見掛ける事が増えてきました。
「改善化」
これは、例えばターボリナックスHD株式会社の
投資家広報(2011年3月25日)に見られます。
「経営体制改善化計画に関するお知らせ」この「化」は要らないですね。
「化」は名詞・形容動詞の後ろに付けて動詞にする接尾辞なので、
元から動詞だった語には付ける意味が有りませんし、意味を為しません。
これは非文でしょう。少なくとも私はそう思います。
「実現化」
用例は『日本の交通バリアフリー』学芸出版社 p.3 から。
「ユニバーサルデザインの考えでアプローチし、
可能な限り実現化を図る必要性を説いた。」
これも私の文法意識では非文です。
単に「実現する必要性」で良いのに。
「小難しく言いたい」欲求が暴走しちゃったのかな?
「同期化」
これは物流ビジネスの分野で見られます。
例えば『月刊ロジスティクス・ビジネス』2013年8月号の
新聞広告(日経新聞2013年7月27日朝刊1面)に、
「30分サイクルでSCMを同期化」と書かれていました。
(SCM は supply chain management の略)
「生産と販売のズレを無くして在庫を減らす」という文脈で使われているようですが、
それ、単に「同期」です。
敢えて語句を補って解釈すれば、
「同期(している状態)化」とする事はできますが、かなり迂遠。
なんでわざわざ「化」を付けたんだろうと思ったら、
どうやらsynchronizationを直訳したらしいですね。
という事は、上の「実現化」もrealizationの直訳?
「集中化」
「集中化マーケティング」(2012年4月8日)や
「総務事務の集中化」(2012年1月16日)、
「法人登記事務の集中化」 (2010年1月27日)
という表現が見られます。
これも英語からの直訳で、
centralizationの-izeに引き摺られたものと思われます。
「見える化」
これもビジネス界で急速に広まってきた印象が有ります。
Wikipediaの編集履歴を見ると、2006年が初版になっています。
形式的には〈動詞+化〉で上の2例と同じですが、
前部分は普通の動詞(「見る」)ではなく可能動詞(「見える」)
なので、元々動詞性が弱く、形容詞性が強い表現です。
同じく形容詞性を持つ形容動詞は「化」と自然に結合するので、
例 最適化、陳腐化、難燃化「見える化」も不自然ではありません。
もしかするとこの用例が、〈動詞+化〉の感染拡大を
招いた犯人なのかもしれませんね。