公立図書館では音楽CDも貸し出していますが、
盗難や破損が多いらしく、さまざまな対策が打たれています。
台東区立図書館の例を中心に防護策を紹介します。
台東区立図書館と荒川区立図書館では
CDの貸し出し時に写真のような青い袋に入れています。
かなり分厚い芯が入っており、衝撃からCDを保護します。
このような丈夫な袋に入れず、
利用者がCDを直接バッグなどに入れると、
CDの透明ケースは簡単に罅ができてしまいます。
新宿区立図書館でも簡易ながら、
分厚いビニールの袋に入れてCDを貸し出しています。
品川区立図書館では館内の棚に並んでいる状態で既に
それぞれのCDがピッタリサイズのケースに収められています。
台東区立図書館では袋にもバーコードが付いており、
これも貸し出しアイテムとして処理されます。
袋の用意に追加費用は発生しますが、
CDケースの割れを補修する手間や費用を考えると
こちらの方が良いのかもしれません。
台東区立図書館ではCDが独自のケースに収納されています。
市販のCDのケースと違い、柔軟性が高く割れにくい半透明のプラスチックです。
23区の他の図書館では市販CDのケースをそのまま使っていますが、
ひびが入ったり、CDを固定する部分の爪が折れている事が多く、
空のCDケースの寄贈を求めている図書館も有ります。
台東区立図書館のケースにはロック機構がついており、
図書館内の専用の機械で貸出時にロックを解除しないと
ケースが開かないようになっています。
貸出処理をするとこのように緑色のアイコンが出てきます。
ケースの中身。左側には解説書が固定されています。
解説書の隅を良く見ると、半円形の変形が有ります。
恐らく、台東区立図書館でも以前は普通のCDケースを使っていたんでしょう。
ケースの蓋に有る、あの半円形の爪の痕ですね。
図書館が所蔵するCDの解説書は破れにくいように
補強テープを何重にも貼っています。(それでも破れていますが)
テープの分、解説書が分厚くなり、半円形の爪に嵌めにくくなります。
このため、解説書が爪の上になったままケースを閉じる人が多く、
ケース側の爪が折れてしまう例が良く見られます。
台東区立図書館の新型ケースはこの問題を解決していますね。
ケースの右側にはICタグが貼り付けられています。
(右下に薄っすら見える白い正方形の紙)
図書館の出口にはゲートが設置されており、
貸出処理をしないとブザーが鳴るようになっています。
盗難防止策としては、ICタグを使わず、ダミーケースを用いる方式も有ります。
中野区立図書館では、利用者が棚から手に取るのはダミーケースで、
それをカウンターの職員に渡し、閉架エリアから実物を出してきてもらう方式です。
ICタグで管理する方式には、ケースではなくCDの盤面に
直接タグを貼り付ける方式も有ります。
品川区立図書館や荒川区立図書館では
盤面に薄いテープが貼り付けられています。
これはICタグではないかもしれませんが、
恐らくは盗難防止用のものだと思います。
新宿区立図書館では盤面全体を覆うように
シート状のICタグが貼り付けられています。
しかしこのシートは、チップが埋め込まれているところの厚みが
音楽CD規格で定められた厚みの許容範囲(1.2mm +0.3mm/-0.1mm)を
コンマ数ミリ超えているので、一部の再生機器ではICタグと機器内部が擦れます。