夏用サイクリングウェアの効用や欠点をまとめてみます。
二回目はレーサーパンツ(cycling shorts)を取り上げます。
坐骨部分の痛み
私は体重は45kg程度ですが、体脂肪率が極端に低いからか、
普通の椅子に座布団を敷いて座っているだけでも
坐骨が当たる部分の皮膚がボロボロになります。
当然、ロードバイクの硬いサドルに何時間も座っていられるわけがないので、
スポーツ自転車を初めてすぐに安価なレーサーパンツを買いましたが、
坐骨の痛みはあまり軽減されませんでした。(個人の感想です。)
saitoimportの3Dパッドレーサーパンツ
それでも我慢して使い続けていたのですが、
「もしかして、痛みが出るのはサドルに体重を載せすぎているから?」と思って、ペダルに体重を載せる事を意識して漕ぐようにしたところ、
坐骨の痛みは出なくなりました。(脚が疲れて漕ぐ力が弱まるまでは。)
それどころか、この漕ぎ方に切り替えてからは、
パッドの無い普通の肌着でも痛みが出なくなりました。
どうやらロードバイクという乗り物は、
サドルに載せる体重が有るならペダルを踏んで加速しろ!という性格の乗り物のようです。
となれば、坐骨の痛みを解消する上で重要なのは
サドルの形状やレーサーパンツのパッドではなく、
- ペダルに体重を安定的に載せられるようにする事
- ペダルを漕ぐ力を長時間維持できるようにする事
前者についてはクリップレスペダルの導入が有効だと思います。
靴とペダルが固定されるので、安心して
ペダルに体重を預けられるようになるからです。
また、ペダルを漕ぎ続けられるように、
流れの良い道路を選んで走る事も有効でしょう。
後者については地道なトレーニングが一番効くんでしょうが、
一定の出力で淡々と走るとか、補給食を計画的に取る
といった小手先の戦略も有効です。
内股の炎症
坐骨部分の痛みがあまり緩和しなかった一方、
レーサーパンツは新たな問題を呼び込んでしまいました。
股部分を下から見ると、縫い線(青く着色した部分)が十字に通っています。
普通の衣料品と基本的に同じ裁断パターンです。
普通の衣料品と基本的に同じ裁断パターンです。
内側から見てみます。
パッドと本体の段差や縫い代が内股部分に集まっています。
パッドの縫い付け糸も「冊冊冊冊冊冊」状で、肌に優しくありません。
他ブランドでは「/\/\/\」状に縫い付けてあります。
僅かな出っ張りですが、ペダルを漕ぐたびに擦れる部分なので、
ロングライドでは内股に炎症が出てしまう事が有ります。
それなら、
「レーサーパンツの縫い目が肌に直接当たらなければ良いはず」と考え、ユニクロのシームレスボクサーを穿いてから、
その上にレーサーパンツを重ね穿きしたところ、
擦れは出なくなりました。(速乾性がかなり犠牲になりましたが。)
選び方
こうした反省点から考えると、(個人的には)短~中距離なら
わざわざレーサーパンツを穿く必要は無いと思います。
吸水速乾生地のシームレス肌着を適当に選べば良いでしょう。
一方、長距離ライドでパッドがどうしても必要だという場合は、
それだけ使用条件が過酷という事になるので、
妥協せずに最上位モデルを選んでしまうのが良いと思います。
店頭で実物を確認できた範囲では、
内股部分に縫い目が来ない裁断パターンやシームレス仕立ては、
やはり廉価ブランドや廉価モデルには見られません。
(と、口実を用意しましたので、
背中を押されたい方はご自由にお使いください。)