2014年6月19日木曜日

電線地中化法案

なぜ電線を地中化したいのかという理由付けが幼稚です。



日経新聞 2014年6月19日(朝刊)
政府・自民党は電線の地中化を促す新法を制定する検討に入った。

// 中略

都市の景観を改善して訪日観光客を増やす。地震などの災害時に倒壊した電柱が避難や物資輸送を妨げるリスクを抑える狙いもある。

// 中略

電柱を街中からなくす取り組みで日本は世界の都市に出遅れている。ロンドンやパリの地中化率は100%で、ニューヨークも83%と高い。

電線を地中化して海外からの観光客が増えるんですかね。

高層ビルや首都高などの未来的な建築が空中を這い回る一方で
一歩路地に入れば電柱が立ち並ぶ古い景観が広がっているという
意味不明なごちゃ混ぜ具合の方が寧ろ
海外から見たら独特で面白いんじゃないかな。

以前うちにホームステイしていたフランス人の高校生も
電信柱を興味深そうに写真に収めていましたし。

自民党の動機は、
ただ単に他国の都市と同じものが欲しい
というだけのものに見えます。

ゲーム機をねだる小学生と大差無いですね。


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で、地中化は別に構わないんですが、それによって道路空間の断面構成が
長期に亘って固定化されるリスクには、自転車利用者は警戒すべきだと思います。

岡山県の国体筋の自転車道整備事例では、
歩行者の通行量実態に見合わない幅広な歩道が有ったものの、
そこに電線共同溝が埋設されていたため、
いざ自転車道を設けようにも工事費の面で歩道空間を削る事ができず、
車道の端の僅かなスペースに設置する形で妥協し、
結果としてあまり利用されない自転車道が出来上がりました。

過去の関連記事
道路構造令の呪縛——岡山の失敗


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21世紀における都市の成熟度という観点からは、
都市インフラで重要なのは、電柱が有るか無いかよりも、
自転車が優遇されているかどうかだと思います。
  • 地球環境への責任感
  • 人間社会の持続性に対する展望
こういう点が、自転車軽視の日本の都市景観からは
感じられないんですよね。