通っている道でもあるので、
どこの信号で引っ掛かるかは大体把握しています。

往路は18時55分頃、復路は19時40分頃に出発しています。

信号の有る交差点での右左折は、
往路が左折1回、右折が1回、
復路が左折が2回、右折が3回です。

結果

今回は信号待ちでのロスを回避するために、
大きな交差点で右左折する場合に限って、
歩道・横断歩道を通行しています。

これにより、往路では
  • 左折時に消費するはずだった信号待ち 1回分
  • 二段階右折時に消費するはずだった信号待ち 1回分
を、復路では、
  • 二段階右折時に消費するはずだった信号待ち 1回分
を、それぞれ回避しています。
往路の左折では、渋滞の回避にも繋がっています。

どちらも大型の交差点なので、節約できた時間は
左折時が1分30秒くらい、右折時が3分くらいでしょう。
(計測はしていません。)

さて、その結果ですが、効果が如実に現われています。

往路

走行距離 7.7km
所要時間 23分30秒
旅行速度 19.6km/h

復路

走行距離 7.7km
所要時間 22分17秒
旅行速度 20.7km/h

感想

都心部の旅行速度で初めて20km/h台が出ました。
自分でも驚いています。

今回の実験では、大きな交差点で
右左折する際の信号待ちのロスを回避した以外にも、

普段は引っ掛かる事の多い(待ち時間の長い)信号が、
往路で2ヶ所ほど、復路で3ヶ所ほど、タイミング良く青信号で、
すんなりと通過できた幸運が重なりました。

信号の無い郊外の道路では自分の体力が旅行速度に直結するので、
旅行速度を1km/h上げるだけでも大変な負担になりますが、
都心部では信号のタイミング次第で2~3km/hは簡単に上下するようです。


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実験4 (2013年5月12日、14日)

実験2と同じ起点・終点で、ルートを新宿・飯田橋経由から
高田馬場・江戸川橋経由に変更しました。
信号待ち回数が減る事を期待しています。

新ルートでの実験は、日曜日(12日)と
火曜日(14日)の2回行ないました。

実験開始時刻は
12日の往路が15時頃、復路が17時頃、
14日の往路が16時頃、復路が18時頃です。

結果

往路(12日)

走行距離 13.2km
所要時間 43分56秒
旅行速度 18.0km/h

復路(12日)

走行距離 13.3km
所要時間 46分01秒
旅行速度 17.3km/h

往路(14日)

走行距離 13.0km
所要時間 49分34秒
旅行速度 15.7km/h

復路(14日)

走行距離 13.1km
所要時間 54分19秒
旅行速度 14.5km/h

感想

実験2のルートより1km近くも遠回りですが、12日の実験では
所要時間を往路では5分、復路では6分も短縮しています。

経験上、都心を自転車で移動する場合の旅行速度は
17km/h台に留まる事が多く、18.0km/hに達した12日の
往路の結果は「大台に乗った」感が有ります。

これはいけると思って、経路のリファインをして再実験をしたのですが、
2回目はどういうわけか、やたら信号に引っ掛かりました。

最低の14.5km/hとなった14日の復路で印象的だったのは、
馬場下町交差点を先頭に発生していた左折レーンの渋滞です。

ちょうど早大生の下校の波と重なっていたらしく、
横断歩道が青の間、ほとんど人波が途切れず、
左折車の交通容量が極端に低下していました。

日本では警察が
同方向の車道と横断歩道を同時に青にする制御方式に
強いこだわりを持っているようなのですが、
こういう事例を見るたびに馬鹿馬鹿しくなります。